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2023.08.30

世界的なスターたちに愛された歴史が物語る「BARACUTA(バラクータ)G9(ジーナイン)」という逸品

スティーブ・マックィーン、エルビス・プレスリー、そして高倉健も愛したという「BARACUTA(バラクータ)」の「G9(ジーナイン)」。ハリントンジャケットの定番中の定番として世界中で不動の地位を確立しているアイテムだ。
その歴史を紐解きBARACUTAの G9を深堀りするべく、日本代理店であるWOOLRICH JAPAN INC.のマーケティング部部長 鈴琢磨さんにお話を伺った。

コートを作るファクトリーから生まれたBARACUTA

「BARACUTAは1937年にイギリスのマンチェスターでスタートしました。元々はコートを作るファクトリーをやっている会社で、有名ブランドや高級店を専門に生産を請け負い、クオリティの高いものを作っていました。そのノウハウを生かして、BARACUTAという自社ブランドを立ち上げ、最初はコートを作っていました。トレンチコートやバルマカーンコート(日本ではステンカラーコートが一般的な呼び名)が主なラインナップで、昔の広告のコートのイラストのものありました」
コートを着た1947年と1948年の広告
コートを着た1947年と1948年の広告

創業者のゴルフ好きから生まれたG9

BARACUTAが創業してからG9はどのような経緯で生まれたのかをお話していただこう。また、数あるラインナップの中のひとつだったG9は当時どんな存在だったのだろうか。
「創業者はJohn Miller(ジョン・ミラー)氏とIsaac Miller(アイザック・ミラー)氏のミラー兄弟で経営していました。『コート以外の商品を作ろう』となったときに、2人ともゴルフが大好きで『ゴルフ中に雨風を凌げるものを作ろう』ということで作られたのがG9なんです。
よく『G1から作り始めて9代目がG9なんですか』と聞かれます。文献が残っていないのでそこの事情は不明ですが、G9のGはゴルフのGというのは、ほぼほぼ間違いないであろうといわれています。
数字として今残っているのはG4、G9、G12の3型で、G9以外はゴルフとアイテムとしては関係ないのですが、頭文字にGがつきます。なぜ頭文字にGがつくのか、そのあたりも分かりません。
G4はドライビングジャケット、G12はフルレングスのバルマカーンコート、中でもG9とディテールが近いG4ドライビングジャケットは、運転時に袖やボディがリブで突っ張らないように、裾にリブがなく、袖はカフス仕様になっていて腰あたり背面にはアジャスターベルトが備わっているのが特徴です」
G9 59,400円(税込)
G9 59,400円(税込)
G4 59,400円(税込)
G4 59,400円(税込)
G12 107,800円(税込)
G12 107,800円(税込)
1973年のワールドカップのイングランド代表の写真。彼らが着ているものが現在ラインナップから外れているG10というモデルでG12に近いディテールをしている
1973年のワールドカップのイングランド代表の写真。彼らが着ているものが現在ラインナップから外れているG10というモデルでG12に近いディテールをしている

イギリスからアメリカに渡ったG9はハリウッドセレブに愛された

G9はBARACUTAが創業して、間もないころから存在していたという。ではG9が有名になり名品として語られるようになったのはいつからだろう。
「発売された当時は今のような感じの認知度はなかったようです。間もなくしてG9はアメリカに輸出され、アメリカで販売が開始されると、スティーブ・マックィーンやエルビス・プレスリーなど名だたるハリウッドセレブと呼ばれる当時の銀幕のスターがG9を着用したことでアメリカで人気に火がつき、そのイメージがイギリスや世界に行き渡って世界中で売れ始めました。1950年代のことです。
例外なく日本でもG9はヒットするのですが、少しタイムラグがあり、おそらく1950年代以降、アメ横で売られ始めたと思うのですが、アメカジ的なアイテムとしての印象が大きかったと思います。Levi'sにG9を合わせるのが基本スタイルみたいなアメ横的な雰囲気で広まっていったようです。また、日本では高倉健さんが映画でG9を着用してくれたことが皆さんの印象に強く残っていると思います。こうしてG9はハリントンジャケットの元祖としての存在を確立していったと考えられます。
ちなみにスウィングトップはおそらく1960年代にできた和製英語なので、G9のこの形は正式にはハリントンジャケットといいます」
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