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【リレーコラム】PUNK ROCKから見るDIYの未来(SHO ASAKAWA)

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PROFILE|プロフィール
SHO ASAKAWA
SHO ASAKAWA

グラフィックデザイナー、イラストレーター、ミュージシャン、ファッションデザイナーなど、さまざまな肩書きを持つマルチクリエイター。
東京のアンダーグラウンドカルチャーシーンで活動。
Instagram

DIY(Do it yourself)という概念

“他に依存したり、頼ったりするのではなく、自分自身の力でやれ”
誰もが知っている“DIY”という言葉は、1945年、第二次世界大戦終戦後のイギリスで生まれました。
私は長年この言葉に取り憑かれています。
実体験を基にDIYとテクノロジーの可能性、それによって現在のDIYがどのような存在になっているかを書いてみました。
このDIYという言葉に出会ったのは13歳の頃。
70年代後半にイギリスで起こったムーブメント、PUNK ROCKカルチャーに触れた少し後でした。
ファッション雑誌の白黒ページに載っていた写真家デニス・モリスが撮影したSEX PISTOLSのシンガー、ジョニー・ロットンを見たその日から。
あんなに衝撃的なことは今までの人生を通して、我が子が誕生した瞬間以外ではその一度きり。
今でも鮮明に思い出せるほどのショックの大きさ。
頭を吹っ飛ばされた私はすぐにTSUTAYAへ走り、音源をレンタルし、写真集を買いに街の大きな本屋へ行き、当時のPUNKS達が何を着ているのかを研究し、PUNKカルチャーについて書かれた本を探し読み漁り……とにかくアンテナ全てをPUNK ROCKに振り切っていました。
無いものは作ってしまえと、今まで着ていた服を片っ端から狂ったように切り刻み、シャツには油性ペンでハンドペイント。
持っている服は全てPUNKファッションに改造しました。
ドがつくほどの田舎に住んでいた私はDIYという言葉を知らずに無我夢中でDIYをしていたのです。
その破壊行動と再構築によって服や物を作る楽しみを知り、構造を知り、自分自身の個性を認識するきっかけを手に入れ、アイディアを形にする度に“自分で作った”という事実が自信になり勇気になったのです。
今思うとそれは幼児がおもちゃを触って基礎を覚えるような感覚だったのかもしれません。
そうして、肌とDIY PUNKファッションが出会うことでファッションが言葉や行動と同じように自己表現としての立ち位置を確立しました。
中学卒業後、街へ引っ越してから、田舎では理解されなかった自分のスタイルに引き寄せられるように同じ趣味嗜好の人間が集まり始め、出会った仲間と学び、遊び、コミュニティーが出来上がり、ファッション、音楽、アート、料理、住む家や部屋、パーティー etc……手間暇かけた一つひとつが全てつながり、それぞれのDIY体験の連鎖が文化やカルチャーを生み出していることに気付きました。
今思うと、その気付きが自分のセンス的な部分のターニングポイントでした。
その強い信念を知った後、18歳で上京し、服飾専門学校へ通いながらもその頃に学んだDIYアティテュードを受け継ぎ、活動を続けてはや22年、現在に至ります。
コロナ禍以降さらにテクノロジーが進歩し、欲しいものを手に入れること、深掘りすることがより一層簡単になっている現在。
GoogleやInstagram等でキーワードを検索すれば、すぐに欲しい情報をキャッチでき、大枠を見ることができます。
物を作る際に必要な道具を動画で見せてくれたり、プロセスや手法、文化背景、さらにはアカウントのオーナーにメッセージで質問をすればアドバイスをもらえるなど、可能性は無限です。
物を画像としてネットの世界へ発信することで、更に人とつながり、コミュニティーが広がり、実際に会うことができる。
そこに辿り着くまでの時間やプロセスが物への愛情や熱量につながることも理解しつつ、現在DIYとテクノロジーが繋がったお陰で、今までの何倍もDIYのクオリティーとスピードが上がり、クリエイターにとって十分な環境を整えるきっかけを作ってくれています。
人生においてこの環境は天国で、特にInstagramは自分のクリエイティブにとって欠かせない存在になりました。
今と昔ではDIYとの関わり方や手法は変わったかもしれません。
しかしどんなにテクノロジーが進歩しても、根源のDIY精神=衝動は人間の役割としてこの先も残っていくでしょう。
田舎で生まれた10代のPUNKキッズが一歩踏み出し、長年かけて肌で感じたこと、今現在気付いたことと事実です。
やりたいことに対してすぐに踏み出せる時代で“誰が何を”作るか。
情報に溺れずにテクノロジーと上手に付き合っていくことで、きっと面白い人生になると信じています。
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