今年で法人化10周年を迎えたオサレカンパニーを設立し、AKB48をはじめとするさまざまな衣装を生み出してきたのが、クリエイティブディレクターを務める茅野しのぶさんだ。
今回、茅野さんにAKB48の衣装制作にまつわるエピソードから、自身のターニングポイント、衣装がもたらす力などについて聞いた。
PROFILE|プロフィール
![茅野 しのぶ(かやの しのぶ)](https://images.microcms-assets.io/assets/1775a3633c8b428d9f011c6a758a8a5c/440a724617214e1f860006412e286141/%E8%8C%85%E9%87%8E%E3%81%97%E3%81%AE%E3%81%B5%E3%82%99_profile.jpg?w=400&fm=webp)
茅野 しのぶ(かやの しのぶ)
株式会社オサレカンパニー
クリエイティブディレクター
AKB48創設当初より総合プロデューサー秋元康氏の下で衣装担当として活動。
その後、デザイン・衣装・ヘアメイクなどの事業を担うオサレカンパニー社のクリエイティブディレクターに就任。
これまでに制作した衣装はおよそ35,000着。メンバーの個性を引き出す豊富な衣装デザインとバリエーションに定評があり、AKB48以外にも、=LOVEや≠ME・≒JOYといったアイドルから、声優、コスプレイヤー、2.5次元アーティストの衣装、さらに近年では学校制服・医療制服のプロデュースなども行う。
AKB48の衣装を手がけることになったきっかけ
はじめに、茅野さんが衣装デザイ ナーを志した経緯について教えてください。
私がデザイナーという職業を意識したのは高校生の時です。当時、デニムのリメイクが流行っていたのですが、お店で買うとすごく高かったので、自作して着ていたんです。すると、それを見た友達から「すごい!」と言われて、その流れで文化祭のダンス衣装を作ることになりました。当時の私の中では、あくまで遊びの延長線上でした。
ところが、学校の担任と親との三者面談をした際に、文化祭の衣装を見た先生から「茅野さんは洋服を作る才能があると思う」と興奮気味に言われたんです。私は先生に褒められるタイプではなかったので、その言葉が強く残りました。
それがきっかけとなり、服飾専門学校に進学することにしました。親からは「成功するなんて一握りだから」と反対されたんですけれど。
その後、進学した専門学校で、「一夜限りのヘアメイク&ファッションショー」という企画を実施する機会がありました。その経験から、一般的なアパレル製品よりも、誰かのために作り、見た人の琴線にも触れる「衣装」を手がけたいと思うようになりました。
そこで在学中から、アイドル衣装を制作していたスタイリストのアシスタントとして働くことにしました。その方が、私の衣装デザイナーとしての師匠です。