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なぜ発売1年で全面刷新したのか? ユニクロ「UVカットコンパクトアンブレラ/遮熱」の進化

2026.07.03
昨年、ユニクロが初めて発売した遮熱日傘は、ブランドへの信頼性と高い機能性を背景に大きな話題となった。その日傘が今年大幅にリニューアルした。発売からまだ1年というなかで、なぜリニューアルに踏み切ったのか。その背景と進化した機能性について、株式会社ユニクロ 商品本部の津田小太郎 さんに話を聞いた。

PROFILE

津田小太郎 (つだ こたろう)

株式会社ユニクロ
商品本部

初代遮熱日傘への反響の多さがリニューアルの後押しに

これまで数々の機能性プロダクトを発表してきたユニクロへの期待感もあり、昨年、初めて発売した遮熱日傘は、想定を上回る反響を集めた。
「弊社のECサイトには、お客様がレビューを書き込めるようになっています。期待の表れでもありますが お客様からのコメントも多くいただくことになります。もちろんポジティブな声もありながら、改良を望む声を多くいただきました。
我々としては自信を持って送り出した一方、初めての試みだったため、販売後のお客様の反応をすぐにキャッチできるように、毎日情報を確認していました。ですので、 お客様の声を踏まえたアップデートをしようということになりました」
「重い」「バッグに入れるとかさばる」「持ちにくい」「長時間持っていると疲れる」……期待感の表れからか、その要望は多岐にわたったという。
「何かひとつを改良すれば解決するような単純な問題ではありませんでした。それならば一からやり直し、お客様に驚いていただけるほど完成度の高いものを作ろう、というのが開発側のモチベーションにつながりました」

東レとの共同開発で、薄く、軽く、高い機能性のある生地を実現

まず課題となったのが、重さとかさばりだった。
「ただ、重いという意見がある一方で、直径95cmというサイズや、しっかりとした骨組みを考えれば重いのは仕方ないというご意見もありました。骨を短くすれば確かに軽くはなりますが、初代の良い部分を犠牲にするべきではないと考えました」
さまざまな選択肢があるなかで、骨組みを8本から7本へと変更した。さらに生地を薄くすることで、軽さと畳みやすさを両立することに成功した。
約240gという軽量性を実現した「UVカットコンパクトアンブレラ/遮熱」2,990円(税込)
「生地の厚みは収納時のかさばりに直結します。初代は生地に厚みがあったので、かさばるだけでなく、ぎゅっぎゅっと力を入れて巻かないと、ベルトの面ヴェルクローが届かないという課題もありました。また、巻きにくさは折り畳み傘使用時のストレスにもつながるため、生地の変更は欠かせませんでした」
しかしながら、ただ薄くすれば良いというものではない。紫外線や日差しは、生地が厚くなれば物理的にカットしやすくなる。本来、生地を薄くしながら昨年版と同等のUVカット率、遮光性、遮熱性をキープすることは相反することなのだ。
その相反する課題の解決に向けて、昨年モデルから継続して東レとの共同開発を進めてきた。高い機能性を維持しながらさらなる軽量化を実現するため、両社はこの1年にわたり議論と検証を重ねてきたという。
人工気象室の実験でしっかりと遮熱をしていることがわかる。 ※25SS品での画像 日射1時間照射後のマネキンサーモグラフィ画像(傘のカラーはナチュラルを使用)
「昨年モデルに引き続き、我々が“2.5層”と呼ぶ構造を採用しています。表地と裏地の間に接着剤の役割を果たす芯地を挟み込む構造ですが、今回は表地に光や熱を反射する素材を採用し、芯地と裏地にはそれらを吸収する素材を組み合わせることで、軽量化を図りながら昨年モデルと同等の機能性を実現しました」
表地が紫外線、熱、光を反射し、芯地と裏地が熱や光を吸収する
骨組みと生地の厚さを大幅に変えることで、初代モデルが約300gだったのに対し、本モデルは約240gと、約60gの軽量化に成功した。
「ただ目標の重さは決めていませんでした。というのも、インパクトのある数字を出したとしても、持ったときに軽さを実感できなければ意味がないと思っていたからです。それゆえ、ご指摘いただいた部分を全て改善した結果、この重さに仕上がったという流れになります」

折り畳み傘の小さなストレスを軽減するための設計

持ち手も小さくすれば軽くはなるが、一方で「持ちにくい」という声もあった。
「折り畳み傘は軽量化やコンパクトさを優先して持ち手を小さくすることも多いのですが、男女や年齢を問わず持ちやすいと感じられるのはどんなものなのかを検証しました。弊社の社員は年齢も性別もさまざまなので、何種類もサンプルを作り、いろいろな人に試してもらいました」
結果として持ち手は長さを見直し、円筒の一部をフラットな形状にすることで、握りやすさを向上させた。単に小さくして軽くするのではなく、実際に使用したときの快適性を重視した設計になっている。
持ちやすさを第一に検証が重ねられた新形状の持ち手
「形だけでなく、木目調にして、高級感を出したのもこだわりです。雨傘や日傘と持ち手の質感を変えることで、並べておいても間違えることがないことにも考慮した仕様です」
さらに収納袋もリニューアル。「収納袋がなくなるのがストレスになる」という声から、ストラップを長くしてスナップボタン仕様にすることで、バッグなどにも取り付けられるようにした。
バッグにかけておけば、収納袋がなくなる心配もない
カラーバリエーションも見直され、初代の白と黒の2色展開から、今回は4色展開へと拡充された。
「なぜ2色しかないのかというお声をとても多くいただいたんです。黒は熱を吸収するため、淡色の方が涼しく感じます。そのため、明るい色のバリエーションを増やし、黒はいらないのではないかという声もありました。
ただ、この商品は晴雨兼用であり、さらに男女問わず使っていただくことを考えると黒はやはり外せないということになりました。遮熱率約45%は黒をベースにしていますが、明るい色よりも遮熱性に劣る黒でこの数値が出せたということが、自信になっています」
黒と白に加えて、新たにピンクとライトブルーが加わった
ユニクロでは人気商品や定番商品も含め、全ての商品でユーザーの声を参考に日々アップデートが繰り返されている。遮熱日傘も全面リニューアルを果たしたばかりだが、早くも次のアップデートを視野に入れているという。
「すでにECサイトのコメントは、去年より良くなったというポジティブな声から、まだ大きいといった声まで、たくさんの方からご意見をいただいています。さらなるアップデートとして、皆様からの声を吟味して、さらに良いものをお届けしたいと思っています」
年々暑さが厳しさを増す一方で、遮熱に関するテクノロジーも日々進化している。ユーザーの声と技術革新をもとに、わずか1年で全面刷新されたユニクロの遮熱日傘。その進化は、これからの日傘づくりの新たな基準を示している。

Text by Junko Hayashida

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