たとえば、具体的なかたちや数値で表した「ワコールが考える女性美」の研究、新製品のパフォーマンスを正確に測定する計測・評価方法の開発、そして新製品の開発を行っている。
特に注目すべきは、美しさの研究だ。この研究所では、約60年前から多くの女性のからだのデータを収集し、商品開発などに役立てている。
今回は、ワコール人間科学研究開発センターの主席研究員である岸本さんにインタビューを実施した。
PROFILE|プロフィール
岸本 泰蔵(きしもと たいぞう)
1964年、兵庫県生まれ。株式会社ワコール マーケティング本部人間科学研究開発センター主席研究員。京都工芸繊維大学・大学院卒業後、1988年にワコール入社。入社後はセンターの前身である人間科学研究所にて3Dスキャナーを中心とした人体形状に関する基礎研究、商品評価研究に従事。2019年4月から現職。
女性のからだを深く研究
まずは、ワコール人間科学研究開発センターの設立の背景について教えていただけますか?
当社は、主にインナーウェアの製造・販売を主とする企業です。そのものづくりの原点は、女性の体型を知り、その体型に合った下着を提供するところにあります。一人ひとりの体型は異なりますが、より多くの方にここちよく感じてもらうために、女性の体型データを収集する必要がありました。特にインナーウェアは他の衣類よりもからだに密着するため、からだにジャストフィットすることがポイントとなります。
そのため、ちょうど60年前の1964年に前身となる製品研究部を設置し、毎年1,000人近くの4歳から69歳までの女性の人体計測を行い、延べ45,000人以上のデータを収集してきました。そのデータをもとに、現在もより快適に着用できるインナーウェアの開発に取り組んでいます。