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2024.02.15

脚ケアが明日への活力に。多様なニーズを捉えて商品を展開する「メディキュット」

脚がすっきりしない感覚に悩まされた経験がある方も多いだろう。翌朝になっても悩みが続くと、外出するのが億劫になることもあるものだ。
そのような悩みを和らげられるようにと開発されたのが、「レキットベンキーザー・ジャパン株式会社」が展開している『メディキュット』だ。メディキュットといえばレディース商品をイメージする方も多いかもしれないが、実は2023年からメンズ商品も販売を開始。性別や年齢を問わず、“脚の悩み”に対して多様なニーズに応える商品を展開している。
今回は、レキットベンキーザー・ジャパン株式会社の平川さんと鈴木さんにインタビューを実施。メディキュットが誕生した背景のほか、商品作りへのこだわりや思いについて話を伺った。
PROFILE|プロフィール
平川 ケイロスソウザ 裕子(ひらかわ ゆうこ)
平川 ケイロスソウザ 裕子(ひらかわ ゆうこ)

レキットベンキーザー・ジャパン株式会社
マーケティング本部 カテゴリーマネージャー

PROFILE|プロフィール
鈴木 涼平(すずき りょうへい)
鈴木 涼平(すずき りょうへい)

レキットベンキーザー・ジャパン株式会社
マーケティング本部 アシスタントブランドマネージャー

『寝ながらメディキュット』の誕生をきっかけにブランドが成長

レキットベンキーザー・ジャパン株式会社は、2000年7月に日本法人を設立。ブランドの買収・売却を経て、脱毛製品『Veet(ヴィート)』、食洗機用洗剤『finish(フィニッシュ)』、手洗い石鹸『ミューズ』など、自社で複数のブランドを展開している。レッグケアブランド『メディキュット』も、その中のひとつだ。
平川「弊社のブランドはほとんどがグローバルブランドとして展開されているのですが、メディキュットは唯一、商品の開発から販売までを日本がリードしているブランドです。
元々は、フット(くるぶしから下)を対象とした商品を扱っている『Dr.Scholl(ドクター・ショール)』というブランドの中で展開していた商品でしたが、2023年にDr.Schollを売却したのをきっかけに、『メディキュット』として独立したブランドになりました」
Dr.Schollが初めて着圧靴下を発売したのは1930年。その後、1997年に段階圧力ソックス『メディキュット』が発売された。
「医療現場では、そこで使用されているストッキングがあります。メディキュットはそこからインスピレーションを得て開発されました。
『寝ながらメディキュット』が発売されたのは2008年です。これまで日中に使用する商品はいくつかありましたが、夜間に使用できる商品が市場になかったため、就寝時に使用できる商品の開発・販売に至りました。
ブランドが大きく成長し始めたのは、この寝ながらメディキュットが発売された頃からだと聞いています。」

お客様の声から商品展開が充実

メディキュットの大きな特徴は、英国の医学に基づく段階圧力設計を基盤としていることだ。脚全体に同じように圧力をかけるのではなく、足首にはより強く、太ももに近づくほど軽く圧力をかけている。このメリハリのある圧力設計が、履き心地のよさを実現した重要なポイントだそうだ。
平川「着圧ソックスには、きつい・履きにくい・暑いなど、少しネガティブな印象を持つ方もいらっしゃいます。だからこそ、私たちは使用するメリットをしっかり感じていただき、長く愛用してもらえるような商品開発を重視しています。
開発の際には、製造を担っている工場と協議をしながら試作し、消費者の方にも使っていただいた上で施策・改善を何度も行っているんです。商品のクオリティを維持・向上コントロールするために、しっかりとした体制を整えています。
また、履き心地は、かかる圧力の強さだけでなく、使用する素材や着用される方の体型などによっても変わるので、いろいろなパターンを試してきました。
これにより、心地よく履けて、脚のスッキリ感(一部製品を除く)も実感していただけるような商品が実現できました。そこが、メディキュットの大きな強みです。」
現在は、寝ながらメディキュットだけでも9種類ほど展開されているが、発売された頃は膝丈までのショートタイプやスパッツタイプのみだった。ここまで充実したレパートリーが揃った背景には、お客様の声があったそう。
「ふくらはぎを重点的にケアしたい人もいれば、太ももまでケアしたい人もいます。使い続けやすい商品を作るためには、それぞれのニーズに合わせた商品を作らなければなりません。そのため、商品のレパートリーをかなり充実させています。
2020年には、フワフワした素材を使用したパジャマレギンスも発売しました。通常の寝ながらメディキュットと同じ着圧を加えながら、また素材が柔らかいので一段と履きやすくなっています。
着圧ソックスに苦手意識がある方や初めて着圧ソックスを履く方にも、手に取っていただきやすいと思います。パジャマレギンスは、コロナ禍に販売を開始したこともあり、ルームウエアとしての需要も高く、人気の商品のひとつです。」
寝ながらメディキュット(左)と、フワフワした素材を使用したパジャマレギンス(右)
寝ながらメディキュット(左)と、フワフワした素材を使用したパジャマレギンス(右)
メディキュットでは、商品をリニューアルする際にもお客様の声を重視している。オンラインアンケートやフォーカスグループなど多岐にわたる調査を通して、お客様の変わりゆく価値観やニーズを汲み取っている。
その背景には、移り行く時代の中でも、お客様から本当に必要とされる商品や喜んでもらえる商品を作ることを大切にしている同社の強い思いがある。
平川「メディキュットは脚をケアする商品ですが、大きな視点で考えて、気持ちもサポートできるようなブランドでありたいと考えています。
たとえば、いつもより脚がスッキリしないときは、出かけたくないなと思う方もいらっしゃると思います。しかし、メディキュットを履くケアを通して脚がスッキリすれば、『脚がスッキリしたから出かけたくなったな』『ちょっとおしゃれをしてみようかな』と前向きな気持ちになれるかもしれません。
お客様にブランド自体に価値を感じていただけるようになれば、気持ちを前向きにする後押しもできるようになるのではないかと考えていて。そのような存在になれるブランドを目指しています。」

調査を通して分かった男性ならではの脚の悩みに注目

脚の不快感を感じるのは、女性ばかりではない。同社では、男性の脚の悩みにも注目し、2023年から男性向けの商品『メディキュット For Men』も販売を開始した。
平川「以前から、男性向けの商品はないのかとお問い合わせいただくことがありました。また、市場調査を行うなかで、女性向けとして販売されているメディキュットを、夫婦でシェアして使っている方がいることも知ったんです。」
鈴木「近年は男性の健康意識が高まっていますし、コロナ禍により人々の生活習慣や行動習慣が変化しています。
弊社が行った調査の結果、男性からも脚がすっきりしない感覚を和らげる商品へのニーズが高まってきていることが分かったので、それに対してこれまで培ってきた機能を生かしていきたいと考え、男性向けの段階着圧ソックスの開発に至りました。」
開発を進めるなかで行った調査からは、男性は女性とは異なる脚の悩みを感じていることも分かったそうだ。
鈴木「男性を対象に行った調査から、特に足の裏とふくらはぎに悩みを抱いている人が多いと分かりました。そのため、男性向けの商品には、土踏まずと足の甲にアプローチするアーチサポートと、ふくらはぎの筋肉をサポートするテーピング加工を施しています。
その他にも、抗菌防臭加工などを施している点も女性向けのメディキュットとは異なる点です。段階圧力設計というコアな機能はそのままに、男性向けの独自の設計を行っています。」
男性向けのメディキュットに施されたアーチサポート
男性向けのメディキュットに施されたアーチサポート
調査を通して分かった男性の声に真摯に向き合った商品開発を進めた結果、実際に使用していただいたお客様からはポジティブな反応が見られているという。
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