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英国王室の寵愛を受ける「ETTINGER(エッティンガー)」: 財布に漂う品格の源泉
ブランドのプレステージや品質を証明するうえで、ロイヤルワラント(英国王室御用達)ほど確かなものはないだろう。
1934年創業の「ETTINGER(エッティンガー)」は、そんな栄誉に浴するブランドのひとつだ。最高級のレザーと熟練職人の技を駆使して作り上げられるレザーグッズは、英国紳士たちからの信頼を獲得し、1996年に当時のチャールズ皇太子(現国王3世)からロイヤルワラントを授与された。
ETTINGERのプロダクトは、他のブランドのものとどこがどう違うのか? 看板商品のレザーウォレットから、その唯一無二の魅力を探っていこう。
創業90周年を迎えた英国発祥のレザーブランド
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今回、お話をうかがったのは、株式会社キャンディーの広報担当者。同社は1999年から総輸入販売元としてETTINGERの取り扱いをしている。
「もともとエッティンガー家は、ロンドンで英国軍の軍服の縫製を手がける一族でした。1930年代に、事業拡大の一環として、バーミンガムにあった皮革製品工場を買い取りました。その工場を拠点に、ゲリー・エッティンガーがレザーグッズを製造する会社を設立したのです」

現在もメイド・イン・UKを貫き、約60人の職人たちが自社工場で生産を行っている。
ロイヤルワラントが授与されたのは1996年のこと。長年にわたって王室に革製品を納めており、その品質が評価されたという。その後、4年ごとの審査をクリアして、王室御用達ブランドの地位を維持している。

日本へは1999年に本格上陸を果たした。百貨店や有力セレクトショップで展開され、さらにファッション雑誌で取り上げられ、徐々に知名度を高めた。2010年には世界初の旗艦店となる銀座店をオープンした。現在は伊勢丹新宿店メンズ館1階などでも取り扱いされている。

馬具の「鞍」にインスピレーションを得た定番コレクション
そんなETTINGERを象徴するのが、「BRIDLE HIDE COLLECTION(ブライドルハイドコレクション)」だ。
「1975年にスタートしたこのコレクションの特長は、乗馬で使われる鞍に着想を得たデザインです。鞍には外側と内側で異なるレザーが使われていて、人がまたがる外側には丈夫で強いブライドルレザーが、馬体に触れる内側には、馬に優しい、しなやかな植物なめしのパネルハイドが使われます。ETTINGERはそんな鞍の合理的な構造にならって、外側にブライドルレザーを、内側にパネルハイドを使った革小物を作ったんです。というのも、英国は乗馬発祥の地であり、紳士の国でもあるから。ETTENGERは、自然や動物を愛する紳士のためのブランドであると考えています」
財布の外側と内側で異なる色を使うコンビネーションカラーもブランドの代名詞的なデザインだ。こうすることで、財布を開けると鮮やかな色が表れる、という趣向が楽しめる。
「ゲリー・エッティンガーが生み出したアイディアです。元映画プロデューサーという経歴を持つ彼は、銀幕の世界で培われた美意識と発想で、保守的なレザーグッズの世界に新しい風を吹き込みました」

使用するレザーにも並々ならないこだわりを持つ。たとえば、蜜ろうと牛脂を何度も塗り重ねて作るブライドルレザー。馬具に使われるレザーだけあって、厚みがあって堅牢。表面にはブルームという白い粉状の油脂が見られる。
「ETTINGERが用いるのは、レザーグッズ用に作られた特別なレザーです。しなやかでキメも細やか。精緻な染色による透き通るような深みも特徴です」
装いのエレガントさを損なわないために「薄さ」を追求

ブライドルレザーとは思えない薄さにも注目だ。
「財布のマチをできるだけスリムにするために、革を削いで薄くしているんです。ぶ厚い財布は、ポケットに収まりにくかったり、スーツのシルエットに影響が出たり、さまざまなデメリットがあります。また、革を薄くすると、縫製時に細い糸が使えるようになるため、繊細なステッチが可能になります」

経年変化による味わいもひと味違う。
「ブライドルレザーは使い続けるうちに表面のツヤが生まれますが、ETTINGERのそれは光沢がより豊かで、独特の透明感があるんです。銀座の旗艦店では、実際に数年間使用した製品をご覧いただけます」
おもに財布などの内側に使われているパネルハイドも、最高級のものが使われている。成牛の革が使われた植物なめしのレザーは、薄手でしなやかだ。
「鮮やかな発色も特徴で、内側のイエローのパネルハイドは、ブランドのアイコンともいうべきデザインです」
スターリングポンド紙幣をイメージした鮮やかな発色
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2012年に発表された「STERLING COLLECTION(スターリングコレクション)」は、BRIDLE HIDE COLLECTIONと双璧をなす人気コレクションだ。
「英国のスターリングポンド紙幣から着想を得た色使いが見どころです。一見、黒いカーフのシンプルな財布ですが、開くとポンド紙幣の透かしの色をイメージした鮮やかな色が現れます。カラーバリエーションはターコイズブルー(5ポンド札)、オレンジ(10ポンド札)、パープル(20ポンド札)、レッド(50ポンド札)の4色が揃います」
なかでも人気が高いのがパープルだという。
「2010年、チャールズ皇太子(当時)の還暦をお祝いする意味を込めて、英国王室のイメージカラーであるパープルを使った『ROYAL COLLECTION(ロイヤルコレクション)』をリリースしたところ、大きな反響がありました。そこでさらに英国のシンボルであるポンド札に着想を得たこのコレクションをリリースすることになったんです。こちらのコレクションでもやはりパープルの人気が絶大で、今やブランドを代表するカラーとなりました」

伝統を守りつつ、常に新しい素材やデザインにも挑戦している。数年前からはゴートレザー(山羊革)を使った「CAPRA COLLECTION(カプラコレクション)」をリリースし、ファンの注目を集めている。
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「ブランドが創業した1930年代に、ヨーロッパの富裕層の間で旅行ブームが起こりました。そのときに、牛革より軽く、かつキズの目立ちにくいゴートレザーを使ったレザーグッズが流行したんです。また、両サイドのカードポケットの下部は曲線になっているのですが、これは当時、ヨーロッパでブームになったアール・ヌーボーにインスパイアされたものです」

オンリーワンの革小物が欲しいなら、オーダーという手段も。
「ETTINGER銀座店では、お好みに合わせてレザーの種類やカラーを選んでいただけるパターンオーダーをご用意しております。ベースとなるのは財布やカードケース、キーホルダーなど12種類のアイテム。レザーは34種類、ステッチカラーは20種類、ライナーは2種類からお選びいただけます。ほかにも、金具やロゴの刻印の色もオーダーいただけます」

どのコレクションにも共通していえることだが、ブランドを過度に主張しない。
「できる限りスリムに削いだ上質なレザーや細い糸を使った精緻なステッチを見れば、それだけでETTINGERらしさを感じていただけるはずですから。我々の誇りであるロイヤルワラントの刻印も、目立ち過ぎないよう内側にあしらっています。こうしたデザインは英国特有のアンダーステイトメント(控えめな表現)を体現するものです」

レザーからカラーリング、ステッチに至るまで、透徹された英国の美学。ゆえにひとつひとつの革小物には、えもいわれぬ品格が漂うのだ。
「財布をひとつ持つだけで、誰もが英国の紳士淑女になれる。そんな魔法のようなアイテムを作るために、ETTINGERは精魂込めてものづくりを続けていきます」
Text by Ryota Osujo











