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2020.08.07

リアルタイムの3DCG合成技術によるバーチャルファッションショー「Tokyo Virtual Runway Live」

コロナ禍によってイベント開催が中止になるなかで、ファッション業界でも大きな課題となったのがファッションショーや展示会の開催だ。ショーの中止や延期が発表されるなかで、別の形での開催を模索する動きもある。
そのひとつの事例となったのが、6月27日に行われたTokyo Virtual Runway Live。「ABEMA PPV(アベマ ペイパービュー)」にて、フル3DCGで製作されたステージをモデルが歩く、バーチャル空間でのファッションショーだ。このファッションショーはどのような経緯のもと行われ、どのような技術によって実現したのだろうか。運営の株式会社OEN(サイバーエージェント子会社)で代表取締役を務める藤井琢倫さんにお話を伺った。
株式会社OEN代表取締役 藤井琢倫さん
株式会社OEN代表取締役 藤井琢倫さん

コロナをきっかけにオンラインイベントの実現へ

まずは今回のTokyo Virtual Runway Live開催の経緯を教えてください
当初はガールズアワード様が、「GirlsAward 2020 SPRING/SUMMER」の開催を予定されていましたが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて開催延期が決定しまして。そのとき、社内でガールズアワード様のプロデューサーと繋がりのある社員がおりまして、「イベントの出演者を起用したオンラインでできる企画はないか」というご相談を頂き、新しく4月に設立した株式会社OEN(オーイーエヌ)というエンターテインメント産業における収益化のデジタルシフト支援を専門に行う弊社より、3DCG技術を用いたファッションショー&ライブパフォーマンスを提案させていただきました。
その後、先方に実際にサイバーエージェントが保有するカムロ坂スタジオに来ていただき、リアルタイムに人物と3DCG背景を合成し撮影する技術と、フル3DCGのクオリティの高さを実感していただいて、是非やろうという話になりました。
バーチャルランウェイという形式のアイディアというのは、コロナの状況下で生まれたものですか?それとも元々お持ちの技術で、何かイベントをやろうという動きがあったのでしょうか?
元々構想していたわけではありません。コロナの感染拡大後に、サイバーエージェント子会社でCGクリエイティブ制作をしている株式会社CyberHuman Productionsがフル3DCGをリアルタイムで合成するという技術を持っていたことが分かったので、その技術を先方に実際に見ていただきました。そこで、「ショーのフォーマットとして、バーチャルランウェイは面白いね」とアイディアが生まれ、実現に至りました。
リアルで開催が難しくなる状況で、それでもファッションショーを行おうと思った理由についてお聞かせください。
サイバーエージェントとしても、エンターテインメント業界が新型コロナウイルスの感染拡大の影響でダメージを受けている中で、インターネット上で収益を得られるように全面的に業界を支援していこうという意向から、株式会社OENを立ち上げています。
アパレル業界も同様に影響を受けているなかで、我々が今できることをやろうという考えと、ファッションと音楽の力で世の中を少しでも明るく照らしたいという想いが、ガールズアワード様とABEMAに共通してあり、お互いの想いがマッチして開催が実現したのだと思います。
では、ガールズアワード様とはどのような役割分担で進められたのでしょうか?
ガールズアワード様が演出や制作、イベント運営を全て担ってくださり、株式会社OENでは全体進行、株式会社CyberHuman Productionsがランウェイのデザインと3DCG化に当日のリアルタイムCG合成、ABEMAではそれを実際に配信する上での技術的な部分や宣伝広報を担うといった、まさにチーム総力戦でした。
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#Virtual Fashion Show
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