好きな洋服を纏うと、その日は自分にとって少し特別で「好きな一日」になる。
子どもの頃の筆者は「洋服」にそんな思いを抱いていた。ファッションやオシャレに本格的に興味を持つ、ほんの少し前の短い期間。子ども服というのは、他の洋服とは違い、親と子の間にある関係が見え隠れする。
実際に洋服を着るのは子どもだが、そこにほんの少し(かなり過大な場合もあるだろうが)、親の意見や趣向が入るのが子ども服だ。また、自分自身に「好き」「嫌い」といった“自我”が芽生え、初めて親と子の間で一種の駆け引きが始まるのも子ども服からかもしれない。
いずれにせよ、子ども服というのは、期間限定ではあるものの、親と子を繋ぐどこか架け橋のような役割がある。
ナルミヤ・インターナショナルは、ローティーン世代の洋服に「ジュニア」と名付け、一気に時代の舵を握った会社だ。
その背景には、私たちの価値観や時代も含めてどのような変化があったのだろうか。
今回はナルミヤ・インターナショナルの歴史 とともに、平成の子ども服の変遷について振り返りたい。
80年代から90年代にかけての子ども服
80年代から90年代を振り返ると、子ども服の市場もピークと停滞を繰り返し、そこにはいつも流行の波があった。80年代は母親の子ども服に対する価値観が一気に変わった時代だ。