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【リレーコラム】「欲」「望」の「選」「択」(Tetsuta Tsurumoto)

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PROFILE|プロフィール
Tetsuta Tsurumoto 鶴本 哲太
Tetsuta Tsurumoto 鶴本 哲太

1996年兵庫県神戸市生まれ。2021年企業退職後上京 coconogacco、金村修ワークショップに参加。KLEINSTEINによるSTEINBOXを経て
現在写真活動、友人と共同活動のPOLYCLEF、工房親ギャラリー運営を行う。

今から当たり前のことをつらつら話そうと思う。当たり前と言っても本当に当たり前のことは当たり前すぎて逆に気がつきにくいし、当たり前のことは必ずしも言葉で媒介できるとは限らない。しかし言葉がないと人は具体的に思考することすらもできない。良い言葉や重要なことは小さい頃から今現在にかけてすでに聴いていたり、触れていたりする。けれどそれを認識できなかったり感じられなかったりするのは、それが当たり前すぎた場合か、もしくは言葉では理解していたとしてもまだ未体験な概念だからである。

「言」「葉」と「イ」「メ」「ー」「ジ」の「波」

戦後20世紀末、コンピューターなる言葉の例からもわかるように日本は表意文字による表現を捨て急速に表音文字表現に依存するようになった。それは経済圏の拡大にともない外来の新概念が急増したからで、外国語をカタカナで表音表記して組み込むことができる日本語独特の機能が発揮された結果だ。(若林直樹 『退屈な美術史をやめるための長い長い人類の歴史』2000年)
普段私たちが何気なく使用している、さまざまな言葉(横文字)はそうした時代の移ろいのもと大量に産まれ、“fashion”という語も日本語として新概念を創作し土着させる前に、“fashion”は「ファッション」という音としてすでに昇華してしまっている。それは語が表す概念レベルに辿り着く間もなく、雰囲気のように機能する言葉となり思考を阻害する。さらにSNS、コンテンツ過多時代に生きる現代ではそうした言葉と付随するテクノ画像が新たなコードとして機能し、もはや外来から日本へという一方向どころではなく、あらゆるところから言葉は湧き出している。全方向から発生する言葉は秩序を崩壊させ、私たちはそうしたさまざまな飽和した雰囲気的な言葉とイメージの波に同期し続け、今なおその波に漂い続けていることに気がつくことができない。
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