ファッションは常に身体の動きと共鳴してきた。その時代の人の動きに合わせて、服は形を変え、ときにそれは流行として社会を席巻した。18世紀、イギリスの貴族階級において、今の私たちが捉えているような「スポーツ」という概念が生まれ、その後大衆化。19世紀に入ると、スポーツは健康面から社会で推奨され、それに伴い人々が着る服のシルエットも影響を受けた。
それまで窮屈だった婦人服が、19世紀終わりから、どのように身体運動の要素を取り入れていったのか。婦人服に紳士服の要素がいかに取り込まれたのか。身体の解放は、その時代の精神性や美の基準に影響を与え、水着、乗馬服、サイクリングウエア、カーコート、ランニングウェア、スニーカーといったアイテムは、人々の関心を集めた。
今回の特別展は、パリ市立モード美術館が所蔵する約200点のコレクションを用い、2023年6月16日から2025年9月7日までの約2年間を3つの期間(2023年6月16日〜2024年3月15日、2024年4月20日〜2025年1月5日、2025年2月8日〜2025年9月7日)に分けて開いている。展示品を入れ替えながら、18世紀から現在までの服飾の変遷をたどる。