ファッションにおいてもバーチャルファッションが注目を集めるなか、デジタルデータの偽造やコピーを防ぐNFT(非代替性トークン)を用いた試みも急速に増加している。そのような潮流のなかで、機械学習を利用したファッションデザインなど、テクノロジーのファッションへの適用を先駆的に推し進めてきたスペキュラティブファッション・ラボラトリSynfluxも、2021年10月にNFTでの作品を発表した。
ロンドンファッションウィークに参加するストリートファッションブランド、ロビン・リンチ(Robyn Lynch)とのコラボレーションによるプロジェクト「Atlas of Memory」は、いかにして進められたのか?また、テクノロジーを活用した先進的な取り組みを展開してきたSynfluxにとって、NFTでの作品の販売には、どういった意図があったのだろうか。今回はSynfluxの主宰である川崎和也氏に、プロジェクトの概要や経緯から、その背景にある思想までインタビューを実施した。 PROFILE|プロフィール
川崎和也
Synflux株式会社 代表取締役 CEO。スペキュラティブ・ファッションデザイナー。1991年生まれ。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科エクスデザインプログラム修士課程修了(デザイン)。主な受賞に、H&Mファウンデーション主催グローバルチェンジアワード特別賞、文化庁メディア芸術祭アート部門審査委員会推薦作品選出、Dezeen Design Award Longlist、WIRED Creative Hack Awardなど。編著書に『SPECULATIONS 人間中心主義のデザインをこえて』(ビー・エヌ・エヌ、2019)がある。
コロナ禍の共同制作から生まれた試み
まずは今回、ファッションデザイナーのロビン・リンチ(Robyn Lynch)とのコラボレーションを行い、またそこからNFT作品を発表した経緯について教えてください。