今や"ミリタリー"は、ファッション界にしっかりと根を下ろしている定番モチーフのひとつだ。軍用のユニフォームや戦闘服に由来するカラーやプリント、ディテールは、ストリートからハイブランドに至るまであらゆるところに浸透し、幅広いユーザーに消費されている。もはや、普段はそれらを意識することすらなくなっているかもしれない。
しかし、そもそもミリタリーをファッションとして楽しめるということは、今ここが"戦時下にない"ことの証しだ。軍服を軍服として着用せざるを得ない状況を目にすることも増えている昨今、改めて、戦後日本で"ミリタリーのファッション化"を定着させ、その普及に大きく貢献した伝説のショップ『中田商店』に話を聞いた。
このショップの不思議なところは、訪れるのがいわゆる"軍服マニア"だけではないということ。老若男女、子どもまで、さまざまな客が気軽に商品を購入していく。しかも置いてあるアイテムは、どれも本格的なミリタリー仕様であり、"それっぽいミリタリー調デザイン"などではない。
「扱っているのはサープラス、つまり軍からの余剰物資の放出品や、軍服のレプリカ、軍装品などです。たくさんの人に着てもらいたいので、価格も抑えています」と話してくれたのは、『中田商店』の中田哲二常務。