ドイツ・ベルリンで2021年に誕生したレザーグッズブランド、
NOWHOW(ナウハウ)。手掛けるのは、靴や革小物の修理職人と、舞台芸術の演出家。パンデミックでキャリアが一時的に断たれた2人が出会い、生まれたのは「今(NOW)と、どのように(HOW)向き合うか」という哲学を体現した、“育てる道具”としてのバッグだった。
ファッションの専門的な教育を受けていないからこその、常識にとらわれないデザイン。修理職人の知見を生かした「壊れにくく、修理しやすい」設計。そして、購入時が頂点ではなく、使い込むほどに価値が増す経年“変化”の美学。スローファッションが注目される今、大量生産とは一線を画すものづくりでファンを広げる2人に、その思想の源泉と未来への展望を尋ねた。
PROFILE|プロフィール

宮坂 昌史(みやさか まさふみ)
NOWHOW共同代表兼職人
日本で靴修理の技術を学び、ベルリンでも職人として経験を積んだ後、2021年にNOWHOWを共同設立。靴やレザーグッズの修理職人としての知識と経験を生かした繊細で丁寧な手仕事を礎に、全てのプロダクトを自社アトリエで一つひとつ手作業により製作している。
PROFILE|プロフィール

宮坂 苑子(みやさか そのこ)
NOWHOW共同代表兼クリエイティブ・ディレクター
舞台芸術の分野で演出助手・演出家として活動を続ける一方、自らの感性を形にする場として、NOWHOWを共同設立。異なる分野での活動の経験を生かし、ブランドの方向性や表現をディレクションしている。
ロックダウンをきっかけにブランドを始動
そもそも、どのような経緯でベルリンを拠点にするようになったんですか?
昌史 僕は東京で6年間、靴修理の仕事をしていたんですが、海外で暮らしてみたいという気持ちが強くなり、30歳のときにワーキングホリデーでベルリンに来たのがきっかけです。こちらに来てからは、地元の修理屋とフリーランスでも靴やバッグの修理の仕事をしてきました。