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製薬会社から生まれたスキンケア&ヘアケアブランド「ママベビー」:科学的視点で示されるオーガニックの利点を紐解く

2025.12.24
「オーガニック」や「自然由来」と聞いて、どのような印象を持つだろうか。肌にやさしいと感じる一方で、「効果が弱いのでは」と思う人も少なくないのではないか。だが、創業80年の歴史を持つイタリアの老舗製薬会社から誕生した「ママベビー」は、その概念を覆す。科学的視点に基づき、自然由来成分を積極的に採用している。
0歳から使える安全性や低刺激性を備え、イタリア本国のみならず、日本でも厚い支持を得ている。その日本展開を担うママベビーチームに、製薬会社がオーガニックを選ぶ理由と、その根底にある科学的哲学の話を聞いた。

ひとりの母の経験から始まった、ママベビーの哲学

ママベビーの原点は、イタリアのミラノ郊外にある家族経営の製薬会社オルチェッリ社にある。創業以来80年にわたり、産婦人科や小児科向けに自然由来のボディケア製品を提供してきた。その流れを汲んで、創業者の孫であるマリア・エレーナ氏が『ママベビー』を立ち上げたのだ。
「エレーナさんが出産したお子さんが重度の肌トラブルを抱えていました。ところが実家が手掛ける製品だけは使用することができ、肌の状態が落ち着いたのです」
肌の成長度合いに合わせ、ママベビーでは0〜2歳期、2〜12歳期に商品を分類
この経験をきっかけに彼女は、製薬会社の製品から「誰もが使えるオーガニックコスメ」の製品化へ乗り出す。結果、医療品質のやさしさを日常へ届けるブランドとして、高価で手が出にくかった当時のオーガニック市場に風穴を開けた。

肌本来の環境を整えることは、自然由来の得意領域

オルチェッリ社は、創業当時から自然由来の製品を手掛けてきた。エビデンスが重視される製薬会社が、なぜオーガニックを選んだのか。
「美容だけでなく、医療やウイルスの分野でも、ケミカルと自然由来では得意分野が異なります。たとえばシワやシミなどができてしまったトラブルに対処するのはケミカルの得意領域ですが、人が生まれながらに持っている基礎機能を育むことは自然由来やオーガニックの得意領域です」
生まれたばかりの子どもの肌は、基本的にトラブルのないニュートラルな状態にある。その肌に外的ストレスや体内環境の乱れなどが加わると、バリア機能が崩れ、トラブルのリスクが高まっていく。
「ベビークリームローション」2,640円(税込)
「肌には本来、潤う力が備わっています。肌の常在菌は皮脂を分解して弱酸性を保ち、天然の保湿成分であるグリセリンを生み出すことで、清潔さと潤いを維持しています。ところが、常在菌の多様性が失われバランスが崩れると、肌トラブルの原因になってしまいます。
多様な菌は自然の中でバランスが保たれているため、自然由来の成分はバランスを整えるのに適しているのです。反対に、化学的な成分によっては、菌を壊してしまうものもあります。だからこそ、菌の多様性がまだ十分に育っていない12歳ごろまでの子どもにとって、多様性の高い土壌で育ったオーガニック植物は理にかなった選択だと考えています」
ママベビーチームが一例として挙げたのは腸内環境だ。薬やサプリメントも発売されているが、腸内環境を改善するためには、基礎的な食事のバランスが重要となる。
「即効性という点ではケミカルの力は素晴らしいものです。だから、どちらが良い、悪いということではなく、目的によって使い分けるべきだと考えています。自己免疫や基礎機能を整えるという観点では、医学的な視点においても自然由来のものが適していると考えています」

安全性を最大限に高めるための科学的アプローチ

こうした科学的思考のもと、ママベビーでは国立の研究機関や大学と共同で原料の基礎研究を行っている。
「同じ植物でも、種子や土壌、在来種かF1種かなど、さまざまな条件によって有効成分の品質や共生する微生物の多様性が変わります。だからこそ、植物の育つ環境そのものから研究を行っています」
環境再生型農業の体験など、子どもの体験プログラムも積極的に実施
ママベビーでは、使用成分に関する厳格なガイドラインも設けている。日本は88種類、アメリカは30種類、EUは約1,400種類の成分が使用禁止とされているなかで、ママベビーでは2,700種類もの成分を禁止対象としている。
「国の基準で安全とされていても、本当に安全とは限りません。そのためアレルギーテストやパッチテストなど、自社で安全性を確認できない成分は使用しないというルールを設けています」
さらにアレルギーのリスクを減らすため、極限までシンプルな処方設計をすることも、ママベビーのルールになっている。
「アレルギーリスクの考え方では、使用成分が10種類から20種類に増えると、リスクも2倍になるという単純な話にはなりません。食べ合わせと同じように、A単体では反応が起きなくても、AとBを組み合わせると反応が起きることがある。
つまり成分数が増えるほど、リスクは増えるのです。だからこそ、できる限りシンプルな成分設計にすることが、子どもの肌を守るために大切だと考えています」
ママベビーは親子で使うユーザーも多い。そのため成分数を少なくしても、使用感を犠牲にしないことも大切にしている。
「ノンケミカルUVミルク SPF50+ PA++++」2,420円(税込)
「私たちは0〜2歳のベビー期と、2〜12歳のキッズ期に分けて処方設計をしていますが、敏感肌の大人の方にも多く使っていただいています。
そのためロングヘアやダメージヘアもまとまるヘアケアアイテムや、白浮きせずに化粧下地としても使えるUVミルクなど、大人の方にも満足いただける処方を心がけています。処方設計では、数百回試作をすることもあるほど、使用感にはこだわっています」

植物の持つ力を最大限に発揮するための環境再生への取り組み

オーガニックコスメは、豊かな自然の恩恵を受けてつくられている。だからこそ、ママベビーの製品づくりには、環境再生の思想が息づいている。
「我々がなぜオーガニック植物を中心とした処方を組んでいるかというと、多様な虫や動物たちが生きる土壌で微生物と共生関係を結んで育つことで、栄養やミネラル、ファイトケミカルなどを豊富に含むからです。
化学肥料や農薬を使えば栽培は楽になりますが、植物が本来持っている栄養を吸収する力や、害虫に対しての抵抗力を弱めることにつながります。植物自体の力が弱まれば、当然製品の質も変わってきます。そのためにも環境に配慮するのは当然のことなのです」
ママベビーでは生態系全体の循環を視野に入れたオーガニックを実践している。
「オーガニックと有機栽培は同じ意味ですが、『有機だから』『オーガニックだから』といって必ずしも環境に良いとは限りません。肥料を与え過ぎると、水質汚染や微生物の多様性の喪失につながることもあります。我々は土壌のバランスや生態系、水質への影響を定量的に調査し、環境負荷を最小化する原料調達に取り組んでいます」
ママベビーのもう一つの特徴は、輸入ブランドでありながら、日本チームと本国が互いに協力して商品開発を行っているところだ。
「母体が製薬会社なので、コロナ禍の際には国から『病院用の除菌剤を優先してほしい』と要請があり、現地の手がまわらなくなりました。そこで日本での開発を提案し、泡ソープやノンケミカルUVミルクを開発しました。
理念を同じくしているからこそ実現できた、非常に珍しいケースだと思っています。現在では全商品の約半分を日本で開発しています」
「ベビーソープ(泡タイプ全身用)」1,980円(税込)
子どもの感性に響くパッケージの世界観を保つために、日本で開発される商品でも、イラストは現地のイラストレーターを起用している。その背景には、両者の強固な関係性があると言えるだろう。
今後は妊婦さん用のストレッチマークケアクリームを発売予定だ。
「同様のアイテムは多くありますが、私たちは、都会にいながらも“自然の多様な恵みを受けることが大切“という考えのもと、商品を通じて胎児にも健やさを届けたいという思いで開発を進めています」
ママベビーは、安全性や低刺激であることはもちろん、環境との共生や親子の時間も視野に入れながら製品づくりを続けている。製薬会社として生み出す真のオーガニック製品は、多くの親子に幸福をもたらしている。

Text by Junko Hayashida

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