Fashion Tech News symbol
2024.05.17

実は知らないことが多い!?執事服にまつわる意外な事実

リンクをコピーしました
漫画やアニメからの人気もあり、2010年以降から「執事」という名前の知名度はより上がっていった。
90年代から2000年代初めは、執事といえばどことなく初老のイメージがあったが、最近では漫画『黒執事』のセバスチャンのような、スタリッシュなイメージがあるのは筆者だけではないはずだ。
しかし、一般的に「執事」と関わることがある人はそう多くはないだろう。はたして、「執事」は本当に漫画のような服装を普段からしているのか?また、着こなしに細かいルールなどはあるのだろうか?筆者の尽きない好奇心に、全日本執事協会のベルさんが丁寧に答えてくれた。
PROFILE|プロフィール
ベル(Bell)
ベル(Bell)

全日本執事協会 三代目頭取
階級:ハウススチュワード + 頭取
好きな紅茶:F&Mのロイヤルブレンド

TPOに応じてさまざま…執事服の基本のスタイルとは?

今回、取材に応じてくれた全日本執事協会のベルさんは、同協会の3代目・会長となる。意外にも、日本での執事の歴史は長い。
全日本執事協会は、創設者・田中慎吾が1890年に西洋の執事術と日本の伝統的なおもてなしの精神を組み合わせることを目指し、「執事協会」を立ち上げ、日本の執事文化の基礎を形成した。
ベルさんの祖父も生涯を執事として送っており、その凛々しい姿に憧れて執事の職に就いたという。
取材時のベルさんは、気品のあるモーニングコートで対応してくれた。
執事服というとスーツよりも黒の燕尾服のイメージが強い。しかし海外ならともかく、日本の街並みで考えるとやはり燕尾服は目立つように思ってしまう。現代の執事は、どのようなスタイルが主流なのだろうか。
「我々の正装という形でいうと、モーニングが一番の正装になります。
ネクタイやベストの色に関しては、執事の好みによっていろいろ自由に選ぶことができます。一般的にはモーニングを着用して、シーンよっては燕尾服を着て振る舞うこともあります。
ただやはり、モーニングにしても、燕尾服にしても、場所によっては目立ってしまいます。ですので、ご主人様のお子様の送迎であったりするときには、目立たないようにスーツでお願いされることもありますね」
初めての執事服に関しては、代々継がれるテーラー屋で調達しているというのが、全日本執事協会の伝統だという。しかし、2着目、3着目に関しては、銀座の英国屋でオーダーしてもいいし、自由だそうだ。また、ベルさんの執事服にも独自のこだわりがある。
「執事は黒をイメージするところがありますが、意外と海外では、ベストの色がグレーの執事が多いです。日本でもグレーのベストを着用している執事もいますが、そういった中でも私は黒を多めにコーディネートをしているところがこだわりではあります。
その理由としては、全日本執事協会の歴史として、『執事は黒子のように目立たないことが重要である』という教えがありますので、私はやや黒の配色を多めに意識していますね」
漫画やアニメの影響で、執事服は黒でなければいけないイメージがあるが、実は色に関しては特に厳しいルールもないという。また、関西方面の執事はネクタイよりも蝶ネクタイが主流だったりするそうだ。
「服装だけではなく、一時期は関東と関西で執事協会が2つに分かれたこともありました。
当時、関西の執事協会には蝶ネクタイと白ベストというルールがありましたので、伝統的に今もそれが続いているところがあります。ですので、関西の執事は白の蝶ネクタイに白ベストを合わせて着る方が結構多いです。ジャケットは黒が基本ですが、ベストの色は割と自由だったりします」
執事のアイテムで思い浮かべてしまうのが、懐中時計と白い手袋だ。
イギリスの執事のイメージだと、さらにシルクハットのアイテムも追加されるが、こうした正にといったアイテムを実際に使用することはあるのだろうか。
「一応、懐中時計は執事スタイルのひとつとしてありますので、常時身に着けておくというのがルールにはあります。
ただ正直に言いますと、懐中時計よりもスマートフォンを使う方が早いです(笑)。
またスーツの場合でも、懐中時計のつけ方もいろいろとあるのですが、特にモーニングや燕尾服を着ているときは、基本的に懐中時計をつけましょうというルールがありますね」
現代では、なかなかシルクハットを見かけることは少ないが、大きなパーティーでは実際にシルクハットを着用することもあるという。
「正装のときや、特にドアマンがお客様を出迎えるときはシルクハットをかぶってお迎えをするということが多かったりします。しかし、夏はどうしても暑いということもあり、場所によってはかぶらないこともあります。
でも、白い手袋は常時していますね。理由は、汚さないためが一番のメインではありますが、高価なものを触る機会が多いので、そこに我々の指紋をつけないようにするために、いつも手袋をつけています」
1 / 2 ページ
この記事をシェアする
リンクをコピーしました