今日、定番シャツとして不動の地位を築いた「ボタンダウンシャツ」。ボタン留めの襟が特徴的なこのシャツは、日本でも、ビジネススタイルから休日カジュアル、学校の制服と、幅広いシーンや用途で使われている。
このシャツの異名は、「アメリカ史上もっとも模倣された服」だ。その理由はいうまでもなく、デザインが優れているからにほかならない。
今回はBrooks Brothersで勤続30年以上のキャリアを持ち、現在はブランドアンバサダーを務める大平洋一さんとともに、その成り立ちからデザインまでをじっくりと見ていこう。
PROFILE|プロフィール
大平 洋一(おおひら よういち)
Brooks Brothers ブランドアンバサダー
学生時代のアルバイトから含めると、Brooks Brothers勤続30年以上のキャリアを持つ。歴史や商品を知り尽くしたブランドの生き字引。豊富な経験・知識から、業界内外問わず指名も多い。
多くのアメリカ大統領に愛されたアメトラの殿堂
まずはブランドの歴史をおさらいしたい。Brooks Brothersは1818年に、ニューヨークのマンハッタンで創業。アメリカ最古の衣料ブランドが持つ品質とプレステージは、“Mr. President”ことアメリカ大統領との関係が雄弁に物語る。
「歴代アメリカ大統領の46人のうち、じつに41人がBrooks Brothersを着用しました。リンカーンはスーツからコート一式を、ジョン・F・ケネディはナンバーツースーツと呼ばれる2ボタンスーツを愛用しました。ブランドには、大統領にまつわるさまざまなエピソードが残されています」