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「使い捨て」から「愛着」へ! ファミリーマートが晴雨兼用傘に託した、コンビニ日用品の新たな思想
株式会社ファミリーマートは、全国の店舗で展開する「コンビニエンスウェア」から、高い遮光率とUVカット率を備えた晴雨兼用傘を発売した。
急な雨の日などにとりあえず買うような、「使い捨て傘」のイメージが強いコンビニ傘。そんな市場において、ファミリーマートはなぜ長く使える高機能モデルの展開に踏み切ったのだろうか。その背景には、「コンビニで売るもの」の価値を見直そうとする商品開発の考え方があった。
今回、「コンビニエンスウェア」担当者の藤野直子さんに取材し、限られた売り場やコストの制約の中で実現した素材選びや機能性、さらにその裏側にある商品開発思想について聞いた。
PROFILE

藤野 直子(ふじの なおこ)
株式会社ファミリーマート
ライフスタイル本部 CW・雑貨部
コンビニエンスウェアの雨具、文具全般を担当。
ビニール傘の価格高騰と「長く使う」需要へのシフト
「コンビニエンスウェア」のブランドが立ち上がって数年後、日用品の拡充として晴雨兼用傘の開発が始まった。背景にあったのは、猛暑による日傘需要の急増だけでなく、コンビニという市場における消費者の購買行動の変化だった。「ビニール傘は元々500円から700円ぐらいだったのですが、年々価格が上がり、ここ5、6年で200円から300円ほど上がってきています。そうなると、手軽に買えるというビニール傘の特徴がだんだん薄れてきました」
さらにエコ意識の高まりも相まって、使い捨てのビニール傘ではなく、長く使える布製の折りたたみ傘を選ぶ客層が増加していた。ユーザーの意識変化を敏感に捉えたファミリーマートは、緊急時の雨しのぎではなく、全身のトータルコーディネートの一部として、日常的に持ち運べる傘を届けようというコンセプトで開発が進められた。
しかし、この「長く愛される日用品を届ける」という理想の前に、コンビニ特有の物理的な障壁が立ちはだかった。
売り場の制約と、素材選定による軽量化
開発にあたり直面したのは、限られた売り場スペースの確保だった。コンビニの傘売り場といえば、お店の角にひっそりと置かれている程度であり、「コンビニエンスウェア」の什器で通常の傘を陳列する余裕はなかった。そこで、少ないスペースでも展開できる折りたたみ傘の形状を生かし、売り場の2ヶ所で展開する工夫を凝らした。商品ラインナップは、「晴雨兼用ミニ傘」「晴雨兼用軽量スリム傘」の2モデルを用意した。持ち運びやすさを追求する一方で、傘としての強度をどう担保するかが大きな課題となった。
「耐久性と軽量性のバランスをとるのが一番難しかったです。軽量化するために骨の素材をいろいろと検討しましたが、すぐ壊れてしまっては商品として成り立ちません。どの素材を使い、骨は何本にすれば満足して使っていただけるものになるかを考え、ギリギリのところまで軽量化しています」
そこで、モデルごとに構造や素材が最適化された。「晴雨兼用ミニ傘」は小さなバッグに入るよう、折りたたんだときにフラットになる5段の骨を6本採用し、素材にはアルミとグラスファイバーを使用した。


「晴雨兼用軽量スリム傘」は3段仕様で5本のカーボン骨を採用し、約150グラムまで軽量化した。こうしてアイテムごとに素材を使い分けることで、軽量化と耐久性のジレンマを乗り越えた。さらに、これらの傘に求められたのは物理的な強度だけではない。晴雨兼用ということで、猛暑をしのぐための確かな遮光性能も必要だった。

薄い色でも遮光率99.9%を実現する重ね塗りコーティング
構造の工夫に加えて、機能面に対しても本格的なアプローチが取られている。全モデルにおいてUVカット率99.9%、遮光率99.9%、遮熱効果を備えている。これを実現しているのが、生地の裏面に施された特殊な加工である。「普通の雨用の布傘はアクリルコーティングを施していますが、晴雨兼用は裏面に黒色のポリウレタンを重ね塗りすることで、遮光率と遮熱効果を高める仕様にしています」

白や薄い色の生地は光を通しやすいため、コーティングを重ね塗りすることで遮光率を引き上げている。その際、重ね塗りによる重量の増加を1桁グラム台に抑え、軽量性を損なわないよう細心の注意が払われている。
生地の耐水性と遮光性については、OEMメーカーを通じてJUPA(日本洋傘振興協議会)の検査基準で実証された。こうして生み出された高機能な傘を、いかにして手頃な価格と魅力的なデザインで消費者に届けるかが、次の課題となった。
最大4色のパーツ使いとスケールメリットを生かした価格
機能性を追求しながらも、価格はどれも2,000円台という手頃さを実現している。これは、約16,400店舗への納品量と年間販売のスケールメリットを生かし、全体の価格調整を図ることで成り立っている。デザイン監修はデザイナーの落合宏理さんが担当した。ひとつの傘の中で持ち手、帯、シリコンパーツなどに最大4色を組み合わせるなど、従来のコンビニ傘にはないこだわりのカラーリングが施されている。

「アクセントカラーなど、普段は思いつかないような色合いを提案していただくこともあります。奇抜な色というよりはカラーリングとしてまとまっているため、持っている人はおしゃれだなと言われることも多い。いろいろな人にとって使いやすいところが人気の理由だと考えています」
パーツにシリコンを採用したことで、カラビナを使ってリュックに吊り下げるなど使い勝手も向上させた。ファッション性と実用性が融合したデザインが、老若男女問わず広く受け入れられている。

高品質な晴雨兼用傘は、春夏だけでなく秋頃まで売れており、さらには冬でも使用する人もいるなど、従来の日傘とは異なる長期的な使用という新たな傾向を生み出している。6月には重さ92グラムほどという超軽量モデルの雨傘も発売し、オレンジといったカラー展開でクリエイティブ&アクティブな男性からも支持を得ているという。

アイディアレベルの構想ではあるものの、今後はアパレルのシーズンカラーに合わせて傘の色を展開するなど、トータルコーディネートへの広がりも今後の計画には描かれている。コンビニという限られた売り場でありながら、高機能性とデザイン性を両立した晴雨兼用傘を展開するファミリーマート。その取り組みは、「コンビニ傘=使い捨て」という価値観を見直すだけでなく、コンビニで提供する商品の価値そのものを問い直す挑戦でもある。













