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LONGCHAMP(ロンシャン)の名品バッグ「ル ロゾ」「ル プリアージュ®」に宿るレザークラフトの真髄

2025.03.06
1948年にパリで誕生した「LONGCHAMP(ロンシャン)」。飽きのこない普遍的なデザインや軽くて丈夫な機能性の高さなどを理由に、世界中の人々から支持を集めている。日本では通勤・通学から旅行まで、さまざまなシーンで活用している人をよく見かける。
ロンシャンといえばレディースバッグを思い浮かべるが、もともとは“革巻きのパイプ屋”だったというから驚きだ。嗜好品からバッグを展開するに至るまで、ロンシャンはどのような道を歩んできたのか。ロンシャン・ジャパン株式会社の伊藤さんに聞いた。

パリの地で、職人による革巻きのパイプ屋としてスタート

ブランドが誕生した背景を教えてください。
ロンシャンは、ジャン・キャスグランとその家族でスタートしたブランドです。現在はレディースバッグのイメージが強いブランドですが、もともとジャンは両親が創業したパリのたばこ店を1926年に引き継ぎ経営していました。
1945年に第二次世界大戦が終わり、ヨーロッパに駐屯していたアメリカ兵が引き上げる際、L字型のパイプがお土産として人気を集めたそうです。
そこに目をつけたジャンは、1948年にフランスのレザー製品ブランドとしてロンシャンを創業し、「ただのL字型のパイプではなく、フランスの職人技と融合できないか」と考え、革職人と組んで手張りで革を巻きつけました。当時は革巻きのパイプは非常に珍しく人気を博したようです。それが革製品を展開していくきっかけになりました。
革巻きのパイプを経て、バッグの製造はどのような経緯でスタートしたのでしょうか。
ジャンの息子であるフィリップのアイディアがきっかけでした。
フィリップは16歳だった1950年代前半に、視野を広げてほしいというジャンの思いから1人で世界旅行に旅立ちました。その道中で彼は、近い将来の「旅行」について3つの予測を立てました。1つは“人々は今後、娯楽のために旅行するようになること”、2つめは“旅行のために空港に人々が集まるようになること”、そして“男性だけでなく女性も旅をするようになること”です。
その予想をもとに、ジャンは革製のパスポートケースやスーツケースなどを作り始めました。同時期に、当時としては珍しく空港内に店を構えたことも功を奏し、旅行用のレザーグッズは多くのお客様に受け入れられました。
そして徐々にレザーアイテムの展開を増やすなかで、1971年、息子のフィリップによって初の女性向けレザーバッグが制作されました。

ロンシャンを代表する名品「ル ロゾ」「ル プリアージュ®」

ブランドの代表的なアイテムについて教えてください。
バッグのコレクションのなかから、「ル ロゾ」「ル プリアージュ®」をご紹介します。どちらも1993年に登場しました。
「ル ロゾ」はロンシャンらしいレザーバッグで、ブランドのアイコニックなコレクションです。「ル ロゾ」は植物の葦(あし)を意味し、幹の部分が竹に似ていることから、その佇まいがチャンキーなダッフルコートの留め具としてバッグに輝きを添えているのが特徴です。
ヨーロッパで葦というと、風に合わせてたおやかになびきつつも根はしっかりと張っている、強くて美しい植物として知られています。そのイメージも「ル ロゾ」には表現されていると思います。
もともとは、ランウェイのフロントローに座っている、ファッションエディターたちの相棒として愛されてきたバッグです。
可愛らしい小ぶりのバッグではなく、女性の社会進出が進むなかで仕事で使うことを意識して作られたため、口が大きく開いてものを出し入れしやすいトートバッグ型が採用されました。当時としては画期的なデザインで反響も大きかったそうです。
当時の”バンブー”意匠を継承する「ル ロゾ」トップハンドルバッグL
「ル プリアージュ®」は、元々は当時レディースバッグの素材としては珍しかったナイロンを用いたコレクションです。フィリップがフランスの軍隊で使われていたナイロン製の備品を見て、「ロンシャンが紡いできたレザー技術と掛け合わせ、折りたためるバッグが作れたら面白いのではないか」と考えたことがきっかけで作られました。
折りたたむという発想は、彼が世界を周っている際に香港で見た、日本の折り紙から着想を得たと聞いています。一枚の紙がいろいろな形に変化することや、ミニマルな美しさに心を揺さぶられたそうです。フィリップの好奇心から、ブランドを代表する軽さと丈夫さを両立したバッグが生まれました。
現在はオールレザーのバッグも人気。「ル プリアージュ® エクストラ」 トップハンドルバッグXS
「ル ロゾ」「ル プリアージュ®」ともに誕生から30年以上が経ち、これまでさまざまなデザインが登場してきました。各コレクションが元々持っている特徴や良さはしっかりと踏襲しながら、時代に合わせてデザインの幅を広げていっています。

アトリエに眠る素材をパッチワークした新コレクション「リプレイ」

「リプレイ」トップハンドルバッグXS
ものづくりを行ううえで大切にしている思いや理念を教えてください。
ものづくりの観点では、「何代も受け継がれるほど長持ちする製品をひとつ作れば、それがサステナブルである」という考えを持っています。
2022年に誕生した「リプレイ」も、サステナブルへの取り組みを反映したコレクションですよね。
「リプレイ」は、フランスのアトリエに眠っているレザーやナイロン、シルクスカーフ、ショルダーストラップなど多種多様な素材を組み合わせて、バッグとして蘇らせたアップサイクルのコレクションです。
2025年春夏コレクションはどのような内容でしょうか。
今年の春夏コレクションも引き続き現代のパリジェンヌをテーマにしています。
さまざまなバックグラウンドを持つ人々がパリに集まって暮らし、街の美しさに感化されながら自分らしさを作っていく。毎シーズンのコレクションを通して、ロンシャンが描く現代のパリジェンヌの姿を見ていただけるとうれしいです。

伝統を大切にしながらも、常に新しい風を取り入れる柔軟さを持ち合わせているロンシャン。これからも、大胆なアイデアと革新の精神で、世界的なレザーブランドとして確かな存在感を放ち続けるに違いない。

PROFILE

伊藤 友紀子(いとう ゆきこ)

ロンシャン・ジャパン株式会社 マーケティング・マネージャー

Text by 奥山 りか

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