いい仕事 、心地よい暮らしのそばには、いい道具がある。
塗装や工芸品づくりだけでなく、掃除、料理、化粧と、仕事や生活のあらゆるシーンで活躍する刷毛(はけ)やブラシも、そんな道具の代表格なのではないだろうか。
職人たちの仕事道具から家庭用のブラシまで、時代の変化に合わせて多様な商品を作り続けてきたのが、東京・日本橋にある刷毛とブラシの専門店「
江戸屋」だ。創業300年を超える歴史を誇る。
「使う人の気持ちになって使い勝手のよいものを届ける」をモットーに、馬毛や豚毛などの天然毛を用いて、熟練の職人によって手植えで生み出される商品を扱っている。今回は12代目の濱田捷利さんに、これまでのあゆみから刷毛・ブラシづくりへの思い、時代が変わろうとも守り続けてきたことについて話を伺った。
PROFILE|プロフィール
濵田 捷利(はまだ かつとし)
刷毛・ブラシの専門店「江戸屋」の12代目当主。1942年生まれ。大学卒業後、株式会社 江戸屋に入社。1979年に代表取締役に就任。毎年10月に行われる「日本橋 べったら市」保存会の会長を2003年から務め、江戸時代から続く伝統行事の運営にもあたっている。
はじめに、御社の事業について教えていただけますか。
工業用の刷毛をはじめ家庭用のヘアブラシ、洋服ブラシ、化粧用ブラシ、料理用の刷毛、たわしなど、多様な用途に合わせた刷毛とブラシを専門に販売しています。創業以来作り続けている「江戸刷毛」は東京都伝統工芸品のひとつで、ふすまや屏風に使う経師(きょうじ)刷毛、更紗の染色や型紙染などに使われる染色刷毛、歌舞伎の化粧に使う白粉刷毛などがあります。