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2023.07.12

【ネクストブーム】Z世代にも人気のサイバーファッションの魅力を徹底解析・Y3Kとの違いとは?

2000年代初期に流行したファッションを指した「Y2K」という言葉も、世間に浸透してから3年あまりが過ぎようとしている。最初は目新しさがあったこの言葉も、最近ではメディアでよく使われるようになり、令和の流行ワードのひとつになった。
そして、ネクストトレンドとして新しく生まれたワードが「Y3K」だ。
「Y3K」は、3000年代の近未来をイメージしたファッションのことを指す。“AI”や“メタバース”からも影響を受けているサイバースタイルはこれからの新しい流行としても最注目されている。
しかし、サイバーファッションは90年代後半からすでに存在し、原宿を中心として当時はストリートでブームになった。
Y3Kと90年代後半に原宿から生まれたサイバーファッションは「近未来」をイメージしているという共通点はあるが、両者の違いはどこにあるのだろうか?
今回はサイバーファッションのカリスマ・あっち先生とともに、サイバーファッションの歴史と魅力を考えてみた。(取材・執筆/Tajimax)

90年代後半の原宿とサイバーファッション

AIKA ELECTRONICS」の立ち上げの経緯と90年代後半の原宿のサイバーファッションブームについて教えてください。
まだ少年だった僕が98年頃から原宿のストリートに興味を持ち始め、サイバーのジャンルに没頭していつの間にかAIKA ELECTRONICS(アイカエレクトロニクス)はスタートしました。
原宿でサイバーファッションブームが起こった2000年頃は、まだ中学に入りたてだったので、高い洋服などを買うお金がなくて。なので、自作で同じようなサイバーっぽいアイテムを制作したところから始まりました。
当時は原宿のストリートに行けば、色んなかっこいい人たちがいっぱい居たので、そういう人たちの影響を受けながら制作していました。
当時の原宿SNAPのワンショット
当時の原宿SNAPのワンショット
あと、やっぱり雑誌の『KERA!』ですね。当時は『KERA!』になる前の『KEROUAC』だったと思うのですが、あの頃の『KERA !』は主にストリートスナップで、自作している方の作り方の説明などが載っていてよく読んでいました。
雑誌を見ながら、服とかアクセサリーなどを作るようになって。元々は自分のために制作していたのですが、次第に友人からも頼まれるようになり、いつの間にか本格的にインディーズブランドのひとつとして、AIKA ELECTRONICSと名乗るようになりました。
AIKAは人の名前だと思われがちですが、フィンランド語で”TIME”の意味があります。時間を越えても褪せないようなエレクトロな近未来ファッションの意味を込めてそう名付けました。フィンランド語を敢えて使用したのは、その地に縁があったからです。
雑誌KEROUACからKERA!へ
雑誌KEROUACからKERA!へ
90年代後半から2000年辺りの活動初期の頃は、原宿やストリートで情報交換などもしていましたか?
勿論、そういう交流もありました。今は技術が発達して、簡単に調べられるし作れるようになったものもたくさんありますが、当時は本当に「無」のところからどうやって工夫するなどをみんな考えていました。
みんなが隠し持っている技術をどうやって共有して、ストリートで見せていくかを全力で考えていました。その過程で実力のあるクリエイターがたくさん育っていったように思います。
KERA!掲載、ハンドメイドコーナーのページ
KERA!掲載、ハンドメイドコーナーのページ
モーニング娘。が『恋愛レボリューション21』のMVで着用されていた衣装や、90年代後半から2000年代初めにかけて様々なアーティストが音楽シーンで着用していたサイバーファッションについてどう思いますか?
当時はモーニング娘。といえばエンタメのアイコンのような存在でした。彼女たちもよく衣装でサイバーブランドを着用されていたのが印象強いです。
そのサイバーブランドの中でも特に印象強かったのがFÖTUS(フェトウス)です。モーニング娘。の派生グループ、プッチモニではCDジャケットで着用されていたのも印象的でしたし、ガールズバンドのZONEが着ているアーティスト写真もお見かけしたりしました。
また、ヴィジュアル系率いるロックバンド界でも多くのアーティストに着用され、GLAYのJIROさんやギタリストのMIYAVIさんが着こなしているのも印象深いです。
そのほか、CYBERDOGのパンツをGACKTさんが履いていたり、BINARYのTシャツをHISASHIさんが着ていたり、当時はサイバーファッションを着ているアーティストがとても多かったですね。
当時のFÖTUSを着たアーティスト写真。プッチモニ(CDポスター)、ZONE(KERA掲載)、JIRO(ポスター)、MIYAVI(KERA掲載)
当時のFÖTUSを着たアーティスト写真。プッチモニ(CDポスター)、ZONE(KERA掲載)、JIRO(ポスター)、MIYAVI(KERA掲載)
当時あっち先生が影響受けた雑誌たち
当時あっち先生が影響受けた雑誌たち
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