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2024.07.30

“ありそうでないカバン”を手がける香川発のブランド「カワニシカバン」

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現在、YouTubeで登録者7万人を超えるチャンネル「カワニシカバンの休日」。自社製品のカバンの魅力を発信するだけでなく、他社ブランドやさまざまな職業の人が使っているカバンを取り上げ、忖度のないレビューをすることで人気を博している。
カワニシカバンは香川県高松市でながく愛されるものづくりを追求している工房だ。その商品の魅力は、他社にはない独特な着眼点で設計されるカバンの数々だろう。クラウドファンディングサイトであるMakuakeでの成功を皮切りに、バッグ愛好家の心をくすぐる製品を作り続けている。
同社代表の川西功志さんに、カワニシカバンの立ち上げからYouTubeでの発信まで、ものづくりに対する思いを聞いた。
PROFILE|プロフィール
川西 功志(かわにし あつし)
川西 功志(かわにし あつし)

カワニシカバン社長

下請けから自社製品の販売へ

これまでの経歴を教えてください。
2015年にカバンの下請け工場として独立しました。当時は下請けの労働環境が良くなかったので、その改善のために単価を上げ、給料の底上げを図ることにしました。それが2016年の12月のことです。
このとき、社員は僕らの他にパートさんを含めて4名いました。会社として成長していくために正社員を雇い始めた途端、仕事がなくなってしまいました。単価を上げたことで、仕事が入ってこなくなったんですね。
僕が頭を下げて、仕事をくださいと言って回ることもできたのですが、自分たちで自社製品を販売していく方針を選びました。ここからカワニシカバンが本格的に活動していくことになります。
自社製品に舵取りし、滑り出しはどうでしたか。
ECサイトでは売れず、イベントの盛り上がりもいまいちでした。そこでクラウドファンディングに挑戦することになります。
2017年にMakuakeで初めてクラウドファンディングを行い、最終的には50個ほど売れました。手数料を払っても40万円くらいの売り上げになり、1つ8,000円ほどで販売できたことになります。これは大きな経験になりました。
下請けの仕事に比べると単価が大きく違っていたので、ここに活路があると思いました。
「ながく愛されるものづくり」という理念について、教えてください。
昔、美容師をしている社長さんに言われたことがあります。僕のように「日本一のカバン屋になるぞ」と突き進んでも、女性はそこにワクワクしないよ、と。話を聞いてみると、女性は未来に向かって突き進むより、キラキラしている自分がそこにいるかどうかを大事にしていると言うんですね。
ものづくりの現場では、多くの女性が活躍しています。その人たちが輝くには何ができるかと考えた結果、僕らの行動自体がながく愛されるものになる必要があると考えました。
いまではInstagramのライブをするといったところでもスタッフは生き生きしていますし、それを見たお客様がスタッフを目当てにお店に足を運んでくれるようにもなりました。そこから新たなコミュニケーションが発生していくのだと思います。
カワニシカバンのものづくりで大切にしていることを教えてください。
これだけは絶対にしない、というのを決めています。それは、セールと値下げです。今日買った商品が3ヶ月後に50%オフになってたら、絶対にがっかりしますからね。
そのためには、1シーズンのみの流行を追うことはせず、来年、再来年と使い続けられるデザインを考えています。それが長く愛されるものづくりの体現になります。
また、基本的に自社商品は100%修理対応させていただいています。修理の金額設定も他社さんの半額くらいにしています。

徹底したこだわりがある製品

「レザーラフ」H約14×W約22.5×D約10cm 重量:360g 23,900円(税込)
「レザーラフ」H約14×W約22.5×D約10cm 重量:360g 23,900円(税込)
大人気商品である高機能カメラバッグ「lauff(ラフ)」の誕生秘話を教えてください。
きっかけは、友人がYouTubeでカメラを紹介していたことです。動画配信の影響力の高さは知っていたので、彼が望む最高のバッグを作るから、動画内で紹介してくれと頼んだんですね。
そこで出来上がったのが、彼のこだわりが詰まったカメラバッグです。一切の妥協がない、従来とはまったく異なる商品になりました。
一切の妥協がないということですが、他の製品とどこが違うのでしょうか。
形としては、ミラーレスカメラが入るボディバッグになります。大きな特徴として、体にフィットしやすいようバッグ本体に対して斜めにベルトが付いています。一般的なものは、バッグに対して垂直にベルトが付いているので、体に密着しないんですね。
また、カメラを徹底的に守るという観点から、前面には7mm、背面には5mm、底には10mmと様々な厚みのクッション材を敷き詰めています。そのため、非常に柔らかい革を使っているにもかかわらず、立体的な構造に仕上がっています。
使用しているセトウチレザーは、撥水レザーを採用し、止水ファスナーを取り入れました。開口部も大きく開くように設計して、取り出す際カメラが傷つかないように配慮しています。
従来のカメラバッグと大きく違うのは、仕切りが面ファスナーで移動できることです。通常、カメラを固定するために、バッグ内部に仕切りがあるのですが、それを移動させて疑似的なポケットを作れるようにしました。
シンプルな見た目とは裏腹にすごく機能的です。
もうひとつ特徴的なのは、荷物をたくさん入れても、バッグの形がいびつにならない点です。スマートフォンやワイヤレスイヤホン、充電器など立体的なものをバッグに入れても、マチを設けることで、表面に荷物の跡が浮かび上がらないような設計を採用しました。見た目に反して大容量なので、旅行へのサブバッグとして使われる方も多いです。
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