新たにカーボンシューズを試したいランナーのレース&トレーニング、レースで「メタスピード」シリーズを活用しているランナーのトレーニングに推奨される「マジックスピード 2」には、どんなテクノロジーが盛り込まれ、前作からどのような進化を遂げたのか。開発を担当したアシックスの光畑佳和さんに話を聞いた。
初代モデルの登場から一年半足らずで大幅にリニューアルされた「マジックスピード 2」。その意図はどこにあったのだろうか。
「初代のマジックスピードは、反発性は十分にあるものの少々硬い印象がありました。より多くのランナーに履いてもらうために反発性を維持しながら、マイルドで快適な履き心地を目指したのが、マジックスピード 2になります」
テストを重ねて最適なバランスのミッドソールに
前作ではFF BLAST(エフエフ ブラスト)という反発性の高いフォーム材をミッドソールに採用し、前足部にのみカーボンプレートを搭載していた。今作ではソール構造が一新され、カーボンプレートはフルレングスになり、そのプレートをFF BLAST PLUS(エフエフ ブラスト プラス)とFLYTEFOAM(フライトフォーム)でサンドイッチする形になった。「ミッドソールのトップに高反発で軽量なFF BLAST PLUS、ボトムに硬さがあって安定感のあるFLYTEFOAMを採用しました。組み合わせは10種類以上テストしたのですが、この組み合わせが最もバランスが良かったのです」
たとえば軽量でソフトな素材は、硬い素材と比較すると安定性に欠ける。着地衝撃を緩衝する効果は高いが、ブレを生みやすい。脚力の高いランナーであれば、そ のブレを抑え込むこともできるが、筋肉への負荷がかかる。一方で安定性の高い高密度の素材は重くなる傾向があり、ソフトな素材と比べればクッション性に欠ける。多くのランナーが履けるカーボンプレート入り厚底シューズを実現するために、個性のある2つの素材を組み合わせたということだ。
また一般的に低密度の高反発素材は、その旨味が大きく得られる期間が長くないため、使用をレースやスピード練習のみに限定するランナーもいる。しかし、「マジックスピード 2」は、レースだけでなくトレーニングでの使用も想定されているため、耐久性が高い。十分に走り込んでから、同じシューズでレースに挑むといった使い方が問題なくできる。
「スカイ プラス」と「エッジ プラス」には、それぞれ形状の異なるカーボンプレートが搭載されているが、「マジックスピード 2」に採用 されたカーボンプレートはそのどちらとも形が違う。専用設計のプレートとなっている。