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2023.07.13

「アイリッシュセッター」「ポストマン」1世紀以上made in USAにこだわり続けるブーツブランド「RED WING(レッドウィング)」の魅力

アメリカを代表するヘリテージブーツブランドであり、そのクラフトマンシップと耐久性の高さで世界中に愛好家をもつ「RED WING(レッドウィング)」。どんなに時代が変わってもmade in USAを守り続ける頑固なスタンスが魅力だ。
今回はレッドウィング・ジャパン株式会社 アジアマーケティングマネージャー 阿部聖也さんにブランドの歴史から現在のRED WINGのお話までをいろいろと伺った。
「1905年、アメリカ、ミネソタ州のレッドウィング・シティという自然豊かな街で生まれたRED WINGは、110年以上この地に本社を置いています」
創業から4年後に建てられたといわれているRED WING SHOE COMPANYの社屋
創業から4年後に建てられたといわれているRED WING SHOE COMPANYの社屋
現在のRED WING本社
現在のRED WING本社
「創始者のチャールズ・ベックマンは、17歳でドイツから移住し、タンナリー(革のなめし工場)や靴屋で働いたのち14人の仲間と『RED WING SHOE COMPANY(レッドウィング・シュー・カンパニー)』を設立しました」
創始者のチャールズ・ベックマン
創始者のチャールズ・ベックマン

「BROWN CHIEF」というルーツ

ブランドの歴史を振り返るうえでこのブーツが人気になったことが、「今日のRED WINGに繋がっているのではないだろうか」というアイテムがあるそうだ。
「RED WINGのベースは、創業の100年以上前から存在したワークブーツというカテゴリーであることは大前提なのですが、肥料や水に強い加工を施した革を使った『BROWN CHIEF(ブラウン チーフ)』という農業向けのモデルが、RED WING最初のヒットアイテムだったのではないでしょうか。
1910年代、当時のブーツは10ホールで、8インチほどの高さがあり、ヒールが付いていてつま先はラウンドトゥというフォルムが基本型で、ここから職業や用途に特化した型に派生していったと考えられます。このBROWN CHIEFは7ホールで6インチブーツタイプになっています」
ブランドに残っているBROWN CHIEFのイラスト
ブランドに残っているBROWN CHIEFのイラスト

こだわり続ける「made in USA」

チャールズ・ベックマンの靴に対する情熱を受け継ぐように、RED WINGは高品質で頑丈な革と高いクオリティを維持するため、靴作りのすべてをミネソタ州の自社工場で行っている。
タフな作りや、履き込むほどに味が出る表革も、ラフアウトといわれる分厚いスエードも、この雰囲気は自社の一貫生産体制がなせるものだと思われる。ここからはRED WINGのもの作りに関してお話ししていただこう。
「数年前、RED WINGはサイバーテロにあいまして、アメリカ本社はもちろん、サテライトである、日本、ヨーロッパ、すべてが攻撃され、靴作りのレシピなどが使えなくなってしまい、今までどおりのスケジュールで靴をリリースすることができなくなってしまったんです。
それでもRED WINGには歴史のある製品が多く、ラインナップの中には手書きのレシピが残っていたり、熟練工もいたりするので、生産を全て止めるまではいかず靴作り自体は続けられたのですが、同時にコロナのロックダウン、そして記録的な物価高など、近年は靴作りをするにはなかなか難しい状況が続いていました。
RED WINGは、長年労働者のためのワークブーツを作ってきたブランド、だという自負があるので、値段が高騰し過ぎてしまうのも本意ではないというところではあります。厳しい状況でもクオリティは変えることなくRED WINGの靴作りに取り組み、今リリースできるアイテムをできる限り世に送り出しています」
RED WING自社タンナリー
RED WING自社タンナリー
RED WING自社工場
RED WING自社工場

2268 ENGINEERで1990年代を振り返る

1990年代初頭、“渋カジ”というキーワードとともにRED WINGのエンジニアブーツが大流行する。当時の渋谷・原宿はエンジニアブーツを履くならRED WINGじゃなきゃダメだというほどの雰囲気だったという。そんなエンジニアブーツとともに1990年代を振り返ってていこう。
「ファッションとしてここまで流行ったのは日本だけなのですが、RED WINGのエンジニアブーツはそのタフさだったり、シルエットだったりが靴として優れているアイテムで、バイカーファッションやアメカジフリークの方たちを中心にずっと愛用していただいているアイテムです。それは2000年代に入っても変わらず続いていました。
2020年頃からは、アメリカでの生産が、日本輸出用のものを含めて止まっている状態です。ですが、エンジニアブーツが廃盤になったわけではないので、またいつか生産が再開するのを待っていただいければと思います」
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