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愛着界隈

【Levi's RED】の謎を解け(日本編) 国内コレクター&ブームの仕掛け人が集結

2026.01.09
人は、なぜコレクターになるのか……。そして、どのように「界隈」が生まれるのか? 服を着ることを愛する人々のコミュニティを取材するスペシャルコンテンツ「愛着界隈」。
今回はリーバイスのなかでも特級の謎ライン「リーバイス ®️レッド」、通称「RED」の界隈を取材する。
fashion tech newsでは、2023年にコレクター集団「REDの会」の膨大なコレクションをもとに、その魅力を徹底解説した。今回も国内有数の「RED」コレクターたちと一緒に、さらに深い秘密を解き明かしに行こう。

PROFILE

REDの会

リーバイスレッド コレクター集団
※各メンバーは記事末尾に記載

PROFILE

RYU(りゅう)

リーバイスレッドコレクター
Instagram

PROFILE

山本 真一郎(やまもと しんいちろう)

株式会社ジャック・オブ・オール・トレーズ
デウス エクス マキナ セールスマネージャー

PROFILE

小田 真司(おだ しんじ)

株式会社ジャック・オブ・オール・トレーズ
PR
Instagram

コレクターの道を決めた「最初の一着」

コレクター集団「REDの会」
どんなコレクターにも、「沼」に引きずりこまれた最初の一着がある。「REDの会」会長のichijo1100さんは、1999年に27歳で「RED」を知った。
「当時、私は漫画家を目指していて、キャラの衣装の参考のために大量にファッション誌を読んでいたんです。そこに、日本に上陸したばかりのREDの『1ST GIANT』が載っていました。形、色、素材、すべてがかっこいい。一目ぼれでした」(ichijo1100さん)
1ST GIANT(1999)
通称「1ST」コレクションには「STANDARD」「SLIM」「GIANT」「COMFORT」「LOOSE」などのバリエーションがあり、その特徴は膝から裾にかけて極端にねじれたシルエットだ。ポケットやシンチバックといったパーツもデフォルメされ、今見ても異様なオーラを放つ。
「ジーンズ」そのものを大胆に再解釈した「RED」は『BOON』や『Smart』『MEN'S NON-NO』などのファッション誌に毎号のように登場する。副会長のマスターテンさんも、その最初期に「RED」を買ったひとりだ。
1ST SLIM(1999)
「僕は『BOON』の1999年から2000年にかけてのスナップの影響で火がつきました。欲しかった『1ST STANDARD』が人気で買えず、シルエット違いの『1ST SLIM』を手に入れたのが最初です」(マスターテンさん)
メンバーのKazuoさんも最初期からのフォロワーだ。衝撃を受けたのはボトムスでなく、アウター「1ST COAT」だったという。
「『1ST COAT』は売っている店がわからず、2001年にレディースの『1ST SLIM』を見つけて、なんとか履けるW27/L30を買いました。サイズアウトしてしまった今でも、一度も洗わず保管しています。当時は自宅にネット環境がなく、仕事終わりに会社のPCでヤフオクにアクセスして、毎日REDを探していました」(Kazuoさん)
1ST COAT(1999)サンプル品
ここまでの3名は50代。立体裁断の「1ST」コレクションの洗礼を受けた世代だ。「REDの会」にはさらに若いメンバーもいる。わんこさんは1999年当時は小学生だった。
「高校1年のときに、雑誌『チョキチョキ』のスナップでカリスマ美容師の方が着ていたREDを、『何だこれは?』と注目したのがきっかけです。アメ村を探し回っても見つからず、あきらめきれずに塾の先輩に頼んでヤフオクで買ってもらいました」(わんこさん)
最初の一着は、立体裁断にジッパーを施した「PASSIVE AGGRESSIVE」のユーズドだ。
PASSIVE AGGRESSIVE(2000) ポケット部の2本のジッパーがアイコニック。スタッズがついたモデルも存在(右)
REDは「1ST」以降も、「ねじれ」「対義語」「ワーク」期などのデザインテイストが異なるコレクションを発表していく。
KOJIさんとミッキーさんは、1999年当時は高校生。KOJIさんは1STはお金がなくて買えず、2004年に原宿竹下通りの2階にあったブランド古着屋で「対義語」コレクションの「HONEST-DISHONEST」を購入した。
HONEST-DISHONEST Day&Night(2001)昼と夜のように前後で異なる色落ちを施したモデル
「REDは私をファッションの世界へと引き込んでくれた、相棒のような存在です。今では古着屋でハンガーにかかっているデニムから、色味だけでREDを見つけられます」(KOJIさん)
ミッキーさんは「1ST」の立体裁断を左右非対称にねじった「WARPED」期からコレクター活動に入った。
GUYS WARPED BOOT CUT(2002)バックポケットにチェーンが付属する
「最初期のREDはクラスで話題になっていましたが買えなくて……。2006年頃にセカンドストリートで『WARPED』を入手してから、欲望が爆発しました。知り合いのインフルエンサーさんにREDを着てもらうなど、勝手に普及活動をしています(笑)」(ミッキーさん)
2002年からの「ワーク」期では、一転して手縫い風のステッチや特殊な色落ち加工でワークウエアのディテールを打ち出した。唯一の女性メンバーであるサジさんも、この時期からコレクター活動に入った。
PATTY ANNE(2003) サジさんが最初に購入した「RED」
「REDは女性誌にもルックが掲載されていました。当時はまだスキニーが流行る前で、『PATTY ANNE』はスリムなシルエットが新鮮だったのを覚えています」(サジさん)
左: 2nd Signature Jean(2002) 右:Bow Leg(2007) スキニー・超ワイド・半端丈・バナナカーブ。「RED」は立体裁断のほかにも実験的なシルエットを連発した

「RED界隈」の誕生

そんなコレクターたちが「REDの会」を結成したのは2009年。ichijo1100さんとマスターテンさんが大阪のリーバイス顧客向けのイベントで意気投合し、わんこさん、サジさんが加わりコレクターたちの情報交換が始まった。
「REDの会」集会より。ドレスコードはもちろん「RED」
関東圏からは、2010年にミッキーさんがichijo1100さんのRED愛を語ったブログに感激し、入会。2021年には孤独に収集活動をしていたKazuoさんが合流、さらにミッキーさんがKOJIさんをスカウトした。バックグラウンドや年代、居住エリアの異なるメンバーが「RED」を通じて交流してきた。
さらに各メンバーがブログやSNSで発信しはじめ、コミュニティの外とも交友が広がる。
REDコレクター:RYUさん(右)とKazuoさん(左)
2004年頃にストリートスナップで「ワーク」期の虜になって以来、コレクターになったRYUさんもそのひとりだ。
「『ワーク』期だけをすごい数持っているRYUさんを見つけて、私がずっと探していたモデルを持っているかもしれないとDMしたんです」(Kazuoさん)
KazuoさんがRYUさんから譲り受けたワーク期「GEORGE」の色落ち加工モデル(写真上)
RYUさんは Kazuo さんと「RED」の2次流通情報を交換するようになり、やがて「REDの会」のメンバーとも顔を合わせるようになった。そうして、コレクターとしての活動はますます加速していく。
「『ワーク』期は一通り集めたので、今は微妙な色落ちやサイズ違いを収集しています。子どもたちが将来着るかも......と理由をつけて(笑)」(RYUさん)
RYUさんの愛着あふれる「ワーク」期コレクション。個体ごとの違いも味わい深い
SNSを起点に交流は次第に広がっていった。「RED」は1999年以降、リリースと休止を繰り返し、2022AWを最後に生産を停止しているが、現在もコレクターたちは日々フリマアプリや古着店を巡り、過去のアイテムを探し続けている。
デニムという巨大なジャンルの中では、「RED」はとても小さな「界隈」に違いない。しかし、この異質なジーンズには、いつまでもコレクターの探求心をかきたてる魅力がある。今回の取材では、その原点を知る関係者が協力してくれた。

「RED」日本上陸の仕掛け人、「ジャック・オブ・オール・トレーズ」とは?

渋谷にあったショップ「キメラルックス」
「RED」はそのデザインだけでなく「売り方」も常識外れだった。カジュアルなジーンズショップはおろか、リーバイス直営店にすら入荷しなかったのだ。ichijo1100さんは「RED」最初期をこう振り返る。
「1999年から数年間は、REDは非常に限られたセレクトショップでしか手に入りませんでした。『ユナイテッドアローズ』や、京都の『セクシュアルチョコレート』、青山の『L.H.P』など。入荷数もすごく少なかったんです」
Signature Piece Order(2001) デニム地へのプリントなど、「RED」はアーティスティックで実験性の高いモデルを多数リリースした
リーバイス製品とは思えない、デザイナーズブランドのような売り出しの仕掛け人がジャック・オブ・オール・トレーズ(以下「ジャック」)だ。同社セールスの山本真一郎さん、PRの小田真司さんはこう語る。
「REDは、リーバイス本体でなく、当社ジャックが販売代理店でした。元々当社はトリッカーズ、パトリックコックスなどのイギリスのシューズの代理店で、そのコネクションからリーバイスUKと繋がり、当社の卸先のショップに流通させることになったのです。新作発売の数ヶ月前に主要取引先に少量納品して話題にする、シーディング(種まき)というマーケティング手法もとっていました」(山本さん)
異例の販路で日本上陸した「RED」の実験的なデザインと、ジャックの取引先であるセレクトショップの相性は抜群だった。当時、山本さんと小田さんは実際に店頭で「RED」を売っていたという。
「キメラルックス」店内。かつて「RED」コレクターたちも通った名店
「ジャックが運営していた『コーニッシュ』と、その後は『キメラルックス』でショップマネージャーをしていました。REDは非常に個性が強く、マルタン・マルジェラがデザインしているという噂まで出ていた。着る人を選ぶ難しいアイテムだからこそ、ファッション業界人に人気でした。特にスタイリストの祐真朋樹さんは、別注モデルをつくるほど熱心に取り上げてくれました」(山本さん)
こうしてファッション誌にこぞって特集が組まれ、「RED」コレクターはその雑誌を見て沼にはまっていったのだ。
ジャックのふたりは、取材の最後に「ここでREDのコレクターにお会いできたのは、当時携わっていた者としては本当にうれしい。20年以上前の記憶がよみがえってきました」と話した。
一人ひとりの熱量、コレクター同士の共感、そして「仕掛け人」たちの努力が集まり「界隈」は生まれる。
──そして「界隈」は海の向こうにもある。次回、世界の「RED」コレクターと仕掛け人が出会うリーバイスレッド【海外編】をお楽しみに。

◾️取材協力
コレクター集団「REDの会」
・ichijo1100(会長):Instagram
・マスターテン(副会長):Instagram
・わんこ:Instagram
・サジ:Instagram
・ミッキー:YouTube
・Kazuo:Instagram
・KOJI:Instagram

画像提供:REDの会、RYU
Text by GANTAN

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