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【リレーコラム】装う意味ーファッションの魔法(上田愛)

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PROFILE|プロフィール
上田愛
上田愛

1994年熊本県生まれ。京都造形芸術大学大学院・彫刻・立体造形コース修了。アーティスト2022年 個展「秘密の花園」KUNST ARZT(京都)グループ展「Prism Ⅶ」GARELLY ART POINT(東京)など

私はコスチュームを扱い作品を制作するアーティストだ。コスチュームとは特定の民族・階級・時代・地方の服装。髪型・装身具も含めていう。とりわけ私の興味の対象は装身具および人間が自身を飾る行為(私はこれを装身行為と呼んでいる)だ。
自身を飾る行為の動機の原点は種の保存だと言える。人間以外にも自らを飾り立てる生き物は数多く存在するが、たとえばクジャクのオスは華美に大きく広げた羽でメスにセックスアピールをするし、モクズショイという蟹は海藻など身の回りのものを使い装うことで外敵から身を守るそうだ。どちらも生存競争を生き抜くための知恵である。一方で人のそれは独自の発展をなしている、爪や毛髪を整えダイエットやトレーニングで理想的な身体を作り、さらには美容整形や身体変工を施すことで自らの身体の形を変えることもある。そして自分自身の悦びのためにファッションを楽しんでいる。
社会学者のゲオル・ジンメルはファッションを他人からの差異化願望と、それと相反する他人との結びつきを求める画一化願望との解消できない緊張関係にもとづくと分析している。つまり私たちは自分と他人両方を意識し、コミュニケーションのための道具としてファッションをとらえているのではないだろうか。ファッションは着用する人物の精神や道徳観念・思想を表す記号として用いられ、視覚言語として存在するならばその意味は多義的であり、何か固定の意味を示しているのではなく、その時々によって流動していると考えられる。
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