これまでにも革新的な技術を見せてくれた
東レ株式会社。私たちfashion tech newsでも、
その動向は常にアンテナを張ってきた。
今回は、同社の持つ繊維の分子構造をナノレベルで制御する革新的技術「
NANODESIGN®(ナノデザイン)」に注目したい。この技術は、従来の繊維開発の常識を覆し、デザイン性と機能性、そしてサステナビリティを高度に両立する新素材を次々と生み出しているようだ。
そこで、同社部長の野村建太さんと繊維研究所所長の増田正人さんに、5年以上にわたる開発の軌跡と、その成果である代表的なテキスタイル製品を紐解きながら、同技術がアパレル産業にもたらす可能性を語っていただいた。
PROFILE|プロフィール

野村 建太(のむら けんた)
東レ株式会社 婦人・紳士衣料事業部長
1994年入社。20年にわたる婦人・紳士衣料用のテキスタイル営業を経て、2014年からマレーシアのテキスタイル会社で営業に従事。
2019年よりスポーツ・衣料資材事業部でのスポーツ・アウトドアテキスタイルの営業を経て、2022年から再び現職に。国内外の婦人・紳士衣料用テキスタイルを、さまざまなアパレル向けに販売を行う部署を統括している。
PROFILE|プロフィール

増田 正人(ますだ まさと)
東レ株式会社 繊維研究所長
1999年入社。繊維研究所で汎用繊維の製造プロセス研究に携わり、東京工業大学に出向、産業用繊維の高性能化に関する国家プロジェクトに従事。
2005年4月から社内復帰し、幅広い用途分野の高性能繊維に関わる研究・技術開発に携わる。2025年8月から現職。
「ナノデザイン」は、繊維の断面を自由自在に操作することができる。「ナノデザイン」はその名の通り、ナノレベルで繊維を操作する技術となっており、合成繊維を製造する際に、非常に細かいレベルでポリマーを配置できるという。その技術力の高さは素晴らしく、冒頭の画像のように、繊維の断面に「TORAY」の文字を描き出すこともできる。
この技術は、実際にどのような効果を繊維にもたらすのだろうか。
「これまで我々の合成繊維は、天然繊維であるシルクやウールを追いかけることをコンセプトに開発してきました。