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【日本未上陸】デッサンから生み出す華やかなシルクスカーフ:フランス発「Creature Marseille(クリーチャー マルセイユ)」
フランス第2の都市である南仏マルセイユが、カルチャー発信源として急成長を遂げている。コロナ禍を機に、大自然が広がる地域に新たな拠点を持ち、完全移住を果たした働き盛りの30〜40代も少なくない。
スカーフブランド「Creature Marseille(クリーチャー マルセイユ)」の設立者ポリーヌ・パランソエン(Pauline Paranthoën)も、この地の光と色、空気に魅了されて移住したひとりだ。彼女は現地の職人とともにシルクスカーフを制作し、アート作品や室内装飾品を通してマルセイユの美しさを表現している。
唯一無二の地中海の美学を作品へと落とし込む創造的なプロセスについて、ブランド設立者のポリーヌに話を聞いた。
PROFILE

ポリーヌ・パランソエン(Pauline Paranthoën)
Creature Marseille 設立者
マルセイユの自然美に促された創造性
海と山に囲まれたフランス最大の港町マルセイユは、いまやフランス人だけでなくヨーロッパ人にとっても魅力的な都市で、2024年夏はパリ五輪の競技がマルセイユでも開催されたこともあり、例年以上のにぎわいを見せた。
コロナ禍以降の数年間で話題のレストランからコンセプトストア、カルチャースポットが続々とオープンして街が活気づくと同時に、マルセイユを拠点としたブランドも脚光を浴びている。
なかでも「Creature Marseille」は、自然が生み出す鮮やかさとダイナミズム、活気あるエネルギーを日常生活のアイテムへと反映させた作品で注目を集める。
パリ生まれのパリジェンヌである設立者ポリーヌは、36年間のパリ生活を経てマルセイユへと移住した。「南仏の海と光が私にインスピレーションを与え、豊かな心を育んでくれたのです」と、移住当初を振り返る。
「マルセイユに到着してすぐに絵を描き始め、この土地特有の光に魅了されました。絵画制作時は、作品が躍動的に動き、日々の瞬間を照らすことをイメージします」
ブランド設立以前は、広報、出版、ECサイト、UXデザイン研究など、多岐にわたる分野で経験を積んだ。この多様な経験が、幅広い視点と異分野を結びつける能力を養い、創造性を原動力とした「Creature Marseille」での独自の世界観の確立につながっている。

日常生活に美を取り込む作品
彼女は、地中海の視覚的な豊かさにインスピレーションを得て、絵やアートプリントから創作をスタートした。「時が経つにつれ、絵画作品に命を吹き込み、一緒に旅に出たり、身に着けたりしながら、人々の生活を豊かにしたいと思い始めました。ファッションとアートの分野を結びつけたいと考えるようになり、シルクスカーフは自然に、創造的なキャンバスとなったのです」と、その旅路について語る。
「Creature Marseille」で最初に手掛けたのは、手描きの絵画作品をプリントしたシルクスカーフだった。
スカーフは汎用性が高く、時代を超越したファッションピースであり、“着用可能なアート作品”を作るという彼女の理想に叶うものだった。
やがてジャガード生地を用いたブランケットをはじめとした家庭用の室内装飾へと分野を広げ、現在はキャンバス地のスツール、ハンドメイドの陶器作品を展開する。

マルセイユの自然美を投影した鮮やかなカラーパレットで、感情を呼び起こし、刺激を与え、活力と喜びをもたらしてくれる「機能的かつ装飾的な要素の両方を備えたユニークな芸術作品」だと自身の作品について教えてくれた。
「私の作品が人々に喜びをもたらすのが大好きです。自分を単一の分野に限定したり、ファッション、室内装飾、アートのいずれかを選んだりしたくありません。日常生活にシームレスにフィットする独自の世界を創造することを目指しています。
これにより、専門知識と職人技の新しい分野を探求することもできるのです」
最大の着想源は、マルセイユでの日常に溢れる景色だ。鮮やかな海の色彩、豊かな自然の質感、多様な動植物の形態、そして文化や言語の広がり、地元の人々が持つ温かさ——これらすべてが彼女の創造性を育んでいる。
「世界の動植物や多様な文化は、私の想像力を掻き立てると同時に、色と模様の無限のパレットを生み出してくれます。時には、現実には存在しないけれど、どこか親しみを感じる花や動物、模様を創造することも楽しんでいます。
自然がもたらす創造物の豊かさを捉え、それらを手描きの作品を通して表現することが私の目標です。『Creature Marseille』は、色彩と光、活気、そして自由な精神への賛歌なのです」

職人と創る「Creature Marseille」のものづくり
すべての商品は、ポリーヌの手描きイラストから生まれる。環境に配慮したものづくりと確かな品質を大切にする職人や小さな工房と協力して、丁寧に作られている。たとえば、イタリアのコモ湖近くにある伝統あるシルク工場など、確かな技術が受け継がれている場所で少量ずつ生産を進める。大量生産ではなく、一つひとつの品質にこだわっているのだ。
素材は環境に優しい天然素材やリサイクル素材だけを使用。品質の良さと環境への配慮、この2つを両立させることが「Creature Marseille」の信念である。

自然素材の良さを生かし、環境に優しい方法で作られるポリーヌの作品は、私たちの暮らしに彩りを添える。スカーフも装飾品も、地中海の光と豊かさが感じられる特別な一品だ。
職人たちと協力して作品を作る背景には、その技術と知恵を次の世代に伝えていきたいという思いもある。少しずつ成長してきた「Creature Marseille」は、これから新しい素材も取り入れながら、クッションやテーブルクロスなどの部屋を彩るアイテムも作っていく予定だ。

「私の作品を通して、人々に喜びと新しい発見、そして自由な心を届けたい。これが私のものづくりの原点です。これからも同じ思いを持つ職人やブランドと手を携え、美しい色使いと確かな技術を大切にしていきたい」
そう語るポリーヌの笑顔は、マルセイユの陽光のように明るく輝いていた。地中海の自然が育んだ彼女の創造力は、これからも新たな物語を紡ぎ続けていくことだろう。
Text by ELIE INOUE










