ゴア社の最初のプロダクト、実は絶縁ケーブル!?
「GORE-TEX」はゴア社が提供するブランド名で、「
GORE-TEXファブリクス」が生地名であるのを知る人は少ない。ウェアやシューズなど様々なプロダクトで活用されているが、そのテクノロジーや技術を説明できる人も多くはないだろう。信頼感のある素材だけに、その実態を知っておきたい人も多いので、まずはその歴史をGORE-TEXブランドのマーケティング担当である伊藤由里子さんに伺った。
「ゴア社は1958年にアメリカのデラウェア州で設立されました。設立したのはデュポン社に勤めていたビル・ゴアとヴィーヴ・ゴア夫妻です。彼らは『ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)』
[1]という耐熱性や耐薬品性の高いポリマーの潜在的な可能性を信じ、その研究開発を行うためデュポン社を退職したのです。
多くの特徴を持つPTFEですが彼らが注目したのは、その絶縁性でした。ゴア社の最初のプロダクトは絶縁ケーブルだったんです。以後、その研究に加わったのが息子のボブ・ゴアです。彼はそれまではただの塊でしかなかったPTFEが、特殊な条件の下だと伸ばせることを発見しました。均一な厚みでフィルム化できたことで、これを膜として使えるのではないかと研究を進めたことが、GORE-TEXファブリクスの始まりになります。