染め直すことでウエディングドレスらしい光沢感が抑えられ、日常の中で着やすいドレスになる。特別な思い出のあるドレスを手放すことなく、長く着られることが大きな魅力だ。
今回は、「SaboraMi」を立ち上げた水戸守さんに、立ち上げの経緯や同ブランドに込めた思い、プロダクトのこだわりについて、話を伺った。
PROFILE|プロフィール
水戸守 奏江(みともり かなえ)
Director,Designer
インポートのライセンスやドメスティックブランドで、パタンナーやデザイナー、ファッションディレクターとして活躍。自身の結婚式を手掛ける中で感じた「選択肢をもっと増やしたい」という想いのもと、ウエディングプロデュースとドレスを手掛けるブランド「SaboraMi(サボラミ)」をスタートした。
自身の結婚式をきっかけに、「SaboraMi」が誕生
まず、水戸守さんがこれまで経験されてきたお仕事について教えてください。
もともとはパタンナーやデザイナーとして企業に勤めていました。退職後にしばらく海外旅行などをしてゆっくり過ごしたあと、知人の紹介を受けてフリーランスでパターンやデザインの仕事をするようになりました。これまで、カジュアルな服のブランドから、ドレスを取り扱っているブランドまで、さまざまなブランドに携わってきました。現在は、以前お仕事をご一緒させていただいた方のアパレル会社に所属しています。
ブライダル業界に目を向けたきっかけは、何だったのでしょうか。
私自身の結婚式がきっかけです。結婚式の準備を進めるなかで、“不自由さがあるな”と感じて。たとえば、式場から提案されたショップでドレスを探さなければいけませんし、ドレスを持ち込んだり、自分で選んだカメラマンさんやヘアメイクさんを呼んだりするときは、プラスで料金が掛かります。
自分でカメラマンさんやヘアメイクさんを呼ぶ場合は、結婚式に関する説明を自分自身でしなければならず、一手間掛かるうえに料金もプラスになるのはおかしいなと。このようなブライダル業界の仕組みは、お客様のためになっていないのではないかと感じたんです。
また、ウエディングは基本的に一度きりではありますが、結婚式を通して出会えた方々と、その後も関係が築けるようになればいいなという思いがありました。
染め直しできるドレスを考えたのは、結婚式で着る自分のドレスを探していたときです。「数十万円のドレスを借りて、その日しか着られないのはもったいないな」と感じて。
それなら、結婚式後も着られる、自分好みのワンピースを買おうと考えて探したのですが、全然見つからなかったんです。そのときに、結婚式後も着られるようなドレスがあったらいいなと思いました。
“あったらいいな”の実現に向けて、どのように行動されたのでしょうか。
今の会社に入る前に、「一人でブランドを作り上げてみたい」と社長に話していたこともあり、社内ベンチャーで立ち上げようと考えました。まずは、新規事業として社長に企画書を提出して。その後、社長や取締役の方々と話をする機会を設けていただき、アドバイスをもらいました。
私は2022年の5月に式を挙げたのですが、6月には企画書を提出、10月には立ち上げの準備を始めました。本格的に始動したのは、翌年の1月からです。
ブランドを立ち上げる際には、“ドレスを販売するだけでなく、「SaboraMi」の考えに共感してくださる方に結婚式のトータルプロデュースができるようにしよう”と、当初から考えていました。
結婚式のプロデュースに関しては、アドバイザーから様々なノウハウを教えていただきながら準備を進めました。
プロダクトを作ることは本当に大変でしたが、ロールモデルがないなかでも、職人さんと相談しながら工夫を凝らして実現しています。
また結婚式のプロデュースについても、お客様にとって特別感のある結婚式をどのようなかたちで実現できるか、日々たくさんのアイデアを思案しています。