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2020.01.31

サステナブルの思想と技術を広めるAllbirds、日本での反響は?

世界一快適な履き心地とサステナブルなテクノロジーで、注目を集める「Allbirds(オールバーズ)」。その日本第1号店が2020年1月10日原宿にオープンし、連日大盛況だ。Allbirdsはサンフランシスコのスタートアップ企業で、元サッカーニュージーランド代表のティム・ブラウンとバイオテクノロジーの専門家であるジョーイ・ズウィリンジャーが2016年に設立。シンプルなデザイン、洗濯機で丸ごと洗濯できる、手入れのしやすさなども人気の理由だ。
しかし、その最大の特徴は環境に配慮したサステナブルなものづくりだろう。今やシグニチャーとなっている「Wool Runners(ウールランナー)」は、最高級のメリノウールを使用。他にも、ユーカリの木の繊維からつくられたシューズなど、6種類のラインナップを展開。靴紐もペットボトルからつくられ、靴底はブラジル産のサトウキビを加工した素材。靴箱ももちろん、再生ダンボールを90%使用している。
徹底したサステナブルなものづくりはシリコンバレーを中心に支持を集め、Googleの共同創業者のラリー・ペイジやTwitter元CEOのディック・カストロも愛用。アカデミー賞の受賞経験もあり、環境活動家のレオナルド・ディカプリオは出資を行っている。
今回は、サステナビリティへの取り組みの基礎となる研究開発、そして日本でのサステナブルなプロダクトの広まりについて、日本でのマーケティング戦略を担う蓑輪光浩氏に話を伺った。

マテリアルイノベーションカンパニー

サステナブルなものづくりが特徴ですが、自社で素材開発からしているのでしょうか?
そうですね。共同創業者のジョーイ・ズウィリンジャーは、再生可能な資源に対しての研究開発を長年ずっとやっています。彼の思想は「我々の会社はマテリアルイノベーションカンパニーだ。」ということ。素材をどう快適にし、地球に還すのかというのを第一に考えています。
自分はもともとスポーツカンパニーにいましたが、そこでのシューズの開発はスポーツのパフォーマンス向上に対しての研究を主に行っています。一方でAllbirdsの場合は、どうやったら地球に優しく、そしてタイムレスなデザインを多くの人に履いてもらえるかという思想から入るので対極だと思います。もちろん他社も環境にやさしいプロダクトをコレクションと出していますが、我々はマテリアルイノベーションカンパニーいうところに行き着きます。
もっとも中心的な素材は、どんなものでしょうか?
アッパーだとウール、ミッドソールだとSweetFoam™という素材が全部のプラットフォームで使われています。SweetFoam™はサトウキビを原料にした素材です。サトウキビは自生し、あまり手間がかからない。世界初のカーボンネガティブな樹脂素材です。
廃棄も環境負荷が低いのでしょうか?
そうだと思います。また廃棄ではなく、回収してリサイクルすることも、これからやらないといけないと思っています。アメリカは既に、Soles4Soulsというコミュニティに還元しています。また基本的に30日間どんな理由でも返品無料にしているので、まだ命あるプロダクトを活用していきたいため、日本も検討していきたいと思います。

オープンソースで行う研究開発

研究開発は、基本的にはアメリカで行っているのでしょうか?
そうですね。アメリカのチームに研究者がいて、ジョーイのネットワークを活用して開発しています。まさにインターネット世代だなと思ったのが、基本的にオープンソースにしているところです。権利を抑えて囲むのではなく、より多くの人に使ってもらうようにしています。SweetFoam™では、今は100社ぐらいが参考にし、なかには商品化されたものもあると聞いています。
より多く使われて需要が増えることで、研究開発への投資が増えてコストが下がります。そうすると、サービス的には地球に優しくなるという思想が強く存在します。
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