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【リレーコラム】クラブに何を着ていくべきか?(山内智瑛)

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PROFILE|プロフィール
山内智瑛

一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程。専門は都市研究。現在は、日本においてナイトタイムエコノミー政策がいかにして成立したのかを研究している。論文に「ナイトライフと『安全・安心なまちづくり』政策――大阪・アメリカ村におけるクラブ摘発問題の事例から」(『年報社会学論集』、2020年)など。

身体に響く音と振動、様々な色に光り輝くレーザー、美味しいお酒、ダンスフロアの人びとの熱気――クラブ(1)という空間は、こうした家庭や職場等の日常生活ではなかなか味わうことができない体験を与えてくれる。それだけにそうした空間でどのように振る舞えばよいのか、とりわけ「クラブに何を着ていくべきか?」という問題は経験の浅い人間ならば誰しも抱える問いである。御多分に漏れず、筆者もそうだった。クラビングの経験が無かった時分は、正直あまりファッションに興味がなかった。「とりあえず裸じゃなければ良いだろう」といった考えしかなかったため、大きな街に服を買いに行くなんてこともなく、近所のスーパーの2階や3階にある洋服売り場で適当に仕入れていた。
そんな自分が衣服に意識を向けるようになったのは、今の研究テーマに取り組みはじめたことがきっかけである。筆者は現在、日本におけるナイトタイムエコノミー政策の成立過程を研究テーマにしている。具体的に言うと、日本では2010年代前半の東京・六本木や大阪・アメリカ村を中心としたクラブの一斉摘発が示すように、クラブは長らく取締りの対象となっていた。しかし、今や都市経済成長のための「夜間経済(ナイトタイムエコノミー)」としてインバウンド観光戦略(2)の中に組み込まれている(COVID-19流行により、また状況は変化しているが)。こうした転換がいかにして生じたのかという点に筆者の関心がある。元々、卒業論文執筆の一環でアメリカ村をフィールドに、地元町会を中心とした防犯活動について調査していたのだが、インタビューの中でクラブをめぐる諸問題(例えば、騒音、客の蝟集行為、暴行・傷害)が地域の解決すべき「問題」として話題になる場面がしばしば見られた。この経験から、クラブとその周辺地域、そして風営法改正をはじめとする新たな政策の動きに興味を抱くようになったのである。

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