1993年アメリカ、ニューヨークでスタートした「
POST O'ALLS(ポスト オーバーオールズ)」。創業者にしてデザイナーの大淵毅氏がアメリカに移り住み、1920年代~1930年代のアメリカンビンテージ・ワークウエアをベースとしたブランドを立ち上げて、今年30周年を迎える。今回は大淵氏がこれまで歩んできた30年の話、そして最新シーズンのアイテムについて伺った。
1993年当時、「POST O'ALLS」のようなアプローチでビンテージ・ワークウエアを作っているブランドは他になかった。昔のものをそのまま再現するのではなく、素材や仕様に大淵氏のセンスが反映され、ニューヨークらしい洗練された雰囲気をまとったブランドだった。はじめにPOST O'ALLSができるまでのルーツを知るべく、大淵氏のファッション遍歴をお話しいただこう。
「ファッションエディター[1]だった両親の影響で幼い頃からファッションに興味がありました。10代の半ば頃、古着に目覚め、その後自分にとっての永遠のジャンルとなるビンテージ・ワークウエアと出会いました。
20代の半ばにアメリカ、ニューヨークに移り住み、ブランドを始める前まではデッドストックを探して古着屋さんや古着ディーラーに卸しており、そのためにアメリカ各地を回っていました。そしてF.I.T.というファッション工科大学を卒業し、そこでアパレルの生産、工場や会社経営を学びました」