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“指”で身体データを集める時代到来!? 経済産業省が注目するスマートリング「SOXAI RING」の技術とファッション性
重さ数gの指輪が、自分の健康状態を教えてくれる時代になった。近年、ユーザーが増加している「スマートリング」の話である。
日本発のセルフコンディション管理用スマートリング「SOXAI RING 1」を開発・販売する「SOXAI(ソクサイ)」は、この分野で最先端をいく。
スマートリングとは、どのような仕組みで健康管理をサポートするのか。そして、Apple WatchやFitbitなどのスマートウォッチとは何が違うのか。
株式会社SOXAIで取締役副社長COO / CFOを務める光頼篤樹さんに話を聞いた。
PROFILE

光頼 篤樹(みつより あつき)
株式会社SOXAI 取締役副社長 COO / CFO
ヘルステックベンチャー「SOXAI」創業メンバー。マーケティング・ファイナンス・広報・CS・事業開発などのビジネス領域全般をリード。直近はCFOとしての業務に注力している。
スマートリング「SOXAI RING 1」とは何か?
「SOXAI RING 1」は幅7.6mm、厚さ2.5mm、重さ約3gの指輪型のデバイス。ややゴツめのシルバーリングといったボリューム感だ。
スマートリングにはキャッシュレス決済やIoT機器のコントローラー、通話などの多様な機能を備えた製品があるが、そのなかで「SOXAI RING 1」の主な機能は個人の健康データ「PHR=パーソナルヘルスレコード」の取得・分析だ。光頼さんはこう語る。
「指にはめることで心拍数、心拍変動、血中酸素レベル、体表面温度などのヘルスデータを取得し、それらをもとに睡眠状態、ストレス状態、活動状態などを算出します。スマホの専用アプリでは、不調や病気に繋がりそうな兆候もお知らせしています」

医療機器ではないため病気などの診断、治療、予防目的には利用できないが、睡眠・体調・運動のパフォーマンスなどが採点され、健康状態が可視化される。
コアとなるテクノロジーは、指輪の内側に搭載したAI搭載加速度センサー、温度センサー、赤色+赤外線センサー、光学式心拍センサーだ。
なかでも光学式心拍センサーは、光を指の血管に当てて、その反射をデータ化する。Apple Watchなどのスマートウォッチも基本的には同じ仕組みだが、PHR取得においては、実はリング型のほうが高精度だという。
「指には太い動脈が通り、肌の色が薄い(メラニン色素の量が少ない)ためセンシングに適しています。リングは一日中着けていてもストレスが少ないですし、センサーの位置もほとんどずれません。身体にアプローチするために最適な形状は、時計型でなく指輪型なんです」
ヘルスケア用途のスマートリングは、フィンランドの「Oura Ring(オーラリング)」が有名だが、「SOXAI RING 1」は日本初の「国産ヘルスケアスマートリング」としてユーザーを増やしている。

「ファッション」という高い壁
SOXAI RING 1は、現在バイタルセンシング機能を搭載したスマートリングのなかで世界最小クラスのスマートリングである。「『サイズ感』は開発時にもっともこだわったポイントの一つです。スマートリングはどのウェアラブルデバイスよりも身に着ける時間が長いため、少しでも装着時に違和感があると外したくなる。センサーやバッテリーの設計を繰り返し、世界最小クラスまで到達しました」
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とにかく薄く・小さくすること。その上で「身に着けたくなる」ためにはファッション性が欠かせない。
スマートウォッチの代表格であるApple Watchは、デバイスのデザインと素材の追求、豊富なバンドを揃えてこの高い壁をクリアしつつある。当然、SOXAIにとっても無視できない要素だ。
「本体にチタニウムを使い、さらにシチズンの特殊な表面処理『デュラテクト』を採用し、5色を展開しています。この処理によって、表面硬度を高めて傷つきにくくし、輝きが長持ちします。発色も美しく所有感を高めることができました」
デュラテクトとは、時計のケースやバンドの素材表面に特殊な加⼯処理を施し、時計本来の美しさを守るために開発したシチズン独⾃の表面硬化技術だ。
リングの内側を見なければシルバーアクセサリーと言われてもわからないほど、表面は精緻で美しい。
「PHR=パーソナルヘルスレコード」が変える社会

SOXAIは現在3回目(シリーズAラウンド)の資金調達を行い、生命保険や製薬会社、寝具メーカーなど多様な業界からの総調達額は10億円を超える。
大きな期待を集める理由はPHRの活用可能性だ。現在、そのデータを一本化して本格的な社会実装を目指す経済産業省主導のプロジェクトが動いている。
そのなかにSOXAIが参加する「ZZZN SLEEP APPAREL SYSTEM(ズズズン スリープアパレルシステム)」というユニークな企画がある。
これは、「睡眠を持ち運ぶ」というコンセプトを掲げたプロジェクトで、SOXAI RING 1から取得したPHRから光と音を生成し、最適な仮眠へ誘導するアパレルだ。

SOXAIとともに同企画を担当したNTT DXパートナーの梅田貴大さんと、Konelの清水陸さんはこう語る。
「『ZZZN』はスリープテックを推進するNTTの社内ベンチャーから生まれたプロジェクトです。知財などのテクノロジーをアイディアと結びつけるKonelさんと共同で、『眠り』に関する音楽イベントなどを企画してきました」(梅田さん)
「今回の企画も以前からZZZNであたためていたものでしたが、SOXAI RINGなくしては実現しませんでした。海外製のスマートリングではデータ処理が不自由で、リアルタイムのPHRが反映できないんです。
SOXAIは特別に毎分PHRを取得できる環境を整えてくれました。PHRはセンシティブな個人情報ですから、セキュリティの観点からも国産のプロダクトが求められていくと思います」(清水さん)
同企画はコンセプトモデルだが、発表後に海外から「体験したい」「どこで買える?」という問い合わせが多数寄せられているという。
「ファッションブランドにこのシステムを提供すれば、新しい服と眠りの形が開けるかもしれない」と梅田さん。大阪万博での展示も決定している。
SOXAIが目指す未来

最後に、光頼さんにSOXAI RINGの展望を聞いた。
「サイズも機能もバッテリーの長寿命化も、普及のための課題はまだ多くあります。現在は細い指にも合うモデルを開発したり、PHRを未病改善の促進に役立てるため、神奈川県との実証実験を行ったりしています。
一つの大きな目標はファッションアイテムになること。最終的には、アクセサリーという意識もせずに身に着けているもの、いわゆる『結婚指輪』のような存在を目指したいと思います」
テクノロジーを詰めこんだSOXAIの小さなリングは、指からデータを集め、未来を指し示している。
Text by GANTAN














