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2023.10.16

ニューヨークから東京へ「POST O'ALLS(ポスト オーバーオールズ)」30年の歩み

1993年アメリカ、ニューヨークでスタートした「POST O'ALLS(ポスト オーバーオールズ)」。創業者にしてデザイナーの大淵毅氏がアメリカに移り住み、1920年代~1930年代のアメリカンビンテージ・ワークウエアをベースとしたブランドを立ち上げて、今年30周年を迎える。今回は大淵氏がこれまで歩んできた30年の話、そして最新シーズンのアイテムについて伺った。
渡米し、F.I.T.ファッション工科大学を卒業、古着を探しアメリカ各地を回る
渡米し、F.I.T.ファッション工科大学を卒業、古着を探しアメリカ各地を回る
1993年当時、「POST O'ALLS」のようなアプローチでビンテージ・ワークウエアを作っているブランドは他になかった。昔のものをそのまま再現するのではなく、素材や仕様に大淵氏のセンスが反映され、ニューヨークらしい洗練された雰囲気をまとったブランドだった。はじめにPOST O'ALLSができるまでのルーツを知るべく、大淵氏のファッション遍歴をお話しいただこう。
「ファッションエディター[1]だった両親の影響で幼い頃からファッションに興味がありました。10代の半ば頃、古着に目覚め、その後自分にとっての永遠のジャンルとなるビンテージ・ワークウエアと出会いました。
20代の半ばにアメリカ、ニューヨークに移り住み、ブランドを始める前まではデッドストックを探して古着屋さんや古着ディーラーに卸しており、そのためにアメリカ各地を回っていました。そしてF.I.T.というファッション工科大学を卒業し、そこでアパレルの生産、工場や会社経営を学びました」

本場アメリカでやることに意味があった

ここからはPOST O'ALLSを始めた頃のお話を伺おう。30年前、大淵氏が考えていたことや、アメリカでブランドを立ち上げた意味、当時のファッションの時代背景などを引き続きお話しいただいた。
「ブランドを始める何年か前からブランドの構想やアイテムのデザインを始めていました。僕が一番好きなワークウエアは1920年代~1930年代のアメリカものなのですが、当時その時代の古着やデッドストックを探している人は、業界にもほとんどいなかったんです。
デザイナーでさえ1950年代以前のものは知識もあまりないという人も多い頃で、“ビンテージ・ワークウエアでそのときの気分を表現し、マーケットに存在しない新たな顧客層をクリエイトする。”というコンセプト的なものはブランドを立ち上げたときから決まっていました。
アメリカでブランドを始めるというのは、やはりそこに住んでいたので、それが当然のように物事が進んでいきましたし、やるなら本場アメリカで始めたいという思いもありました。もう一つ当時について思い出すのは、ニューヨークに移住することで、欧米人の中のアジア人としての着こなしを意識するようになったこと。そういったこともPOST O'ALLSの服作りに反映されていると思います」
1stコレクションはラスベガスの展示会
1stコレクションはラスベガスの展示会
POST O'ALLSの初コレクションでの大淵氏の思いの詰まった15型のラインナップ。カバーオール、プルオーバーのシャツ、ベスト、ミリタリーシャツとパンツなどがお披露目される。日本はもとより世界中のバイヤーの反応はどういったものだったのだろうか。
「1992年に起業し、翌年の1993年1月にラスベガスの『MAGIC(マジック)』という展示会で秋冬コレクションを発表、そこがブランドの公式デビューでした。
当時は存在しなかったジャンルで、さまざまなテイストや国のお客様をターゲットにしたいと考えていました。結果、多くの日本のお客様からオーダーを頂き、日本以外のお客様ではパリの『HEMISPHERE(エミスフェール)』、アメリカの『FRED SEGAL(フレッド シーガル)』などの有名セレクトショップもオーダーしてくれて、ブランドスタートを切ることができました」
1993年「POST O'ALLS」1stコレクション
1993年「POST O'ALLS」1stコレクション
No.1 Jacket
No.1 Jacket
Engineers' Jacket
Engineers' Jacket
Polarfleece Jacket
Polarfleece Jacket
NAVY Parka
NAVY Parka
ARMY Shirt
ARMY Shirt
1 pocket vest
1 pocket vest
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