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2023.08.29

人気スタイリストのオリジナルブランド「T SPEC GEAR」が発信するモノ選びの“新規格”

近年のアウトドアブームにより、ライフスタイルからファッションまで、ジャンルの垣根を超えたさまざまなアウトドア関連アイテムが市場に登場するようになった。
アウトドアギアやアイテムがどんどん多様化するなかで、米国国防総省が軍で使用する官品調達のために定めた「MIL-SPEC(ミルスペック)」や、その英国版「UK Defence Standardization」など、過酷な環境下で使用することを想定したものに対して組織が定めた独自規格も存在し、堅牢性や耐久性などにおいて“本物”としてのお墨付きを与えている。
そのような「規格」という視点を参考にしつつ、アウトドアとファッションのフィルタを介した独自解釈の新規格として注目を集めているのが、スタイリスト・平健一さんが展開するブランド「T SPEC GEAR(ティー スペックギア)」だ。
ブランドネームに込めた想いやモノづくりの哲学、そしてこの新しい規格である“T SPEC”が落とし込まれた代表的なアイテムなどについて、平さんに話を聞いた。

アウトドアとファッションの良さを取り入れたホンモノを届けたい

T SPEC GEARは2021年の4月に誕生したばかりのブランド。ファッションやアウトドアのシーンで平さんが培ってきた知見をもとに生み出された規格であり、いわば「もの選びの新たな視点」でもある。同ブランドのアイテムは、アクティビティやファッションにおける確かな機能性、優位性を持つとして、アウトドア業界をはじめ、ファッション業界でも話題となっている。
平さんはなぜ、このT SPECを提唱はじめたのか。まずはその背景についうかがった。
「僕がT SPEC GEARをはじめたのは、ファッションブランドとアウトドアブランドのいいところをどっちも取り入れて、ひとつの形にしたいと思ったことがきっかけです。今のファッション業界を見たときに、ファストファッションにしても、ハイブランドにしても、実際に売れているアイテムというのは機能性を謳っているものがほとんど。これは、時代とともに素材が進化したということもありますが、ストレッチ性や堅牢性といったアウトドアで重宝される機能性がごく一般的になったからだと思うんです。
一方で、アウトドア業界はというと、ここ最近のアウトドアブームの影響もあって、タウンユースやストリートカルチャーを意識したブランドやアイテムがすごく増えてきました。そうやって、業界の垣根が非常に曖昧になってきたなかで、じゃあその両方をひとつのブランドでやったらおもしろいんじゃないかなと思ったんです」
スタイリストとしてファッション業界に身を置きながらも、アウトドアへの造詣も深く、アウトドア専門誌などでも活躍していた平さん。では、T SPEC GEARというブランド名にはどんな想いを込めているのだろうか。
「“T SPEC”というのは、僕、平(たいら)が認めたという意味で、“MIL-SPEC”をもじったネーミングになっています。さらに“GEAR”というのは道具という意味なので、しっかりとしたストーリーに裏打ちされた“本物”を届けたいという想いがありました。ただ、本物だからといってアウトドアでのハイスペックなアイテムだけにこだわるんじゃなくて、僕だからこそ作れるものだったり、僕が好きだからこそ紹介したいものを選んでいるんです。まさに、平の“T SPEC”ということですね(笑)」
● Tパーカー
12.0オンスの肉厚なスウェットを使用した「Tパーカー」はT SPEC GEARのヒットアイテム。胸元の刺繍とバッ�クプリントに「T」のグラフィックが入り、古き良きアメリカを感じさせる一着に。紐にはアウトドア用の8mmのガイドラインを使用するなど、平さんらしいこだわりも詰まっている
12.0オンスの肉厚なスウェットを使用した「Tパーカー」はT SPEC GEARのヒットアイテム。胸元の刺繍とバックプリントに「T」のグラフィックが入り、古き良きアメリカを感じさせる一着に。紐にはアウトドア用の8mmのガイドラインを使用するなど、平さんらしいこだわりも詰まっている
平さんならではの“本物”にこだわったアイテムやギアを展開しているというT SPEC GEARだが、どういった人たちに向けたブランドなのだろうか。
「T SPEC GEARのなかでもアウトドアらしいアイテムやギアは、アウトドア好きにも選んでいただいていますし、ストリートカジュアルっぽいウエアは、そういったファッションが好きな人たちに人気なんです。だからセレクトショップでは、アパレルショップはファッション系のアイテム、アウトドアなものはアウトドアショップというように、お店によって扱っていただくアイテムは異なります。
当たり前のことですが、そうやってユーザーが好きに使ってくれればそれでいいですし、そこからまた、新たな発想や出会いが生まれることもあると思うので、その方がおもしろいかなと思ってやっています」
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