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2022.12.16

ドレス仕立てのチノパンを手がける日本製のブランドBARNSTORMER(バーンストーマー)の45年の歴史とクォリティに迫る

1977年、アメリカのチノパンそのものを日本で作ろうという人がいた。
ブランド「BARNSTORMER(バーンストーマー)」の創業デザイナーだ。アメリカから輸入されたミシンを揃え、アメリカのチノ生地を再現し作り上げたチノパンはのちに“パンツのBARNSTORMER”と呼ばれる様になった。
清澄白河の隅田川沿いにあるアトリエ兼ショップにて、創業者の息子である2代目デザイナー海老根モンロウ氏に創業当時から現在までのお話しを聞かせてもらった。
清澄白河にあるBARNSTORMERのアトリエ兼ショップ。商品の他、ブランドの世界観を作る様な物が飾られている
清澄白河にあるBARNSTORMERのアトリエ兼ショップ。商品の他、ブランドの世界観を作る様な物が飾られている

MADE IN USAを日本で作る

「1977年に先代である父が立ち上げました。その当時はアパレルメーカーが今ほど沢山あった訳ではなく、インポーターのような海外ブランドを持ってくる会社やインポートセレクトショップみたいなものが出来て来たという時代でした。
その時、父はインポートのものを持ってくるのではなく、『アメリカのそのままの物を日本で作ろう』という考えでした、当時の国内生産はまだどちらかと言うと、仕立屋さんとかオーダーメイドが主流で既製服の種類が少なかった時代。その中でパートナーシップをとってくれる工場を探し、日本でアメリカのミシンを輸入している会社経由でミシンを用意して、アメリカと同じものを日本で縫えるようにという準備を進めました。
生地も日本とアメリカの生地では番手が違ったりするので、生地もパートナーシップをとってくれる生地屋を探して1から作り始めたと言う感じです。『このミシンがないとこれが縫えない』、みたいになるとそのミシンをまた探して輸入してもらってという感じで1つ1つやっていった様です。
BARNSTORMERがはじまった時はフルラインナップでパンツ以外も展開しています。今もジャケット等、パンツ以外も作っています。パンツの専門みたいな存在のブランドも少なかったせいか、ブランドがスタートして程なく品揃えしてもらうセレクトショップでパンツが評判になり、のちに“パンツのBARNSTORMER”と呼ばれるようになりました」

スーツ工場で作るカジュアルパンツがBARNSTORMERのこだわり

こだわりを聞くとBARNSTORMERのチノパンには特別感がある事が分かる。普通のチノパンとBARNSTORMERのチノパンでは何が違うのかを話してもらった。
「先代の頃から特化していたのは、スーツ工場の組下[1]を縫う所でカジュアルパンツを縫っていたというのが、昔から今も変わらず取り組んでいることです。デニムパンツの工場というのは70年代でもうたくさんあって、そこでもカジュアルなパンツというものは縫われていました。
スラックスを縫う工場でカジュアルパンツを縫っていたという事が、他のカジュアルパンツとBARNSTORMERの違うところです。スラックスの工場で縫うという事は、カジュアルパンツでもキレイなシルエットで縫製もキレイで全体的に上品に仕上がるころが特徴です。
アメリカの工場は50年代60年代どんどん発達して行き大量生産になって行くのですが、最初は紳士服からスタートしているので、スラックス工場が多かったらしいんですね。なのでカジュアルパンツもスラックス工場で縫っていたっていうことがアメリカではあったんですが、それを日本でも同じようにできないかっていう事なんです」
これは定番のパンツに付いてくるリーフレットモンロウ氏の手書きの絵型にこだわりの説明文が記されている
これは定番のパンツに付いてくるリーフレットモンロウ氏の手書きの絵型にこだわりの説明文が記されている
「スラックス工場で作る場合、チノ生地であっても基本的にスーツのパンツなので、前、膝上からももの付け根にかけての曲線と後、膝裏からヒップにかけての曲線を仕立屋さんがカーブをつけて縫うというのが基本スタイルです。その後、世界大戦の後に出てくるチノパンは頑丈に縫う為に2本針で縫うようになるのですが、2本針というのはこのカーブをつけずに縫うので、直線的なシルエットになってしまう。この”カーブ”がきれいなシルエットを作っているという訳です」
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