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Danner(ダナー)」のブーツというとトレッキング、アウトドア・レジャーシーンそしてアメカジフリークの人たちに長年愛されているアイテムだ。
そしてDannerといえば今では世界最大級のソールメーカー「Vibram(ビブラム)」社のソールをいち早く採用し、防水透湿素材「GORE-TEX(ゴアテックス)」を靴に搭載した草分け的な存在だ。今回はDannerの歴史とブランドを代表する「DANNER LIGHT(ダナー ライト)」と「MOUNTAIN LIGHT(マウンテン ライト)」にフィーチャーし、
株式会社エービーシー・マート 商品開発部 ダナー デザイナー 竹村 昭範さんにお話を伺った。
10ドル以下のブーツ作りがDannerの原点
ブランドのルーツを知ろうと思うと話は90年以上前にさかのぼる。Dannerはどういった経緯で始まったのだろうか、創業当時のお話から伺っていこう。「Dannerは1932年、アメリカ、ウィスコンシン州のチペワフォールズという街で誕生しました。この地域はザ・グレート・レイクス(五大湖)があり水が豊富なことから革を鞣すタンナーと呼ばれる職業が盛んな場所で 、土地柄、時代背景もあり、狩猟も盛んでした。
こうした環境で創業者の2人、William Weyenberg(ウェイエン・バーグ)氏と義理の息子に当たるCharlesDanner(チャールズ・ダナー)氏がDanner Shoe Mfg. Co(ダナー シュー マニファクチュアリング)(以下:Danner社)という社名で会社をスタートさせます。
廃業した靴工場の設備を使って10ドル以下で労働者たちが買えるブーツを作り始めます。1936年、チャールズ・ダナー氏はビル・ダナー氏とジョン・ダナー氏の2人の息子を連れてオレゴン州、ポートランドに拠点を移します。
当時、オレゴン州はまだ開拓の途中で10ドル以下のブーツに商機を見出したということです。木を切り、森を切り開く際や、木材を運ぶ船の上、そして造船所で、足の裏にスパイクの付いたDannerのワークブーツは大変重宝され、多くの人に愛用され“造船所の靴”と呼ばれていたそうです」
ワークブーツからトレッキングブーツへ移行した1950年代
時代が移り変わりDannerもワークブーツ中心のラインナップからトレッキングブーツなどにシフトするタイミングを迎える。そのときのエピソードをさらにお話していただこう。「1950年代、当時登山靴の主流はヨーロッパで、そんななかDannerはイタリアのVibram社のビブラムソールをアメリカでいち早く取り入れたブランドとしても知られています。そして1950年代というのはDannerがワークブーツからトレッキング、ハイキングシューズ作りに着手した年代でもあります。『ELK HUNTER(エルク ハンター)』というブーツが1956年に発売され、それ以降のトレッキングブーツやハイキングシューズなどのルーツとなっていきます」
シューズにGORE-TEX(ゴア テックス)を搭載したのはDannerが元祖
1960年代になるとジョン・F・ケネディが大統領の時代に「健康のためにもっとレジャーに出掛けよう」という呼び掛けがあり、アウトドアブーツの需要が高まっていったという。ここから20年ほどかけてDannerのシューズはどんどん進化していく。「この時代『MOUNTAIN TRAIL(マウンテン トレイル)』というブーツを発表するのですが、このMOUNTAIN TRAILは現在も展開中の『MOUNTAIN LIGHT(マウンテン ライト)』とほぼ変わらないデザインで、すでに完成されつつあるものでした。アメリカでポピュラーな雑誌BACKPACKER MAGAZINE(バックパッカー マガジン)で優れたアイテムだと記事に取り上げられるたことが一つのターニングポイントとなり、玄人の方に推奨される靴となっていきました。