Fashion Tech News symbol
Fashion Tech News logo
2024.05.12

アメリカの歴代大統領も愛した Brooks Brothersの傑作「ポロカラーシャツ」の魅力

今日、定番シャツとして不動の地位を築いた「ボタンダウンシャツ」。ボタン留めの襟が特徴的なこのシャツは、日本でも、ビジネススタイルから休日カジュアル、学校の制服と、幅広いシーンや用途で使われている。
今や数え切れないほどのボタンダウンシャツが販売されているが、その源流を辿ると、 Brooks Brothersの「ポロカラーシャツ」に行き着く。
このシャツの異名は、「アメリカ史上もっとも模倣された服」だ。その理由はいうまでもなく、デザインが優れているからにほかならない。
今回はBrooks Brothersで勤続30年以上のキャリアを持ち、現在はブランドアンバサダーを務める大平洋一さんとともに、その成り立ちからデザインまでをじっくりと見ていこう。
PROFILE|プロフィール
大平 洋一(おおひら よういち)
大平 洋一(おおひら よういち)

Brooks Brothers ブランドアンバサダー
学生時代のアルバイトから含めると、Brooks Brothers勤続30年以上のキャリアを持つ。歴史や商品を知り尽くしたブランドの生き字引。豊富な経験・知識から、業界内外問わず指名も多い。

多くのアメリカ大統領に愛されたアメトラの殿堂

まずはブランドの歴史をおさらいしたい。
Brooks Brothersは1818年に、ニューヨークのマンハッタンで創業。アメリカ最古の衣料ブランドが持つ品質とプレステージは、“Mr. President”ことアメリカ大統領との関係が雄弁に物語る。
「歴代アメリカ大統領の46人のうち、じつに41人がBrooks Brothersを着用しました。リンカーンはスーツからコート一式を、ジョン・F・ケネディはナンバーツースーツと呼ばれる2ボタンスーツを愛用しました。ブランドには、大統領にまつわるさまざまなエピソードが残されています」
常に世界の注目を浴びるアメリカ大統領に愛され続けてきたBrooks Brothersは、まさにアメリカントラッドの殿堂と呼ぶにふさわしい。

誕生のきっかけは、ポロ競技のユニフォームから

ポロカラーシャツが誕生したのは19世紀の終わり頃だ。
「考案したのは創設者の孫にあたるジョン・ブルックスです。彼が英国でポロの試合を観戦しているとき、選手たちが着ている競技用ユニフォームに目を奪われました。そのシャツは試合中に、襟が風にあおられて邪魔にならないようボタンで留められていたのです。彼は帰国後、このアイデアをとり入れたシャツの製造を開始しました」
1896年に発売されたポロカラーシャツは、アメリカの紳士たちに喝采をもって受け入れられた。
「その頃、シャツはまだカラー(襟)とカフス(袖口)が取り外しできるものが主流でした。リネンでできていたこれらのパーツは肌触りが硬く、ゴワゴワしていました。その点、ポロカラーシャツは肌触りがしなやか。また、カラーとカフスが一体化しているため、洗濯も簡単だったのです」

100枚のポロカラーシャツを買ったアンディ・ウォーホル

時代を彩った洒落者たちにも愛された。
「アンディ・ウォーホルは広告の仕事で得た初めての報酬で、白いポロカラーシャツを100枚まとめ買いし、毎日のように着ていたといわれています。また、フィアットを一大企業グループに育て上げた実業家のジャンニ・アニエッリは、毎年、ニューヨークの店を訪れ、ダース単位でこのシャツを購入していました」
ジャンニ・アニエッリといえば、イタリアの伝説的な伊達男としても知られている。彼は襟のボタンをあえて留めずに着る“外し”のテクニックを好んだ。
ほかにも、フレッド・アステアやクラーク・ゲーブル、スコット・フィッツジェラルド、マイルス・デイヴィスといった男たちがみずからのスタイルにとり入れた。
アイビーリーグ(アメリカ北東部にある8つの名門大学の総称)に通うアイビーリーガーと呼ばれる学生たちの間で人気を博したことも、ポロカラーシャツの知名度を高めた。
学業やスポーツで忙しいアイビーリーガーたちにとっては、あれこれ着こなしを考えたり、洋服をケアしたりする時間がない。その点、このシャツは洗濯しても型崩れしにくいオックスフォード生地。加えて襟のボタンを留めれば、ノータイでも格好よく見える。彼らは卒業し、大人になっても着続け、やがてポロカラーシャツは、アメリカのエリートが身に着ける服というイメージが浸透していった。
「日本への上陸は1979年です。東京・青山にBrooks Brothers青山本店がオープンしました。この店がブランドの海外店舗第1号店です」
折しも’70年代は第2次アイビーブームが、’80年代は第3次アイビーブームが到来した時代。日本全国から、アイビーファッションに身を包んだ若者が店に押しかけた。
1 / 2 ページ
この記事をシェアする