2022.09.27

「現実を生きるリカちゃんねる」の管理人が明かす、人形服とアナログな撮影へのこだわり

2022年に55周年を迎えたリカちゃん人形。対象年齢である3才前後から小さい頃にリカちゃんで遊んだ大人まで、幅広い世代に長きに渡り愛されて続けている。近年は大人が楽しめるブランド「LiccA」が誕生するなど、大人がリカちゃん人形で着せ替えを楽しむ「リカ活」が注目されるようになってきた。

そんななか、リカちゃん人形でYouTube活動を行う「現実を生きるリカちゃんねる」が話題だ。働く大人のあるあるネタをリカちゃんを通して表現し、多くの視聴者から共感を集めている。

そこで今回、「現実を生きるリカちゃんねる」を運営している、現実を生きる管理室さんに活動開始の経緯やリカちゃんのファッションについて話を聞いた。

PROFILE|プロフィール
現実を生きる管理室
現実を生きる管理室

ズボラな日常をリカちゃんに投影させてYouTube投稿をしている。
セット作成・撮影・編集を行う。

リカちゃんとYouTubeの掛け合わせ

はじめに、「現実を生きるリカちゃんねる」でのご活動について聞かせてください。

もともと、小さい頃に遊んだリカちゃん人形でまた遊びたいなという気持ちがずっとあったなかで、大人になってからリカちゃんを楽しむ「リカ活」をしている方のSNS投稿を見るようになり、時間ができたら趣味としてもおもしろそうだなと思っていたんです。それと同時にYouTubeが好きで普段からよくみているので、リカちゃんとYouTubeを掛け合わせたらおもしろそうだなと。

そんななかでコロナが流行り、普段の仕事が在宅勤務になるという環境の変化があり、自分の時間も増えたのでやってみようかなと、リカちゃん人形を自分に投影して日常を映し出すYouTubeチャンネルを始めたんです。

大人の女性がリカちゃんを楽しむのは、少し前からブームとしてあったんですね。

そうですね。タカラトミーさんが大人でも楽しめるリカちゃん人形や洋服などを発売しています。リカちゃんなどが発売され私のように衣装をいろんなところで購入したり、生地から作って着せ替えを楽しんだりする方も多くいますね。

リカちゃんをご自身に投影する際、工夫していることはありますか。

現実的なズボラな部分や、個人的に感じた“OLあるある”を見せていますが、汚く見せないように心がけています。あまりリアル過ぎる現実をリカちゃんに投影してしまうと、視聴者の方によっては不快に思えてしまいますので、リカちゃんが悪い風に見えないような配慮をしています。小さい頃に遊んでいたときのようなリカちゃんに対する憧れは今も変わらずありますので、そこへのリスペクトを大切にしつつ撮影していますね。

YouTubeの活動ではどんなところが大変ですか。

「現実を生きるリカちゃんねる」での活動は毎日楽しいので、あまり辛いこともないんです。しいていうなら、一つの動画を作るときの地道な作業に心が折れそうになるときですね(笑)。「現実を生きるリカちゃんねる」は静止画を何枚も撮影して、それを一つひとつ合わせて動画にしているんです。

なので、撮影時間も結構長くて。誰かサポートの方がいるわけでもなく、全て一人で行っているので、その地道な作業のなかで「終わりが見えないけど、これって本当に完成するのかな」と途方にくれる自分を奮い立たせるのが少し大変ですね。

人形やセットを動かして写真を撮影する、の繰り返しは大変ですよね。

そうですね。そんななかでも最近はリカちゃんの身だしなみによりこだわるようになりました。たとえば、撮影をし始めた頃だと同じヘアスタイルだったのですが、シーンごとに髪型を変えたり、今流行っているスタイルを取り入れるようになったりしたんです。

ひとりのYouTuber、インフルエンサーとしてリカちゃんが画面のなかで可愛く映るようにこだわっていますね。ストレートヘアにしても、髪がツヤツヤに見えるよう写真を撮るたびにクシでとかしたり。一つひとつのシーンで身だしなみのメリハリをつけるようになりました。

手間がかかるからこその愛着も

制作時間はどれくらいかけていますか。

動画1本あたり、大体2週間かけて制作することが多いですね。最も時間をかけているのは衣装選びなんです。事前にどの服を着せるかを考えて、ハンドメイド作家さんを調べたり、自分で生地から作ったりすることもあります。この活動を機にミシンも買いました。生地は100均ショップで購入したり、自分が着なくなった洋服からも使ったりします。

衣装を購入する場合はハンドメイド作家さんが集まるサイトやインスタで探しています。購入するものはすべてリカちゃんサイズになっている洋服ですね。リカちゃん人形で遊ぶことが趣味の方で、その延長線上で洋服も作って発売している方からよく購入しています。

意外と難しいのが、リカちゃんにも似合う・似合わない服があることです。そこは人間と同じで、実際に着てみないと分からないんです。たとえば、思ったより肩幅がダボっとしていたとか、袖が長すぎて手が隠れてしまうとか。サイズ感が難しいので、ハンドメイド作家の方から購入する際は割と慎重になることもあります。

コーディネートはファッション雑誌を参考にしたり、TikTokでのトレンドを取り入れたりしますが、そういったトレンドの流れが早い洋服は自分で作ることが多いですね。

特に、衣装面で大変だった撮影はどちらになりますか。

デート動画ですね。

こちらはバーが舞台で、なるべく自分のなかでイメージするいい女を表現したかったんです。トップスは自作しており、スカートも前に購入したものを使用したのですが、大変だったのが足元。ヒールを履かせているのですが、こういった靴はリカちゃんがなかなか安定せず倒れてしまうんです。足元も撮影したかったので、リカちゃんが安定的に自立できて、かつ大人っぽい服装に合うハイヒールを履かせるのが大変だった記憶があります。

逆に衣装面で楽しかった撮影は?

ルックブック系はどれも楽しいですね。これまではリカちゃんのコーディネートを選ぶときは普段自分が着るような服ばかり選んでいたんですが、「現実を生きるリカちゃんの夏コーデ着回し21days 【雑誌風】」はいろんなコーデに挑戦しました。

この動画では普段自分があまり着ないデニムやカジュアル系の服装をしていて、「この服ってかわいいんだ」と思えたので、改めてリカちゃんにお洋服着せる楽しさを実感しました。

1つずつシーンを作っていくなかで、リカちゃん人形自身には明確な表情はほとんどないと思いますが、それを視聴者の方に分かりやすく伝える工夫はありますか?

顔の角度を変えたり、マイナスな表現のときは頭に何かを被せたり、口元を手で隠したりしますね。若干オーバーリアクション気味の振る舞いに近いです。何かから学んだというより、動画を作成していくなかで試行錯誤していき、これは嬉しいときのポーズ、これは驚いたときのポーズ、といった風に生まれていますね。

「現実を生きるリカちゃんねる」のストーリーを作るにあたって、ご自身にも何か心境の変化はありましたか?

物事が客観的に見えたり、普段の生活がより生きやすくなったりしたことは正直あります。たとえば、仕事で感じた自分のなかのモヤモヤを書き出して動画にすることでスッキリしたり。いろんな経験をすることで、「これは動画で使える」とエンタメで消費していくみたいなことはあります。

最近はバーチャル空間におけるアバターや3DCGによるVTuberも人気ですが、「人形」であることの表現の面白さはどんなところにあると感じていますか。

人形だからこその視点でいうと、面倒なほどおもしろいところですね。実際に人形を手で触って腕を動かしてポーズを取らせたり、いろんな角度からみたりすることでアナログ的な手間がかかるからこそ、愛着が沸いていくような気がします。

リカちゃん人形を自分のアバターに見立てる魅力についても教えてください。

リカちゃんで表現することで、自分のようなリカちゃん人形で遊んでいた方々やリカちゃんを知っている方も懐かしんで見てくれるところですね。視聴者さん自身もリカちゃんに自分を投影してくれたり、リカちゃん人形という絶妙な距離感にも共感が生まれやすかったりするのかなと思います。

少し疲れているなかでYouTubeを開いたときに、OLあるあるネタを披露したり、着せ替えを楽しむ様子をリカちゃんを通して映し出したりすることで、ちょっとした癒し効果もあるのが魅力だと感じています。

チャンネル開設から2年が経ち、登録者も60万人が目前となっています。ここまでの活動を振り返ってみていかがですか。

多くの方に登録いただいていますが数字面ではあまり実感がなく、それよりも視聴者さんから「動画を見て元気が出ました」などのコメントを見たときに実感することが多いですね。私もYouTubeの動画に元気をもらうことが多くあるので、その役割がこのチャンネルでもできているんだと感じた瞬間に、自分の活動の広がりを実感しています。

現実を生きるリカちゃんで、今後挑戦していきたいことは?

衣装や動画内容はこれからもいろいろなことに挑戦してみたいと思います。たとえば、先日浴衣を着たリカちゃんの動画をあげたのですが、次に浴衣を着せるときは少しクールな印象のある模様にしたいなと。

これからもリカちゃんのいろんな顔を見せられる衣装や小物、ストーリーを作っていきたいです。そして、いろんなストーリーを作れるように自分自身の生活スタイルも変わっていけたらと思います。

Text by Aya Hino

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