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フットボールと歩んできた100年──「UMBRO(アンブロ)」の変わらない伝統と革新的な機能性をひもとく

2024.11.12
フットボールを楽しむ人たちが、こよなく愛しているスポーツブランドがある。その特徴的なブランドのロゴは、ひし形が2つ重ねられたもので、ユニフォームやエナメルバッグに刻印されているのを幾度となく目にしたことがあるだろう。
そう。それはイギリスで100年もの歴史を持つフットボールブランド「UMBRO(アンブロ)」で、他のスポーツブランドの追随を許さぬ唯一の地位を確立している。
なぜ、これほどまで愛されるブランドに「UMBRO」は成長できたのだろうか。おそらくそこには卓越したブランドストーリーに加え、商品への熱い思いが込められているからに違いない。そこで今回、デサントジャパン株式会社の企画担当である松井徹さんと島村隆宏さんにお話を伺った。

PROFILE

松井 徹(まつい とおる)

デサントジャパン株式会社 アンブロブランドマネージャー
2022年よりアンブロを担当。100年の歴史と伝統あるイギリス発祥のフットボールブランドとして、子供に寄り添った商品開発やアンブロカップを開催し、フットボールを愛する人たちと共にブランドが成長することを目指す。

PROFILE

島村 隆宏(しまむら たかひろ)

デサントジャパン株式会社 アンブロマーチャンダイザー
2010年にデサントジャパン株式会社に入社。2020年よりアンブロのアパレル商品企画を担当。THE THIRD by UMBRO(ザ・サード)や、AWAY DAYS(アウェイデイズ)などの新しいコレクションの展開にチャレンジしながら、ブランド100周年の活動を盛り上げている。

始まりは手押し車の配達から

最初にブランドの成り立ちを教えてください。
島村「UMBRO」の由来ですが、創業者ハンフリーズ兄弟(Humphreys Brothers)の名前から取られました。1924年に、弟のハロルドさんがスポーツウエア会社での勤務経験を生かして、お兄さんと一緒にマンチェスターで起業をしています。
当時は、ご両親が働いている地元のパブで手押し車を使って販売を始めたとのことです。フットボールに限らず、多様なスポーツウエアを扱っていたようですが、地元イングランドに名門チームがあったこともあり、次第にフットボールウエアへと傾倒していきました。
土地柄、ベースボールよりもフットボールのほうが人気なのですね。
島村日本でも有名なマンチェスター・ユナイテッドやマンチェスター・シティといった強豪チームもあり、イングランドの中でもフットボールの人気が高かったと思います。
また資料によると、ブランド誕生の1年前に8万5千人が収容できるウェンブリー・スタジアムができたこともあり、マンチェスターでのフットボールビジネスを大きく発展させるきっかけになりました。
ブランド誕生の1年前、1923年のFAカップ決勝の様子
1934年のFAカップ決勝でユニフォームを提供したと聞きました。
島村決勝でユニフォームを提供した経緯については、残念ながら詳細な資料は残っていません。ですが、ここまで事業を大きくできたのは、今で言うQR(クイック・レスポンス)生産体制を確立させたことにあります。
注文を受けてから48時間以内に納品が可能になり、オリジナルウエアを素早く提供できるようになったことが、多くのサッカーチームのニーズにマッチしたようです。
1934年のFAカップ決勝の様子。マンチェスター・シティ、ポーツマスともにアンブロのユニフォームを着用
生産技術の革新以外にも、アンブロの名が広まったきっかけはありますか。
島村1958年にブラジル代表チームがアンブロのユニフォームを着用していたのは、一つの象徴的な出来事だと思います。この50年代から60年代には、強豪チームが次々とアンブロのウエアを採用していたこともあり、多くの人の目に留まるようになりました。
また、1996年にイギリスのロックバンドがマンチェスターでライブを行った際、アン
ブロのドリルトップを着用したことで、これも象徴的なアイテムになりました。

伝統と革新が入り交じるスポーツウエアづくり

スポーツウエアの開発において、大切にしている点を教えてください。
島村アンブロはイギリス発祥のブランドですが、日本では弊社デサントが商標使用権を持っています。そのため、日本のアンブロの商品は日本独自企画のものになっています。
本国のアンブロのイメージを大切にしながらも力を入れているのは、「着心地」です。素材メーカーさんと一緒にプロサッカー選手の動きを解析して、試合中の動作に最適なパターンの研究を行ってきました。
特に現場の選手の声は大事にしていますので、アンブロの商品を提供しているチームからのヒアリングや展示会でのお客様の声などを開発に反映させています。
ヒアリングによって、具体的にどういった点が改善されましたか。
島村ゲームパンツですと、選手は試合中汗を大量にかくので、太ももに張り付いてしまうという課題がありました。そこで、もも上げがしやすいように「スリップパネル」という、パンツの裾の切り返しの幅を広く取るパターンを採用させていただきました。
こちらをプロのサッカーチームのユニフォームに取り入れ、その後一般販売用のウエアにも落とし込んでいます。
「スリップパネル」を使用したゲームパンツ
素材面でのこだわりはいかがでしょうか。
島村機能性で言えば、太陽光を遮断することで、通常の生地よりもマイナス3度のクーリング効果が得られる独自開発素材を採用しています。
日本は高温多湿で、夏は非常に暑く、また選手が活動するフィールドも非常に高温になりますので、いかに快適さを得られるかを考えて開発しました。
過酷な夏場でも快適なプレーを支える「フィールテック」
イギリス本国のブランドイメージを大切にしているとのことですが、デザイン面ではいかがでしょうか。
島村昨今のユニフォームは派手なグラフィックが多いと思いますが、アンブロはイギリス発祥のブランドということで、伝統的なデザインを意識しています。シンプルなデザインだけれども、素材やパターンにこだわることで、懐かしさの中にもどこか新しさを感じられるものに仕上げています。
特に、今回の100周年記念の商品はデザインに力を入れました。ここまで大胆にユニオンジャックのイメージを落とし込んだ商品はこれまでなかったのですが、イギリス発祥で100周年のブランドという点を商品に語ってもらうことをコンセプトにしたので、うまく表現ができたと思います。
生誕100周年を記念して作られた限定コレクション。イギリス国旗のユニオンジャックをモチーフに、ブランドの伝統と歴史を表現し、それぞれのアイテムに100周年記念ロゴが入った特別織ネームが採用されている

ファッションブランドとの融合

ここまで伝統を大切にしているからこそ、多くの人に愛されているブランドなのでしょうね。
島村フットボールにフォーカスしたオーセンティックな部分がありつつ、ライフスタイルにも影響を与えるブランドという立ち位置を確立したことが大きいと思います。
たとえば、2002年には、イングランド代表のユニフォームがポール・スミスとコラボレーションをしました。もちろん、これまでもこだわりを持ってユニフォームを作ってきましたが、ファッションデザイナーとコラボレーションをしたり、ローンチに際しては音楽ライブを行ったりして、ファッションブランドとも融合ができるブランドなんだという認知が広まりました。
フットボールにフォーカスをして100年の伝統があるにも関わらず、洗練されたファッションブランドとの繋がりもあるということで、サッカーに携わっている人やファッションに興味がある人から「アンブロって面白いブランドだよね」と感じてもらえていたらうれしいです。
当時のイングランド代表ユニフォームに記された「ポール・スミス」の文字
ファッションやストリートといった、専門分野以外から注目されることをどのようにとらえていますか。
島村ストリートで古着が流行るようになり、アンブロの過去の強豪チームのユニフォームに再度注目が集まるなど、非常にポジティブにとらえています。
ですが、流行りは一過性のものでもあるので、熱が冷めてきた頃に忘れられないように、長い伝統を持つフットボールブランドであるということは、常に伝えていく活動をしていかなければならないと思っています。
ブランドの認知という点では、どういった活動をされていますか。
島村若年層へのアプローチという点では、ファッションブランドとのコラボレーションは欠かせません。コラボレーションにより様々な反響を頂きまして、アンブロに関心のなかった層にまで名前を知っていただけたと思います。
また、フットボールブランドとしての周知という点では、アンブロカップという大会を全国各地で行っています。
こちらも歴史が古く、1995年にイングランドで世界の強豪チームを集めて開催され大会が起源です。この流れをくみながら、日本では小学生から高校生までを対象にした大会を行っています。
各地で開催されている伝統あるアンブロカップ

次の100年に向けて

今後のブランド展開にあたっての狙いを教えてください。
松井これからもイギリス発祥のブランドであり、100年の歴史を有していることを軸に据えていきます。その上で、現代のフットボールカルチャーと結びついたデザイン性や機能性を追求した製品の販売をしていきます。
また、フットボールの普及活動やお子さんへの安全教育にも力を入れていきます。イングランドでは、お子さんの脳への影響からヘディングが禁止されています。こうした情報を日本でも広めていくと共に、頭を保護するプロテクトヘッドバンドのようなお子さんの成長や安全を守る商品を開発していきます。
100年続いてきたブランドですので、社会の変化にうまく適応しながら発展してきました。私たちは次の100年に向けて、フットボールに関わるすべての人々と一緒に成長していきたいと思っています。

■ポップアップイベント情報
100周年を締め括るスペシャルイベントとして、原宿の「Kinetics」にてポップアップイベントを開催
日程:2024年11月22日(金)〜12月4日(水)
営業時間:11:00-20:00
場所:Kinetics内 1F
住所:〒150-0001 東京都渋谷区神宮前1丁目12−7 神宮前藤木ビル
詳細はこちら

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