オーダーメイドの洋服ほど、自分の体に馴染むものはないだろう。既製服と違い、着丈や身幅など完全に自分の好みで作れるため、コンプレックスを隠したり、出したいラインはしっかりと見せたりすることができる。自分が美しく見える服に袖を通せば、自然と気分も高まり、どこかへお出かけしたくなるはずだ。
「ファッションは心を変えるきっかけになる」とファッションデザイナーのMeeさんは語る。性別や障がいに関係なく、誰もが楽しめるワンピース作りを大切にしているという。そこで今回、Meeさんがファッションデザイナーになる経緯から、ワンピースを通して伝えたい思いなどを伺った。
PROFILE|プロフィール
Mee
元エステティシャン
結婚相手が海外で縫製業に携わっていたことから、アパレル業界へ。
エプロン1枚から始まりお客様のニーズに応え続けた結果、既成ラインからオーダーメイドまで対応するブランドを立ち上げる。
すべては偶然の出会いから
ファッションデザイナーを志したきっかけを教えてください。
小さい頃にデザイナーにあこがれて、専門学校に通ったといった話ができればよかったのですが、いつの間にかワンピースを作るようになって、ブランドを立ち上げていたというのが正直なところです。
結婚をして、パートナーがたまたま縫製工場を営んでいたこともあり、いろいろなメーカーの商品を手掛けているのを見てきました。素人考えですが、生地の廃棄を目の当たりにして心を痛めたり、ブランドを立ち上げたりすればいいのに、と当時は思っていましたね。だからといって、私がデザイナーになろうとか、服のブランドを立ち上げようなどとはしませんでした。
実際に作り始めたのは、まったく別のところからです。当時、習い事をしていた教室の先生がふくよかな方で、「可愛いエプロンが欲しいのに、自分の体型に合うものが売っていない」と悩まれていました。すると、突然「あなた、私にエプロンを縫ってちょうだい」って。
私の状況を知っての発言ではあったのですが、経験もないのに、なぜか引き受けてしまいました。
※本記事は乙坂章子さんから
リクエストいただき取材・執筆しました。