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2024.03.12

複製不可能かつ高精細な印刷技術による偽造防止システム「Akliteia®」

高級ブランド品の魅力に惹かれる人は多く、なかにはショップを比較して、なるべく価格の低いものを探した経験がある人もいるだろう。だが、あまりの安さから偽造品を疑ったことがあるかもしれない。残念なことに、そこから購入して偽造品を掴まされた人もいるはずだ。
各社メーカーは、偽造品を流通させない、真贋判定のための二次元コードの付与といった対策を行っている。だが、それぞれが独自で対策するのにも限界があった。そこで新たな偽造防止ソリューションを提供したのが、旭化成株式会社だ。
同社が開発した「Akliteia®(アクリティア)」は、従来の偽造防止システムとは異なる技術や仕組みによって、サプライチェーン全体を監視するものとなっている。ここには同社のこれまでの知見や経験がふんだんに盛り込まれているとのこと。
今回、同社の高田智香さん、秋山弘貴さん、櫻井舜也さんに取材し、「Akliteia®」の技術とこのシステムがもたらす社会の変化について語っていただいた。
PROFILE|プロフィール
高田 智香(たかだ ちか)
高田 智香(たかだ ちか)

◇ チームリーダー

【専門領域】ヘルスケア、ブランド

【担当】ブランディング、リスティング

PROFILE|プロフィール
秋山 弘貴(あきやま ひろき)
秋山 弘貴(あきやま ひろき)

◇ コンサルタント

【専門領域】OEM、二次流通

【担当】展示会

PROFILE|プロフィール
櫻井 舜也(さくらい しゅんや)
櫻井 舜也(さくらい しゅんや)

◇ コンサルタント

【専門領域】産業、スニーカー

【担当】オウンドメディア

偽造品という社会問題

偽造品の被害はどれほど深刻な問題なのでしょうか。
櫻井2016年のデータによると、偽造による被害総額は全世界で50兆円ほどになります。内訳としては、アパレル製品、電化製品、時計、医療機器など多岐にわたります。2021年の調査結果でも、依然として50兆円超の被害がでています。
我々が独自に調査した結果、メーカーさんの多くが偽造品によって売り上げの11%から16%ほどの被害を受けていました。ECプラットフォームの運営会社さんも、数ヶ月の間で何千万点という偽造品を発見・没収したようです。
これは表面的な問題に留まりません。消費者を対象にした調査では、たとえば化粧品など、購入した商品が偽造品だとわかっても、メーカーに問い合わせをしない方の割合は40%になります。そのうえ、他社の商品に切り替える方が約20%いるという事実もわかりました。そうなると、メーカーは知らず知らずのうちに単純計算で約8%の顧客を失っていることになります。
現在主流の偽造防止システムはどのようなものですか。
櫻井現状では、QRコードのような二次元コードを読み取る方法かホログラムを使う方法があります。ですが、これらは偽造しようと思えばできてしまうんですね。そのため、読み取るコードやホログラムそれ自体が本物であると証明できないという問題があります。
これを解決するためには、そうしたコード自体が複製困難なものであり、客観的にそれらを真贋判定できるシステムが必要になります。そこで開発されたのが、弊社の「Akliteia®」になります。

サプライチェーン全体で偽造品を監視する

「Akliteia®」の基本的なシステムを教えてください。
櫻井「Akliteia®」のコンセプトは、サプライチェーン全体での監視体制を作るというものです。
製造メーカーさんに、どういった商品にラベルを貼りたいのかをお聞きし、その情報を我々のプラットフォームに登録します。製品の出荷数に応じたラベルを発行し、商品と紐付けしたあとは、倉庫や各物流の拠点で専用のデバイスでスキャンするだけです。自動的に真贋結果が映し出され、その情報がブロックチェーンに格納され、情報が共有されます。
ラベルの特徴ですが、シール型とカード型を用意しています。ここには目に見えないサブミクロンレベルの微細な線でパターンが描かれています。これを寸分の狂いなく印刷できるのが、我々の技術になります。
また、ラベル自体がセルフディストラクションといって、一度剥がしてしまうと自動的に壊れる仕組みになっています。そのため、偽造品にラベルだけを移し替えることができません。デバイスで読み込みができないので、その時点で偽物だと判断できます。
本物を届ける仕組み
本物を届ける仕組み
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