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2022.07.22

「浸透スピードの速さは国内ニーズの高さ」fermataが語るフェムテック市場

アジア・日本のフェムテック市場を牽引しているfermata(フェルマータ)株式会社。2019年の創業以来、「あなたのタブーがワクワクに変わる日まで」をビジョンに掲げ、未だタブー視される傾向にある女性のウェルネス課題を解決・支援する事業を行っている。
“フェムテック”は近年ますます浸透しており、商品をさまざまなショップで見かけたり、イベントなどをはじめとした企業の取り組みなども増えてきた。そんなフェムテックが日本に上陸してから現在に至るまで、どのような過程があったのか。同社のCOOである近藤 佳奈さんに話を伺った。
PROFILE|プロフィール
近藤 佳奈(こんどう・かな)

1989年生まれ。神戸大学卒。ピクシブ株式会社で新規事業立ち上げ、企画営業、サービスディレクションを担当後、2015年から株式会社ディー・エヌ・エーへ。動画配信サービス「SHOWROOM」チームにDeNAグループからのスピンオフを経て約4年半在籍。マネージャーとしてビジネスおよびプロダクト開発を担当した。2019年12月、fermataに参画。事業戦略、マーケティング、営業等を統括する。

フェムテックの浸透スピードはトップクラス

まず、fermata様で展開されているサービスの概要を教えてください。
fermata は、B2C向けにECサービスやイベントの展開、B2B向けにフェムテック市場への参入に関するコンサルティング等の事業を展開しています。欧米のスタートアップ業界で話題となっていたフェムテック市場を日本・アジアにも創出しようと、2019年10月に創業しました。まず何から取り掛かろうか考えた時に、女性の心身にまつわるモヤモヤは全く言語化されていないということに気が付きました。
たとえば生理中のムレが気になったとしても、仕方がないと我慢して過ごしている方がほとんどだったと思います。課題が言語化されていなければ、企業もその課題に対する商品を作ろうという発想に至りませんし、国も動きません。
しかし、ニーズがあると分かれば企業が動き、国も制度を整えていきます。そこで、まずは日本とアジアにフェムテックという市場を作っていこうという考え方に辿り着いたのが創業時のことでした。そこから市場を作るために、消費者に対して啓蒙を行ったり直接物を届けたり、企業に対してコンサルテーションやイベントを行ったりしました。必要だと思うことを1つずつやっていった結果、現在に至ります。
今ではフェムテックは日本国内でかなり浸透してきていますよね。
「日本は遅れているのか」と聞かれることも多いですが、たとえば国が動き出したり、大企業が参入するスピードをみても、日本は相当早かったと思います。元々フェムテックという言葉はスタートアップ企業が投資家に対して使っていたので、特に欧米だと一般の人はあまり知らないですし、日本のようにスタートアップ界隈じゃない企業が、フェムテックという言葉を知っているのは珍しいケースかと思います。
浸透スピードの速さは、日本国内のニーズの高さを表しているのでしょうか。
そうだと思います。あと、いろんな方が関心を向けてくれたので「こんなのあるんだ」と気づいてくれる消費者が増えていったのかなと。私たちが行っている大型イベント「Femtech fes!」もB2C向けにやっているイベントなので、そういった活動から消費者が話題にし始め、企業も動かなきゃという流れになっていったんだと思います。
また、フェムテックという言葉がさまざまなシーンで使われているのも日本の特徴です。日常生活においても浸透してきていますし、日本の大企業では新しい開発資金や新規プロジェクトの立案などの際に使う言葉としても役立っているそうで、色々なカウンターパートが一丸となって市場を盛り上げているのはいいことだと思います。

ショールーム目的の店舗展開

フェムテック商品をどのように流通させているのでしょうか?
誰も見たことない商品なので、手に取れる場は意識的に作るようにしています。既存のECのメソッドを使えば売れるというものではないので、何を書けばユーザーの不安を乗り越えられるかどうかや、法的に問題がない表現かどうかなどはとても気をつけています。EC事業も展開しながら、フェムテック商品を直接手にとって購入できる全国のショップやサロン、クリニックに置いてもらっているんです。実際に訪れた方が「この商品はこんな硬さなんだ」「これだったら私も使えるかもしれない」と、商品を触ってみて初めて購入を考えたり、商品について店員さんに話を聞くこともできます。
実はfermataが取り扱う商品を置いている店舗は、すべて担当者さんから「うちの店舗に置きたい」と連絡をいただき取り扱っていただいています。「いいものだからみんなに広めたい」と少しでもいいから置きたい、という気持ちをもった方たちが各お店にいます。一方で、まだ興味を持っていない人たちに良さを伝えることも私たちの仕事なので、そのような取り組みは今後も積極的にやっていきたいと考えています。
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