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2023.05.18

エシカルファッションを広めるEnter the E:環境問題とファッション業界の未来への取り組み

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つくる人と環境に配慮した洋服だけを扱うエシカルファッション専門セレクトショップを運営しているEnter the E株式会社。ファッション業界が引き起こしている環境問題や人的被害をなくしたいと2019年に立ち上げられた会社で、近年ではオリジナルブランドの展開も行っている。
今回は同社の代表取締役社長である植月友美さんに話を伺い、エシカルファッション事業設立の背景や、洋服におけるサステナブルな選択について教えてもらった。
PROFILE|プロフィール
植月 友美
植月 友美

Enter the E
CEO/ ショップオーナー/バイヤー/ディレクター

2009年、杜撰なファッション業界の環境破壊を目の当たりにし、人や地球に迷惑をかけずに洋服を楽しめる社会をつくること決意。
人生をかけて、「地球と人が洋服を楽しめる社会の両立」の実現に挑む。
2019年Enter the E創業。
2019年ジャパンソーシャルビジネスサミット 審査員特別賞受賞
2020年Flauエシカルアワード受賞
2021年サステナブルブランド国際会議出演
2022年ソーシャルプロダクツアワード ソーシャルプロダクツ賞受賞
2023年グローバルコンテストファッションバリューチャレンジ 日本ファイナリスト
エシカルやサステイナブルファッションに関する監修、講演活動も積極的に行っている。
Twitter

大好きな洋服が何かや誰かの犠牲の上で成り立つ社会を変えたい

Enter the E株式会社はどのような経緯から設立されたのでしょうか。
もともと祖父が洋品店だったこともあって、幼い頃から服に興味があり、洋服で商売をするという方向性は随分前から決めていました。2006年頃、グローバルビジネスや経営を学ぶためにニューヨークで働くことになったのですが、その時に私は癌を患ってしまいました。それが洋服との向き合い方が変わったきっかけとなりました。
癌になったことで人生においての時間が限られていることに気づき、人生を思いっきり楽しみたいという気持ちから、好きな洋服に思いっきりお金を使うようになりました。洋服は他人に迷惑をかけない唯一の楽しみと思っていたため、気づけば借金が500万円になりました。借金までして人生を楽しもうと思ったのに私は満たされず、自分だけ楽しいファッションに虚しささえ感じました
借金と癌を同時に味わった私はどん底ながらも「何のために生きるのか」考え、出た答えが「どうせ死ぬなら誰かの役に立って死にたい」という想いでした。また、「どうせなら自分の好きな洋服で誰かや何かの役に立ちたい」という欲が湧いていることに気づきました
湧きたつ衝動にかられ「服 貢献」や「服 問題」のように洋服の問題について調べ始めたのが2009年でした。そんななかコットンを育てる際に空から大量に散布材を蒔く映像を見ました。
畑は枯れ、農家さんの皮膚や呼吸に影響を受けている姿を目撃したのです。私は愕然としました。自分が大好きで買い続けていた服が製造工程で環境破壊や健康被害を生んでいるとは夢にも思っていませんでした。この衝撃的な事実をきっかけに、大好きな洋服が何かや誰かの犠牲の上で成り立つ社会を変えなくては、変えるためにどうしたらいいのか考えるようになりました。
唯一の救いだった洋服の裏側にも絶望した私は、なぜ知ることができなかったのか疑問に思い、私のように知らない人が知らずに加担し続ける社会をこのまま未来に伝承してはだめだと強く思いました。なぜ知ることができなかったのか、1つの結論は日本の洋服の自給率の低さにあると思ったのです。
日本の洋服の自給率は2.7%とかなり低いため、インドやトルコのように洋服の生産背景における問題を知る機会がないのだと結論付けました。そこで消費者が生産者体験をすれば服への見方が変わると仮説をたて、自分で育てたオーガニックコットンで服を作ることができる自産自着のビジネスをつくることにしました。
畑で作物を育ててTシャツを作り、サブスクリプションの形式でビジネスにしようと10年間試行錯誤を繰り返していましたが、当時つくる人や環境に配慮するオーガニックやフェアトレードなどの認知度もニーズも低く、ビジネスとして継続的なモデルの難しさに直面しました。
なぜオーガニックやフェアトレードのニーズも認知も少ないのだろうとまた考えたときに、日本では圧倒的にエシカルファッションといわれるジャンルの物流の量が少ないことに気が付きました。つまり街を歩いていてもエシカルファッションのブランドに出会わないということです。また、あったとしても高価でナチュラルか、オリエンタルな雰囲気で到底普段着れないものばかり。改めて、エシカルファッションの選択肢を増やすことから始めようということにたどり着きました。
その後、2019年に今の会社を設立し、ファッションが地球や人に迷惑をかけない社会に向け一歩踏み出しました。現在はまだ新しいベンチャーであり、小さな会社ですが、洋服で地球に恩返しできるように、ファッションビジネスで生んでしまった社会問題をビジネスで解決できるように進めていきます。
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