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2022.12.03

映画公開で人気が再燃! 「SLAM DUNK」と「エア ジョーダン6」の蜜月関係

90年代に爆発的ヒットを飛ばしたバスケットボール漫画「SLAM DUNK」。2022年12月3日にはファン待望の映画「THE FIRST SLAM DUNK」も公開する。それに伴い、作中で主人公の桜木花道が履いた「エア ジョーダン6」の人気も再燃している。今回は「エア ジョーダン6」の歴史やその人気、スラムダンクに関連した逸話などを、人気スニーカーショップ「SKIT」の鎌本勝茂氏に語ってもらった。

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 バスケットボール漫画の金字塔「SLAM DUNK」。この作品をきっかけにバスケットボールを始めた人も多く、日本のスポーツの歴史に大きな影響を与えた。高校時代バスケ部に所属していたSKIT代表の鎌本さんも「SLAM DUNK」に感化された一人だ。

「中学生の時『週刊少年ジャンプ』を読んで、部活時に登場人物のプレーを真似したりしていましたね。一番好きなキャラは“三井寿”。当時の自分のポジションもポイントガードか、シューティングガードだったので、3Pを真似していたのは懐かしいですね。

全国大会2回戦、山王戦でヘロヘロだった三井が流川からパスをもらい3Pを決めたときの“静かにしろい、この音が……俺を蘇らせる、何度でも”というセリフには痺れました。映画は本当に楽しみです。声優がアニメの時と総入れ替えしたなんて話もありますが、自分は漫画派だったので気にならないと思います。当然、映画も観に行きますよ」

画像: こちらは黒ベースの「エア ジョーダン6」。桜木花道は白ベースのモデルを履いていたが、鎌本さんより下の世代では、この黒ベースのモデルの人気も高まっている
こちらは黒ベースの「エア ジョーダン6」。桜木花道は白ベースのモデルを履いていたが、鎌本さんより下の世代では、この黒ベースのモデルの人気も高まっている

鎌本さんも思わず饒舌になるほどの“スラムダンク熱”を見せてくれたが、バスケットボールに携わった人で、スラムダンクを無視できるものはいない。登場するキャラクターたちの際立った個性も、人気の秘訣だろう。もちろん、登場人物たちは履いているバッシュにも個性がにじみ出ている。

画像: 「エア ジョーダン6」の桜木花道モデル。ビジブルエアはもちろん、くるぶしをガードするクッションや、着脱時に脱ぎ履きしやすいようにヒールに配置された引き手も健在
「エア ジョーダン6」の桜木花道モデル。ビジブルエアはもちろん、くるぶしをガードするクッションや、着脱時に脱ぎ履きしやすいようにヒールに配置された引き手も健在

主人公の桜木花道が履いた「エア ジョーダン6」は、世に影響を与えたバスケットシューズのひとつだ。“花道と同じバスケットシューズを履きたい”という読者が多くなり、売上にも影響を与えたといわれている。

実はエア ジョーダン6“桜木花道モデル”は日本企画ではない!?

言わずとしれた主人公・桜木花道が愛用していたバスケットシューズは「エア ジョーダン6」だ。ご存じの方も多いが“エア ジョーダン”シリーズとは、アメリカNBAシカゴ・ブルズに所属し、“バスケの神様”とまでいわれたマイケル・ジョーダンのことで“エア”は彼のニックネームになっている。

画像: 桜木花道モデルでは赤がベース。タン部分のジャンプマンロゴとシューレースを絞るストッパーも特徴的なディテール
桜木花道モデルでは赤がベース。タン部分のジャンプマンロゴとシューレースを絞るストッパーも特徴的なディテール

作品中で花道が履いた「エア ジョーダン6」は、白ベースのモデルだったが、同モデルには湘北カラーというべき赤を基調にしたカラー“桜木花道モデル”もラインナップされており、「SLAM DUNK」ファンを中心に、高い人気を誇っている。このモデルに関しての逸話も鎌本さんは語ってくれた。
 
「残念ながらこの“桜木花道モデル”は、日本企画ではないんですよ。実は中国のナイキヘッドクォーターで企画され、日本で発売されたという経緯があるんです。当時『AIR JORDAN 6×SLAM DUNK』の発売に合わせてAIR JORDAN本が企画されて、アジアのコレクターとして自分も取材をしてもらったんです。

その時に担当者に会って『自分たちが企画した』とおっしゃっていました。ただ、なんだか日本始動で企画されたものじゃないというのが腑に落ちないというか、悔しいというか……(苦笑)。アッパーに転写してある透かし絵をデザインしたのも、香港とか中国のナイキのデザイナーだったみたいですよ」

画像: 桜木花道の背番号である“10”が刺繍されているのもポイントだが、アッパーサイドにも山王戦でアウト・オブ・バンズになりそうなボールに飛び込む花道の一コマがプリントされている
桜木花道の背番号である“10”が刺繍されているのもポイントだが、アッパーサイドにも山王戦でアウト・オブ・バンズになりそうなボールに飛び込む花道の一コマがプリントされている

確かに、日本発の漫画だった「SLAM DUNK」はアジアでも人気だったが、そういったモデルを日本始動で企画できなかったのは、ファンにとっては残念な話だろう。ただ、その出来栄えは、シューズボックスにも漫画の一コマがデザインされていたり、シューズのアッパーサイドにも同じように漫画の一コマがプリントされているなど、ファンが痺れるディテールが満載だ。

画像: 「エア ジョーダン6」桜木花道モデルのシューズボックス。こちらにもアッパーサイドと同じく、漫画の一コマがプリントされたデザインに。「JORDAN×SLAM DUNK」と刻印されているのもファンにはたまらない
「エア ジョーダン6」桜木花道モデルのシューズボックス。こちらにもアッパーサイドと同じく、漫画の一コマがプリントされたデザインに。「JORDAN×SLAM DUNK」と刻印されているのもファンにはたまらない

ストリートでは「エア ジョーダン6 カーマイン」が断トツの人気

大人気の「エア ジョーダン6」で忘れてはいけないのが、今でも根強い人気を誇るカーマインカラーだ。鎌本さんが同モデルを認知したのはこのカラーだったという。

画像: 「エア ジョーダン6 カーマイン」の復刻モデル。鎌本さんは2008年に復刻した当時に入手したそう。カーマインレッドがポイントになっていることから、このモデル名が生まれた
「エア ジョーダン6 カーマイン」の復刻モデル。鎌本さんは2008年に復刻した当時に入手したそう。カーマインレッドがポイントになっていることから、このモデル名が生まれた

「当時、自分が靴屋で働いていた1995年とか96年ごろには『エア ジョーダン6 カーマイン』が10万円ぐらいの値がついていました。流通量が少ないという理由もありましたし、特別このカラーだけが人気でしたね。自分よりもちょっと上の世代の人たちは、『エア ジョーダン1』よりも、このカーマインカラーが“憧れのスニーカー”という人が多かった気がします。

画像: ショップのディスプレー用に展示してある「エア ジョーダン6 カーマイン」のオリジナル。古いシューズだけにソール部分の加水分解は避けられない宿命だ
ショップのディスプレー用に展示してある「エア ジョーダン6 カーマイン」のオリジナル。古いシューズだけにソール部分の加水分解は避けられない宿命だ

当時の自分は中学生で、バルセロナオリンピックのバスケ、アメリカ代表は“ドリームチーム”といわれ、それがかなりの話題の的でした。マイケル・ジョーダンをはじめ、カール・マローン、パトリック・ユーイング、チャールズ・バークレーなどNBAのスター選手が履いていたシューズがフックアップされ、ジョーダンが履いていた『エア ジョーダン7』も話題を呼んでいました。

画像: 1995~96年当時は10万円前後で取引されていたという「エア ジョーダン6 カーマイン」のオリジナル。ソールは加水分解しているが、貴重な一足
1995~96年当時は10万円前後で取引されていたという「エア ジョーダン6 カーマイン」のオリジナル。ソールは加水分解しているが、貴重な一足

もちろん、中学生なのでまわりも桜木花道が履いているというよりも、ユーイングやバークレーなどNBAの選手が履いているモデルに興味がありました。中学生だから、親からバッシュを買ってもらう感じだったので、その時、リアルに流行っているものを買っていましたね。だから『エア ジョーダン6』が“桜木花道着用”みたいな感じで取沙汰されたのは、確か2009年ぐらいからだったと思います」

画像: 「エア ジョーダン5」を履いていたのは花道の永遠のライバルである流川楓。花道よりも一歩先を行くという意味かどうかは分からないが、ひとつ前のモデルというところも面白い
「エア ジョーダン5」を履いていたのは花道の永遠のライバルである流川楓。花道よりも一歩先を行くという意味かどうかは分からないが、ひとつ前のモデルというところも面白い

主人公・桜木花道のライバルである“流川楓”が履いていた「エア ジョーダン5」も流川モデルとしてフックアップされるようになったのは2009年頃からだそうだ。最後に、鎌本さん視点から見て、「エア ジョーダン6」の魅力はどんなところにあるのかを語ってもらった。
 
「『エア ジョーダン6』は憧れのシューズだったので、履いている人がいると素直に“カッコいいな”と思って見ていましたね。履き心地も悪くないですし、自分は好きなスニーカーのひとつです。

最近ではNBAでシカゴ・ブルズに所属するデマー・デローザン選手が練習で『エア ジョーダン6 カーマイン』を履いているのを見て、やっぱりカッコいいと再確認しました。バッシュなので、やはりコートでは映えますね。

現在は『エア ジョーダン4』が人気を集めているので、映画公開をきっかけに『エア ジョーダン5』や『エア ジョーダン6』が盛り上がってくれると嬉しいです」

PROFILE|プロフィール
SKIT代表 鎌本勝茂
SKIT代表 鎌本勝茂

1978年青森県生まれ。高校卒業と同時に上京し、スニーカーショップでの販売を経て、2001年にSKIT一号店を吉祥寺にオープン。スニーカーに関する豊富な知識と、業界屈指の目利き力でショップには多くのスニーカーファンが訪れる人気店に。そして映画『スニーカーヘッズ』にも出演するなど、その動向は海外のスニーカーヘッズからも注目されている。現在は吉祥寺の他、大阪、仙台、福岡にも出店する。

<p>スニーカーショップSKIT 東京・吉祥寺店<br>東京都武蔵野市吉祥寺南町1-18-1 D-ASSET吉祥寺1F<br>TEL:0422-47-6671<br>営11:00~19:00 <br>https://www.k-skit.com/</p>

スニーカーショップSKIT 東京・吉祥寺店
東京都武蔵野市吉祥寺南町1-18-1 D-ASSET吉祥寺1F
TEL:0422-47-6671
営11:00~19:00 
https://www.k-skit.com/

Photo by Hiroyuki “Lily” Suzuki(Studio Log)
Text by Yasuyuki Ushijima(NO-TECH)

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