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2022.09.20

「デジタルヒューマン技術」で日本進出を加速化する韓国のAIテック企業:KLleon

韓国のAIテックスタートアップ、KLleon。最先端の深層学習モデル生成技術を活用し、インタラクティブ・デジタルヒューマン「Klone(クローン)」を筆頭に、映像の自動吹替ソリューション「Klling(クリング)」などのプロダクトを保有している企業だ。なかでもKloneなどのデジタルヒューマン技術で日本展開を加速させており、今年5月に東京ビックサイトで開催された「第6回AI・人工知能EXPO【春季】」にも出展した。
同社が保有するデジタルヒューマン技術とはどのようなものなのか。KLleonの陣承赫(ジン・スンヒョク)代表に話を聞いた。

KLleonのデジタルヒューマン技術

KLleonでは主にデジタルヒューマン・AI・コンテンツ制作サービスのKloneと、自動吹替サービスのKllingを提供している。
Kloneとは、同社が生成するデジタルヒューマンの総称である。クローンサービスが提供するリソースを活用してデジタルヒューマンコンテンツを制作することから、顔写真1枚でカスタムされたクローンを生成し、希望する形のコンテンツを作成することもできる。
そして、Kllingは登場人物の声はもちろん、吹替によって変わる口の動き方まで具現可能となっている。深層学習技術を利用し、登場人物の音声と口の形を学習するため様々な視聴覚コンテンツの吹替を速やかに処理できる。
「これらのプロダクトの特徴を全て活用し、クライアントのブランドイメージを代表するデジタルヒューマンを生成するサービスも提供しています。イメージと合致する外見・体・声をそろえたデジタルヒューマンの生成だけに留まることなく、それを活用したコンテンツの制作・配布もサポートしています。こちらはKLleon日本法人と日本事業部門が最も重点的に取り組んでいる分野でもあるんです」
現在、モバイルアプリ形態のショッピングモールや、オフライン店舗に展開されているキオスク端末など、B2Cサービスの技術的高度化は多岐にわたり、急速に進んでいる。だが、「全てのサービス利用者がそれら変化に適応し、違和感なくアクセスできるのか」という疑問に関する考察は、あまり行われていないとジン代表は話す。
KLleonは、デジタルヒューマンを利用し、顧客とコミュニケーションをとるキオスクシステムの開発から、肖像権やスケジュールなど法的・物理的制約から自由な「仮想の人間」を作ろうとする各産業群の需要まで、クライアントの様々な要請に応じているという。もともとSNSプラットフォームの一環として開発されたコア・テクノロジーだったが、現在は新しいB2B市場のニーズに応え、新市場を開拓できるよう進化させているのだ。
「我々は(サービスの)利用者が最も慣れている方法であれば、サービスを受け入れてもらえると判断しました。Kloneによって作られるデジタルヒューマンとコンテンツを通じて、全ての利用者に合理的でありながらも真剣(sincere)なサービスを提供できるように努めています」
また、韓国の経済紙である毎日経済新聞系列の放送局『MBN』は、KLleonのコア・テクノロジーである「ディープヒューマン」を用いて、韓国内のマスコミとしては初めて「バーチャルレポーター・クローン」を導入した。導入後も「バーチャルレポーター・クローン」らによるニュースの報道や情報伝達が行われているという。
また、今年3月に行われた韓国大統領選の『MBN』開票実況番組にも同社の「デジタルヒューマン」が登場した。元の動画にクローン技術を適用した候補らの顔をくっつけるといった形で、各候補をデジタルヒューマン化したのだ。
韓国の開票実況番組は最新情報を伝えるだけではなく、エンターテインメント番組としての性格が共存している。そのことに着目し、普段の候補らからは見つけにくいユーモラスかつ親しみやすい感情表現の再現を試みたという。
「放送局のようなレガシーメディアとの協力はもちろん、YouTubeコンテンツのようなニューメディア方面でも、各企業との間で協業が行われています。弊社と韓国の金融企業集団・新韓金融グループは、今年6月、男性俳優と女性アイドルのクローンをそれぞれ生成し、2本の動画を制作するプロジェクトを進行しました。各動画は、8月31日現在でそれぞれ140万回、120万回の視聴数を記録しています。当プロジェクトの遂行により、ただ我々の技術を紹介するだけではなく、デジタルヒューマンによって展開されるストーリーテリングやコンテンツ制作をサポートできることも証明できたと考えています」
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