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2024.03.14

『ちゃお』伝説的漫画家・今井康絵先生が語る、服飾漫画の魅力と平成の少女たち

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少女が憧れる職業というのは、時代によって変わるが、今井康絵先生の描く職業に憧れた人も多いだろう。
『シンデレラコレクション』ではモデル、『原宿バンビーナ』ではファッションデザイナー、『はじけてB.B』では歌手…と誰もが一度は憧れる職業を作品にしてきた。
その作品の中でも、特に『シンデレラコレクション』は、モデルという職業にただ憧れるだけではなく、本気で目指すきっかけになった人もいたはずだ。
今回は平成の『ちゃお』で、常に少女の夢を描き続けてきた今井康絵先生に、当時のエピソードを交えつつ、各キャラクターの衣装、また今井康絵先生が描いた平成の女の子について語っていただいた。
PROFILE|プロフィール
今井 康絵(いまい やすえ)

漫画家
10月23日東京生まれ。犬と猫が好き、趣味はバレエ。
2003年、デビュー作「たなばたラプソディー」でちゃお(小学館)に登場。以降、児童書からコメディ、ホラー、歴史ものまで幅広いジャンルの作品を発表。主な作品に「スターダムドリームズ」(プロレス漫画/ぷっちぐみ)、「あなたのスマホ 知らないアプリ入っていませんか」(ホラー/妻プチ)など。Comic I'ma(アイマ)でも作品を連載中。2024年4月には学習漫画「エリザベス2世」新刊が発売予定。
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みんながニーナに憧れた『シンデレラコレクション』

©今井康絵/小学館
©今井康絵/小学館
2000年代に少女を夢中にさせたナルミヤ・インターナショナルは、アパレルの枠を飛び超えて、少女漫画の世界にも影響を及ぼした。
2003年に『ちゃお』で連載された『シンデレラコレクション』は、メゾピアノとコラボレーションした作品であり、真面目でオシャレに興味のなかった主人公・夏川ニーナが、モデルに応募してさまざまな苦難を乗り越える物語だ。
作品の中でニーナは、全編を通してメゾピアノの服に身をつつみ、戸惑いながらもモデル業に奮闘していく。
当時、『ピチレモン』や『ニコラ』といった、ジュニア向けファッション雑誌が人気だったことにより、「モデル」という職業は、ジュニア世代にも憧れの的となった。
『シンデレラコレクション』には多くの反響があり、実際に『ちゃおサマーフェスティバル』で開催された、「ニーナをさがせ!!モデルオーディション!!」で夢を叶えた少女がいたことからも、その影響力の高さがうかがえる。
合格者はアミューズに所属できるオーディションで、漫画の世界への憧れから、リアルな世界でチャンスを掴む少女もいた。現在、女優として活躍する、仲里依紗もそのひとりだ。
たくさんの少女の夢とともに連載された『シンデレラコレクション』。一体、どのような経緯でメゾピアノとのタイアップが決まったのだろうか。
「編集さんに洋服に関する漫画を描きたいと話をしているときに、当時ジュニアブランドで人気だったナルミヤ・インターナショナルの話が持ち上がりました。そこで、連載が始まる前に、一度ナルミヤ・インターナショナルに伺って、当時の社長と広報さんにお会いした経緯があります。緊張してどうしよう…と不安だったのですが、すぐにOKが出て、資料を用意してくださいました」
『シンデレラコレクション』では、毎回ニーナの衣装が違うのも作品の魅力だ。
衣装のひとつをとっても、細かいところまで丁寧に描かれ、作品を通してメゾピアノの魅力が伝わってくる。
連載時は、ディテールの細かさやロゴの入れ方など、ナルミヤ・インターナショナルからのさまざまなチェックが入ったという。
「たくさんの雑誌とデザインを送ってくださるので、ひと足先にトレンドを取り入れて、衣装を描いていました。細かいところまで、広報の方のチェックが入って、ディテールの足りない部分やロゴを描き入れたりしていましたね。
当時のデザイナーさんたちとも食事に行って、いろいろお話を聞かせてもらったのも思い出のひとつです。皆さん、本当にお洋服が大好きで、可愛い洋服を作りたい!という熱量が凄かったですね。お洋服のイメージボードもいっぱい見せてもらって、展示会にも毎回行かせていただいた思い出があります」
©今井康絵/小学館
©今井康絵/小学館

ファッションの魅力を深く知る、『原宿バンビーナ』

©今井康絵/小学館
©今井康絵/小学館
そして、『シンデレラコレクション』の前に連載されていた、『原宿バンビーナ』も忘れてはならない。
2001年に連載された『原宿バンビーナ』は、主人公のバンビが被服科に通うなかで、ファッションデザイナーを目指す物語だ。
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