明治時代から昭和初期にかけてのファッションや生活文化に、独自のアレンジや現代的な解釈を加えることで、多くの人々を魅了する作品を生み出している、イラストレーターの
マツオヒロミさん。
今年は
『マツオヒロミ作品集 万華鏡の庭』(玄光社)を刊行するとともに、2022年に出版した
『マガジンロンド』(実業之日本社)が第52回 日本漫画家協会賞「萬画部門」の大賞を受賞し、「『女子文化』の世を香り高く描いた、イラストストーリー+ファッションの歴史+時空を超えたキャラクターの魅力は、どんなジャンルにも収まり切らない『萬画』にふさわしい作品です」と選考委員から高い評価を受けた。
そこで今回、マツオさんにイラストレーターになったきっかけから、イラストレーションにおけるファッションの描き方、そして今後について伺った。
モチーフとしての「着物」
はじめにイラストレーターになったきっかけについて教えてください。
学生時代から独学でイラストや漫画を描いていました。そのなかで、ネット上に発表していた作品を見たクライアントの方から依頼をいただいたのが、イラストレーターへの第一歩でした。クライアントワークを手がけながら、自主制作をする中でイラスト作品集を作ってコミックマーケットなどの即売会で発表していました。そうした自主制作の中で、徐々に現在のようなテイストになっていきました。