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2023.02.25

「Bと書かれたあのレインブーツ」だけじゃない! 「日本野鳥の会」のバードウォッチングに紐付いた、至極のアイテムたち

Bと書かれたレインブーツ、よく見かけるという人も多いのではないだろうか。あれは「日本野鳥の会」の「バードウォッチング長靴」 というアイテム。その名の通り当初はバードウォッチングをするために誕生したアイテムだが、折りたためて、持ち運びに便利なことから、フェスやアウトドアシーン、さらには街中でも使える人気のアイテムだ。

実はこの日本野鳥の会、レインブーツだけではなく、バードウォッチングに紐付いたアパレルなど、沢山のアイテム展開をしている。

そんな日本野鳥の会のアイテムについて、公益財団法人日本野鳥の会の齋藤都久美さん、伊藤忠商事株式会社の駒木李美さん、ダイワボウアドバンス株式会社の北村篤男さん、佐藤淳さんにお話を伺った。

野外フェスから人気となった「バードウォッチング長靴」

日本野鳥の会は野鳥の保護と普及を通じて、人と自然の共存を目的として創立された自然保護団体だ。その活動は幅広く、「バードウォッチング長靴」もその活動の中で生まれたアイテムの1つだ。このアイテムが人気となったきっかけを、日本野鳥の会の齋藤都久美さんに伺った。

「バードウォッチャーから、探鳥に行く際、大きくてかさばる長靴をコンパクトに持ち運びできるようにしたいという声は以前からあったのですが、そんな中、当会の会員さんが田植え用長靴をホームセンターで発見。小さく丸まった状態で陳列されているのを見て、これなら、コンパクトに旅先から持ち帰ることができるというところがヒントになり、その後当会とメーカーで試作を繰り返し、2004年に商品化されました。

人気が出始めたきっかけは、野外フェスです。野外フェスは雷雨などで足元がドロドロ状態になることも多く、長靴は必須です。小さくたためて、持ち運びやすいバードウォッチング長靴が注目を浴びました。

2006年あたりからは、若い方が次々と直営店に訪れてはバードウォッチング長靴を購入していかれるので、最初は何が起きているのかまったく分かりませんでした。今では、バードウォッチングはもちろん、野外フェス、ガーデニング、キャンプ、ゲリラ豪雨対策(置き長靴)、釣り、農業等、幅広い用途でご愛用いただいています」

画像: バードウォッチング長靴 ¥6,930(税込) 定番3色(グリーン、ブラウン、グレー)に加え、毎年夏に限定色をリリース サイズは、23~29cmまで1cm刻み
バードウォッチング長靴 ¥6,930(税込) 定番3色(グリーン、ブラウン、グレー)に加え、毎年夏に限定色をリリース サイズは、23~29cmまで1cm刻み

「バードウォッチング長靴」だけじゃない! 日本野鳥の会のアパレルライン

ここからは日本野鳥の会のアパレルラインについてお話を伺っていこう。長靴からアパレルへラインナップを広げていこうと思ったきっかけや、バードウォッチングに紐付きアウトドアシーンにも街着にも使える服作りについてなどを、伊藤忠商事(株)の駒木李美さんにお話いただいた。

「今、アパレルとバッグと帽子を展開しています。アパレルはダイワボウさんにお願いして作ってもらっています。アパレルを作るきっかけは、私が『バードウォッチング長靴』を愛用しており、 それで日本野鳥の会のことを知りました。そこから、日本野鳥の会の自然保護等の活動内容がとても素晴らしいと感じ、何か一緒にできないかなと思いました。

その中で、日本野鳥の会の会員は50代、60代の方が多いということを伺い、その輪をアパレルを通して若い世代につないでいきたいと思いました。そこで自然や生き物、サスティナブルなことを幅広い世代に、身近に感じてもらうために、ブーツだけではない今日のようなラインナップに広がっていきました。さまざまな商品を通して、日本野鳥の会の理念に共感する仲間を増やしていけたら嬉しいです」

キーワードは雨、そしてデイキャンプから街着まで

日本野鳥の会といえばバードウォッチングと自然環境保護のイメージがあるのではないかと思う。そのイメージの中、どのようなブランドコンセプトをもった商品があるのかをダイワボウアドバンス(株)北村篤男さんと佐藤淳さんに伺った。

「キーアイテムとしてはやはり『バードウォッチング長靴』なので、そこから広がっていくと『雨』というのがコンセプトに入ってきます。

しかし1年を通したアイテム展開は難しいので、バードウォッチングはもちろんなのですが、デイキャンプや街着にも使えるアイテムをバランス良くラインナップしております。

さらに日本野鳥の会の皆さんにもヒアリングをし、『こういうものがあったらいいよね』とか『こうすればもっと便利になるよね』など、バードウォッチングにまつわるいろいろな問題点を解消するようなギミックを盛り込んだアイテム作りにも取り組んでいます。

たとえば、重たい双眼鏡を首からぶら下げると擦れて首が痛くなったり、Tシャツの襟が傷んだりするという問題点を参考に、デザインに反映しています。」

ここからは実際に日本野鳥の会のアイテムを見ていこう。毎シーズン15型~20型ほどリリースされるアイテムの中から、定番となるアイテムを紹介していただいた。

「まずは定番中の定番、BマークのTシャツです。鳥(Bird)の頭文字『B』にくちばしと目をつけた、日本野鳥の会のシンボルマークが入ったシンプルなデザインです。手にした方自身が自分なりの鳥を想像し、親しみを持ってほしいという願いを込めたアイテムです。

Tシャツはオリジナルボディでアメリカ産のコットンを使い、少しオーバーサイズ目のシルエットを採用しています。日本野鳥の会では他にもいろいろな絵柄のTシャツをリリースしていますが、すべてこのオリジナルボディで作っています」

画像: Crew neck T-shirt ¥6,050(税込)
Crew neck T-shirt ¥6,050(税込)

 「定番のマウンテンパーカは、レトロなデザインをちょっと今風にカスタマイズし、ワイドシルエットに仕上げています。生地はナイロンとコットンの混合素材となる、リップストップというタフな素材を採用し、コットンについてはオーガニックのものを使用しています。袖にはトレードマークのBが刺繍されていて、自然の中でも、街中でも着られるようにデザインされたアイテムです」

画像: Mountain Parka ¥20,680(税込)
Mountain Parka ¥20,680(税込)

ここからは、実際に日本野鳥の会の方々から吸い上げた意見をもとに作った、ギミックが詰まっているアイテムを紹介してもらおう。

「今後発売予定なのですが、ホルスター型ストラップ(別売)という、双眼鏡をかけるもので、これだけでも商品として売られているのですが、それをベストに組み込んだモデルになっています。ホルスター型ストラップを外し、ベストだけでも着られます。

野鳥の数を数えるカウンター(別売)を吊すフックがついていたり、特徴的な大きめのポケットにはハンドブックサイズの野鳥図鑑や、メモ帳を入れたりすることを想定した大きさです。 背中のポケットはボタンで外れるようになっていて、後ろに回すと尻当てになっています。自然の中で座ることを想定してクッション性をもたせ、アウトドアシーンでも役立つギミックになっています」

画像: Bird watching vest ¥23,980(税込)
Bird watching vest ¥23,980(税込)

日本野鳥の会は、5万人ほどの会員やサポーターがいる。全員がバードウォッチングをするわけではなく、会費や寄付が自然保護に使われるという理念に賛同し会員になる人もいるという。

バードウォッチングは取り組みの1つというだけで、自然保護など、活動は多岐にわたる。引き続き環境意識への広がりも視野に入れている。

日本野鳥の会の商品を買うと、売上の一部が自然保護活動に使われる。アイテムを通して野鳥のことや自然保護について考えるきっかけとなればいいと思う。もちろんファッションとして気軽に取り入れるだけでも、自然を守る活動につながっているという点も大きな特徴だ。

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商品のお問い合わせ
長靴:直営店「バードショップ」03-5436-2624
アパレル:ダイワボウアドバンス(株)03-4332-5230

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