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2021.09.08

アーカイブのプラットフォームを世界へ、「OR NOT」

ファッション業界では過去に発表した作品、すなわちアーカイブへの注目が世界的に高まってきている。一方日本ではフリマアプリの浸透に伴い、リユース市場は年々規模を拡大しており、なかでも日本のブランド古着は取り扱いの丁寧さと確かな真贋判定から、海外でも高く評価されている。
これまでのフリマアプリやECプラットフォームではファストファッションからラグジュアリーブランドまでがひとつのプラットフォーム内で販売されていた。そんななか、2020年1月にプラットフォーム開発を行う株式会社LOOPが展開する「OR NOT」(オアノット)は、デザイナーズブランドに特化したファッションのグローバルECプラットフォーム。「OR NOT」のサービス理念に賛同したスタイリスト、デザイナー、エディターなどの業界人が参加し、世界に向けてEC事業を展開している。今回はLOOPの取締役COO柏村 徹さんにOR NOTの取り組みをはじめ、良いモノを長く使うこととサステナビリティへの考えについて話を伺った。
PROFILE|プロフィール
柏村 徹
柏村 徹

LOOP / 取締役COO

ユタ大学卒。楽天市場の店舗戦略責任者を経て、株式会社ストライプインターナショナルへ。グローバルファッションEC本部にて、EC・サブスクリプション領域のビジネス構造改革を主導。2018年4月株式会社LOOPを代表取締役の増汐義信と共に創業。

海外に重点を置いたサイト作り

まずは、OR NOTがどのような経緯で立ち上げられたか教えてください。
元々経営陣全員が大手インターネットサービス会社のEC事業部というインターネットでモノを売る事業におりまして、そこからメンバー各々キャリアを積んだうえで株式会社LOOPを立ち上げました。
OR NOTの事業には長期的・短期的な視点があったのですね。
そうですね。当時海外からのアーカイブ需要が高まっているなか、スムーズにストレスなく日本のアーカイブをインターネットで購入できる仕組みがなかったので、そういった仕組みを作ることで海外の方が来日しなくても日本のデザイナーズアーカイブを購入することができるというのが短期的な視点でした。
分かりやすいところでいうと「ラフ・シモンズ(RAF SIMONS)」の過去のジャケットがすごい値段で販売されていたり、訪日外国人の方がわざわざ渋谷へ行き、神南の古着を売っているエリアで買い物をしている現状がありました。我々が前社で販売しているなかでもファッション部門にいたので、日本のファッションアーカイブが海外でのオンライン需要があるというのも理解していました。
一方で、IT側の人間から見たときにデザイナーズブランドはデザイナーさんがいて、それを実際に作るチームがいるのに、長い期間をかけて作られた服が販売されて3ヶ月後には30%オフ、半年後には50%オフ、そして80%オフになっていく販売システムがすごくいびつだなと感じていました。
それにはいくつか理由があり、ひとつはオフラインで売れるスペースが限られているので、今季のものが入ってくると前のシーズンのものは行き場をなくしてしまう状況があったのです。
そのなかで、長期的な視点としてオンラインでアーカイブに特化したプラットフォームの受け皿があり、それがきちんとブランディングされているプラットフォームであれば、ブランドが作った商品が破棄されたりたたき売りをされることなく、アーカイブのアイテムとして販売できるのではと思い、OR NOTというプラットフォームを立ち上げました。
インターネットサービス企業出身の方々が立ち上げたということで、OR NOTの強みのひとつにコマースはありますよね。
そうですね、コマースに関しては我々はプロフェッショナルだという自負があります。ただ、アパレルに関しては素人なので立ち上げの段階から小木基史(POGGY)さんなどのファッション業界のプロフェッショナルの方々にアドバイスをいただきながら企画を練っていきました。
今までの既存のサービスはIT側だけで作っていたり、逆にファッション側だけで作っているものがありますが、それぞれの視点からサービスを作っているのはありそうでないんじゃないかって。我々にご協力いただいているのは世界でもトップクラスのディレクターの方々だと思いますし、そういった方々と企画作りができているのは強みだと思います。
OR NOTの特徴としてはデザイナーズに特化しているところ、あとは海外をメインのマーケットにしている点ですかね。日本での売り上げ比率は低いので海外に向けて発信をするために、ロゴやサイトデザインもBALENCIAGAのロゴデザインやRIMOWAのリブランディングを手掛けたドイツのデザイナー、リカルド・フェロル氏に依頼しています。
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