着物が持つ独特の柄を見ると、これぞ日本の文化と感じるだろう。だが、今日では日常的に着物を着る人はほとんどおらず、成人式や結婚式といった晴れ舞台で着用するくらいだ。あるいは、京都や奈良といった古都を観光するときに、レンタルして日本の風情を味わったという人も多いと思われる。
着物は脱ぎ着が大変なので、普段着にするには気が重い。でも日本の文化を身に着けたい。そんな考えを持つ人を助けるブランドが登場した。それが「
Relier81(ルリエエイトワン)」だ。同ブランドは着物のアップサイクルを手掛けており、着物や帯を使った靴やバッグを展開している。
同社代表の田尻大智さんは、日本の着物産業が衰退しつつある現状を目の当たりにしてきた一方で、海外からの旅行客が着物を買って帰る姿を見てきたという。それがきっかけで始まったRelier81には、どのような思いが込められているのだろうか。同ブランド発足のきっかけや、同ブランドの方針、今後の海外展開に向けた計画などを田尻さんに伺った。
PROFILE|プロフィール
田尻 大智(たじり だいち)
京都府京都市生まれ。1992年12月26日生まれ 30歳。
学生時代はヒッチハイクで九州に行ったり、リュックひとつで東南アジアを中心に旅をしていました。生まれ育った日本、京都から外に出て気付いた日本の伝統や文化に興味が湧き、着物や帯の伝統産業をリサーチ。そこで産業の衰退を目の当たりにし、現代に合ったカタチで世界に発信、国内に伝承できないかと着物や帯を使用した靴の開発を進めました。3年間の会社員を経てRelier81を創業。現在はブランドの運営の他、地元の大学や専門学校、企業などで講演を行うなど積極的にブランドの取り組みなどを発信をしています。
会社を立ち上げたきっかけを教えてください。
私は生まれも育ちも京都で、いわゆる日本の伝統的な文化というものは見慣れた光景で、特別な思いはありませんでした。転機は大学生になってからです。ヒッチハイクで九 州に行ってみたり、東南アジアを旅してみたりと、よくいる活発な学生でした。旅先では必ず「どこから来たの」と聞かれます。「京都から」と伝えると、皆さん笑顔になったりポジティブな印象を持たれたりするんですね。